「科学・技術・イノベーションの中期政策に関する提言」発表 -次期科学技術基本計画に向け産業界の見解取りまとめ  『日本経団連タイムス』No.2979 2010年1月1日付

『日本経団連タイムス』No.2979 2010年1月1日付

「科学・技術・イノベーションの中期政策に関する提言」発表
-次期科学技術基本計画に向け産業界の見解取りまとめ

日本経団連は12月15日、提言「科学・技術・イノベーションの中期政策に関する提言」を発表した。同提言は、政府の第4期科学技術基本計画(2011~2015年度)に関する検討の動きをとらえ、産業界の見解を取りまとめたもの。

提言ではまず、基本理念として「国力の増進と国民生活の向上」「グローバル社会における競争と協力」を掲げ、成長力強化等の出口を見据えた「総合的な科学・技術・イノベーション政策」への転換を提起した。

その実現にあたり、「課題解決型アプローチ」を基軸とすることを提唱。政治主導により、国家的課題の実現に向けた具体的目標を設定したうえで、現在、IT、ナノテク等8つの分野別に策定されている推進戦略の政策課題別戦略への転換、産学官連携の場の形成、規制改革等を組み合わせた社会システム実証の推進を求めている。とりわけ、グリーン・イノベーション戦略の先行的な策定を提案している。

同時に、多様な研究開発により斬新な知を創造する「革新知創造型アプローチ」の推進を掲げ、両アプローチのグローバル展開に向け、世界のイノベーション・ハブとなるための環境整備や、地球規模の課題解決に向けた国際連携の推進が必要とした。

また、イノベーション基盤の強化も取り上げた。第1に、推進体制の強化として、総合科学技術会議が担っている司令塔機能の強化を提案。また、経済危機等により企業の研究開発に抑制圧力が高まっていることから、研究開発促進税制の拡充と恒久化、民間投資と政府投資の連携強化を求めた。さらに、大学、研究開発法人についても、個々の存在意義に応じた運営と政策的支援が重要とした。

第2に、科学技術予算の拡充を求めている。多くの国が予算拡充に向かうなか、わが国の予算が低位に推移していることから、未来への投資として国民の理解を得ながら、政治主導で予算を拡充すべきと強く提言。総額目標として対GDP比1%超を掲げるべきとした。

第3に、人材育成の強化を取り上げた。大学・大学院教育における体系的なコースワークの整備・充実、博士課程の学生に対する入口・出口管理の徹底、初等教育における理数教育の抜本的な強化、優秀な人材の教師への登用を提言した。

最後に、国民参加として、若者に対する科学技術の魅力の向上や、国の説明責任の履行の強化等が重要と指摘した。

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産業技術委員会では、政府の総合科学技術会議における第4期科学技術基本計画(次期中期計画)の検討状況を注視しつつ、関係方面への働きかけを行うとともに、必要に応じ個別課題について検討を深めることとしている。

【産業技術本部】

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