市場化テスト3倍に 政府 道路管理など1000億円規模 『日本経済新聞』2010年3月14日付

『日本経済新聞』2010年3月14日付

市場化テスト3倍に
政府 道路管理など1000億円規模

政府は行政サービスの担い手を官民が入札で競う「市場化テスト」を加速させる。2011年度から道路やダム、河川の管理業務などに対象を拡大。事業費ベースで自民党政権時代に比べ約3倍の1千億円にのぼる見込みで、数百億円規模の予算削減を目指す。

市場化テストは安倍政権下の07年度に開始。社会保険庁による年金保険料の徴収や、法務省の登記簿の公開業務などで民間の参入が実現した。過去3年間の実績をみると、これまで官が年間336億円かけていた仕事を民間の参入効果で153億円と半額以下のコストでこなせるようになるなど成果を上げている。

今回対象に加える道路、ダム、河川の管理は公益法人による受注が全体の7割を占め、民間の参入が進んでいない。政府は「公正な入札が実施されていない」と判断。事業規模が大きいだけに予算を減らす効果も数百億円単位で見込めるとみて、市場化テストの重点分野に位置付けた。

具体的には国土交通省の発注する事業の見積もりや工事監督、巡回などを民間に開放する。これらの業務だけで事業費は合計約700億円(08年度実績分)に達する。

政府はそのほか霞ヶ関の施設管理、防衛装備品の補給など10分野の事業についても6月に閣議決定する「公共サービス改革基本方針」に対象事業を盛り込む。最終的に1千億円強の事業が官民競争入札にかけられる見込みだ。政府の「官民競争入札等監理委員会」(委員長・落合誠一中央大法科大学院教授)が12月までに実施要項を公表する。

政府はマニフェスト(政権公約)に掲げた政策の財源確保や、民間活力を成長戦略に生かす狙いから、規制改革を積極的に進める方針。昨年12月、当時の仙谷由人行政刷新相が市場化テストの重点分野として11項目を指示していた。

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