医師・看護師の定着率向上へ 富山県と富山大が連携 『読売新聞』2010年2月17日付

『読売新聞』2010年2月17日付

医師・看護師の定着率向上へ 富山県と富山大が連携 

奨学金拡大、地域枠増員、寄付講座新設…

富山県と富山大学は、医師・看護師不足の解消を図るために連携し、同大医学部で奨学金枠を拡大、入学者の「地域枠」を増員するほか、高度な医療教育・研修の場となる県の寄付講座を新設する方針を16日発表した。2010年度から実施する。同大医学部出身者が県内にとどまる割合(定着率)を5年後に現在の30%台から50%台に引き上げたいとしてる。県は10年度予算案に6億円の関連事業費を盛り込む。

県によると、08年末で県内の病院に勤務する医師数は1685人。人口10万人あたりで153人と全国平均(136人)を上回るが、勤務条件が厳しい公的病院では今年度、小児科9人、産婦人科10人、麻酔科13人、救急科6人の医師が不足。看護師も08年度の県内病院の募集数1035人に対して採用数753人と、約70%の充足にとどまっている。

こうした現状をふまえ、奨学金制度では、卒業後に県内医療機関で一定期間働けば返済免除となる枠を拡大。医学科向けを従来の5人分から10人分に倍増し、看護学科を対象とする優先枠20人分を新たに設ける。

また、同大は県内医療に携わる意思のある入学志願者を対象とした医学科の「地域枠」も10年度から7人増やして15人以内とする。

県の寄付講座では、医学科に「地域医療支援学講座」(仮称)を設置し、臨床研修医に対する指導体制を充実させ、県内にいながら実践的で高度な研修、教育を受けられるようにして、若い医師の県外流出を防ぐ。

看護学科には「高度専門看護教育講座」(同)を設け、看護師の資質向上を後押しする。担任制度による個別進学・就職相談の強化や県内病院と連携した実習も充実させる。11年度には「在宅看護学講座」(同)設置も予定している。

また、看護学科の定員が60人から80人に増えるのに伴い、県は看護教育用4階建て校舎(延べ床面積約1600平方メートル)の建設費4億7300万円を負担する。同校舎は今年7月着工、来年3月完成予定。

この日、県庁で記者会見した西頭徳三学長は「いくら医師や看護師を育てても県内に定着しなければ地域貢献ができない」と強調。石井知事は「緊急度の高い診療科での充足を急ぎたい」と述べた。

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