三重大の来年度予算 3億4740万削減見込み
仕分け受け独自に算出「地域貢献に影響」
三重大は18日、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」の結果を受け、来年度予算の削減額を独自に算出したところ、少なくとも3億4740万円に上ると発表した。内田淳正学長は「地域活性化のために行ってきた貢献活動に大きな影響が出る」と懸念している。
研究成果を地域の産業育成に生かす地域科学技術振興・産学官連携は、事業仕分けで「廃止」とされた。三重大がこの事業で確保した今年度予算は1億8013万円だが、廃止されれば県内の中小企業と進めている大型事業が頓挫するとしている。その他の共同研究247件(2008年度実績)、自治体や企業との連携協定30件(過去5年間)などの高い水準での地域貢献も難しくなるという。
さらに、女性研究者を支援する科学技術振興調整費は今年度の3897万円から、2598万円に削減される。若手研究者を育成するための科学研究費も「縮減」対象で、1億2632万円から少なくとも1263万円が削減される見込み。科研費は作業部会が削減率を明示しておらず、3分の1や2分の1に削減される可能性もある。
また、新政権による予算の見直しで、国から支給される運営費交付金のうち、アイデアを凝らしたプロジェクト研究に充てられる特別教育研究経費も大幅に削減される可能性があるという。今年度は6億677万円を確保しているが、来年度以降の見通しは立っていない。三重大は来年度予算の概算要求で、同経費にかかる新規事業として「高度生殖医療技術による不妊治療の技術開発」などを掲げているが、採用されない恐れも出てきた。
内田学長は「事業仕分けは日本の将来像を示さないまま、財源確保の目的で行われた。教育や研究について十分な議論がなく、特に国立大の使命を無視した評価だ」と批判している。