奨学金返済「半額」 最長10年の救済措置 『産經新聞』2010年4月11日付

『産經新聞』2010年4月11日付

奨学金返済「半額」 最長10年の救済措置

大学生や大学院生らに対する奨学金の貸与事業を実施している文部科学省所管の独立行政法人「日本学生支援機構」は、経済的に困窮して奨学金返済が困難になった人に対し、最長10年間、返済金を半額に軽減する方針を固めた。来年1月から実施する。不況のため失業したり、給料が大幅に下がるなどしたりしたため、奨学金返済に困る社会人が急増していることから“救済”に乗り出した。

同機構によると、返済金の半額軽減対象になるのは、大学などで在学中に毎月3万~15万円の奨学金を受け、卒業後に分割で返済している社会人らのうち、年収が300万円以下の生活困窮者ら。

通常、毎月9千~1万5千円に設定されている返済額が、最長10年間、半額に引き下げられる。返済期間はその分延びるが、返済総額はほとんど変わらず、生活に困窮していても少しずつ返済残額を減らすことができる。

同機構の奨学金には、成績優秀者や低所得世帯を対象とした無利息の「第1種」と、返済時に最高で年3%の利息がかかる「第2種」があるが、いずれも軽減の対象にするという。

現在でも返済に困った場合、最長5年間の返済猶予制度があるが、「返済を先延ばしにするのではなく、コツコツ返したい」と希望する社会人に利用されることが期待される。猶予手続きをとらずに、返済を遅らせる「滞納者」については、半額軽減を認めない方針という。

同機構によると、奨学金返済者は計253万人(平成20年度)に上るが、不況の影響で返済に困る社会人が急増。返済猶予を求める相談も殺到しており、実際に猶予が認められるケースは20年度では5万8859件に上っている。

日本学生支援機構は、16年に発足。廃止された「日本育英会」などから引き継いで、奨学金事業を実施している。

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