朝日新聞茨城版2010年4月13日付
脱「地味な筑波大」
筑波大学が、大学のブランド化に向け動き出した。卒業生のコピーライターが考案したスローガン「IMAGINE THE FUTURE.(開かれた未来へ。)」を旗印に、ロゴがデザインされたバッグやクリアファイルを作製し、学生に配布。つくばエクスプレス(TX)の駅構内に大型広告を張るなど、校内外にアピールしている。(伊藤悟)
ブランド化は、山田信博学長が昨年4月に学長に就任したのを機に学内で検討が始まった。多くの卒業生が各界で活躍し、高い研究成果を上げているにもかかわらず、東大や慶大、早大などに比べて地味なイメージを変えるねらいがある。
今年1月、学生や卒業生、支援者などでつくる「茗渓・筑波グランドフェスティバル」で開かれたシンポジウム。同大講師で元電通イーマーケティングワン、クリエイティブディレクターの原忠信さん(39)と、第1期卒業生のコピーライター、一倉宏氏(55)らの討議のなかでブランド戦略が本格化した。
「あなたと、コンビに、」(ファミリーマート)、「AQUOS COME TRUE.」(シャープ)など数多くのヒットコピーを手がけた一倉氏がスローガンを、原講師がデザインをそれぞれ担当。いくつかの案から山田学長の最終判断で決まった。
1日、TXの秋葉原とつくば両駅に大型ポスターを設置し、PRを開始。入学式があった7日、新入生2355人全員にロゴがデザインされた黒のトートバッグと、クリアファイルが配られ、山田学長が式辞で理念を紹介した。
ほかにも、スローガンの一部を使い、新年度から始めた基金を「TSUKUBA FUTURESHIP」、11日まで大学のテニスコートで開かれた国際テニス大会を「つくばフューチャーズ」などと命名。今後も、グッズの販売や、卒業生によるテーマ曲づくりなどが検討されているという。
スローガンには、東京教育大がつくばに移転して筑波大が発足した際に掲げられた「新構想大学」の理念を忘れず、学生や教職員が国際性を持って常に未来を見据えながら進んでいく意気込みなどが込められているという。
山田学長は「このスローガンをもとに、学生や教職員、社会が大学のイメージや価値観を共有できるように努力していきたい」と話している。