研究と育児「両立困難」 山形大女性教員・院生調査 『河北新報』2010年2月19日付

『河北新報』2010年2月19日付

研究と育児「両立困難」 山形大女性教員・院生調査

山形大は女性研究者のワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実態を探るため、巡回聞き取り相談事業を展開している。中間報告によると、仕事を続けるために妊娠・出産をあきらめる人もいるなど、研究と育児の両立が困難な現状が浮き彫りになっている。

山形大は2009年2月、男女共同参画推進室を設置。5月に文部科学省の補助を受けることが決まり、女性研究者支援に取り組み始めた。相談事業はその一環で、山形県内の四つのキャンパスにいる教員と大学院生約170人と面接し、悩みなどをくみ上げる。

聞き取りは11月に始め、今月12日までに女性教員の79%、大学院生の34%を終えた。その結果、医学部教員は研究や教育以外に医療業務があるなど、学部や年代によって抱える問題が異なっていることや、女性研究者が少なく孤独感を抱えていることが分かった。

独身の研究者からは「研究をしながら結婚相手を探すのが難しい」「職場に休めない雰囲気があり、子育てできるかどうか不安」「ワークライフバランスを実践している模範となるような人がいない」といった声が寄せられ、中には結婚や出産をあきらめたという人もいた。

配偶者がいる場合も研究員同士の結婚が多いため、「夫が県外や海外の大学で仕事をしており、別居している」「保育所探しに頭を悩ませている」などの声が聞かれた。

中間報告では(1)ワークライフバランス実現の障壁は、個人ではなく組織で解決する(2)女性の潜在能力に期待した採用を行う―などを検討するよう提案している。

男女共同参画推進室チーフコーディネーターを務める木村松子准教授は「女性研究者の実情を知ってもらうことで、関係者の意識を変えるとともに、組織改革につなげたい」と話す。

聞き取りは年度内に終える計画。新年度以降も前後期1回ずつ実施する予定。

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