☆国立大学独立行政法人化問題週報抄
. [he-forum 3412] 国立大学独法化問題週報抄 82
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国立大学独立行政法人化問題週報抄
Weekly Reports No.82 2002.2.11 Ver 1.01
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目 次
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[82-0] 内容紹介
[82-0-1] 非公務員化の問題点
[82-0-2] 公務員型独立行政法人化の問題点
[82-0-3] 公務員制度改革大綱の問題点
[82-0-4] 国立大学ML
[82-1] 「非公務員型化」問題をめぐって
[82-1-1] ◆首都圏ネットワーク事務局:法人化問題をめぐる現情勢について
[82-1-2] 連絡調整委員会配付資料「非公務員型に関する意見」
[82-1-3] 「非公務員型を主張するセクタの偏りを見て思うこと」
[82-1-4] ◆「国立大学職員の『非公務員化』に反対する」
[82-1-5] 東大職員組合から国立大学教職員組合への連名参加呼びかけ
[82-3] 公務員制度に関する資料
[82-3-1] 川村祐三「独立行政法人の職員」より「「国家公務員の身分」とは何か」
[82-3-2] ◆公務員制度改革大綱:平成13年12月25日閣議決定
[82-3-3] 教育公務員特例法 抜粋
[82-3-4] 政治活動の意味:国家公務員法・人事院規則・人事院規則の運用方針
[82-3-5] 教育基本法
[82-3-6] 国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等
[82-4] ◆ 全国ネットワークから文部科学大臣への公開質問状
[82-5] 国立大学MLの紹介
[82-6] 「パートタイム大学生」制度への意見提出の勧め
[82-7] 大学の法人化問題シンポジウム
[82-8] その他(「国立大学独立行政法人化の諸問題」サイトのお知らせ欄)
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[82-0] 内容紹介
[82-0-1] 非公務員化の問題点
文部科学省の国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議の最終報告
で「非公務員型」独立行政法人化が結論になる可能性が高くなっている。
最終報告に向けて、調査検討会議連絡調整委員会が定期的に開催されている。
第2回(1月25日)配付資料「法人化後の職員の身分に関する主な意見」の
中に、7団体2政党2新聞による非公務員型を是とする主張を掲載する一方、
公務員型を主張する意見としては全大教のもののみを挙げ、「その他」として
国大協のパブリックコメントと提言の2件を掲げている。非公務員型を主張す
る9団体の名簿を見ると、少人数の意見を水増したものであることが歴然とし
ており、「結論が先にある」ことを示す資料となっている[82-1-2]。
独立行政法人は、設計の趣旨からすれば本来非公務員型なのだが、設立時に
「特定独立行政法人」という種類が急遽導入された。それが「公務員型」と呼
ばれているものである。導入理由は、移行時の労使間摩擦を減らすためであっ
た、とも言われている[82-3-1]。これまで独立行政法人化した国家機関の大半
は特定独立行政法人である。もっとも、法人化後に任用された職員には公務員
身分を与えないなども可能であり、短期間に本来の独立行政法人に移行するこ
とが予想される。
「非公務員型独立行政法人化」することがなぜそれほどまでに重要なのか?
最大の「効果」として「教育公務員特例法」[82-3-3]が自動消滅することが
ある。この法律は、教員の任免権を評議会に与え、評議員(≒部局長)は教員
が選ぶこと規定している。産業界の窮状に対し国立大学が無関心なのはこの法
律のせいだ、という意見が少なくない。しかし、教育公務員特例法廃止により、
教育基本法第6条[82-3-5]が言う「教員身分の尊重と待遇の適性」の配慮は各
大学の「私法」に委ねられることになる。
財政誘導を通して、多額の研究費を要する実験分野への行政の影響力は強ま
り「大学の自治」は形骸化してきた。しかし、教員任免において教育・研究と
は無関係な価値基準が介入することを禁ずる教育公務員特例法は、行政の影響
力を間接的なものとしているだけでなく、短期間に変化する社会のニーズに即
応することによって、「普遍的知」を深める機能を大学が失うことを防いでい
る。
大学の教員任免の現状に問題があるとすれば、その解決は「教員人事」のシ
ステムの改善にしかない。教育公務員特例法を廃止し、評議会からも人事権を
奪い、教員以外の者が教員の任免権を持つようにすれば、問題は悪化するだろ
う。それだけではない。教育・研究に従事したことのない「有識者」(企業経
営者または官僚が主となるであろう)が学外から強い権限を持って大学運営に
加わることは、社会のニーズに即応した国家政策に応じて大学を改変すること
になり、(これまでも何度も起こったように)政策が見当外れなものであった
ときの国家的ダメージは測り知れないものがある。政策の変更に応じて大学の
研究・教育体制を「機動的」に変更するシステムは、教育・研究の生理を無視
したもので、機能しない。
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[82-0-2] 公務員型独立行政法人化の問題点
一方、公務員型独立行政法人化ならば、独立行政法人化する必要は認め難い。
最近の文部科学省の大学政策を見る限り、今の国立大学制度でできない大学改
革はない、と言ってよいだろう。大学評価機構は動きだし、COE(トップ3
0)で大学間の競争は動き始めている、さらに統廃合も文部科学省の指導の下
で実現しつつある。独立行政法人化には膨大な人的・財政的資源が費やされる。
独立行政法人化には、国立大学が使用している不動産の登記と評価作業だけで
数千億の費用が必要であるという[82-8-15]。独立行政法人化後は、独立行政
法人会計基準に基づく経理の他に、今まで通りの公会計も併行して行われると
いう。公務員の数を見せかけ上減らす以外のメリットは、2年を経過し大学改
革が進行した今、全くなくなったと言えるだろう。
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[82-0-3] 公務員制度改革大綱の問題点
現行国家公務員法は、日本国憲法の定める「全体の奉仕者」としての公務員
制度を実現するために、国民のために「公務の民主的かつ能率的な運営を保障
する」(国家公務員法1条)ことを基本理念とし、官吏・雇員・傭人という官
庁内部の身分制を撤廃し、成績制度を基礎として、公務員の人事行政の政治的
中立性を確保するためのものであるという[82-3-1]。
改革大綱[82-3-2]の内容は問題が多い。上級幹部職員の「集中育成期間」を
設け「能力評価及び業績評価に加えて、職務遂行状況や育成状況を把握し、集
中育成の対象としての適性を厳正に評価した上で、集中育成対象とすることが
不適当であると認める職員はその対象から外すものとする。」とある。これは、
行政硬直化の元凶と認知されている中央省庁官僚の権限と閉鎖性を強めるもの
であろう。このような改革を、マスメディアはなぜ申し訳程度にしか批判しな
いのだろうか。官僚からのリーク情報を報道することにジャーナリズムが退化
しているわけではあるまい。日本の病を悪化させる「公務員改革」を看過しな
い報道活動を望みたい。
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[82-0-4] 国立大学ML
大学社会全体が共有する大学関連情報が、ジャーナリズムを介して伝えられる
文部科学省からのリーク情報に限られている現状を改善するために、メールを
用いた情報交換の試行を開始した。この週報の要約を含め、種々の情報や意見
を約9200名の教職員に配信している(例[82-5])。急速に大学情勢が変化
している今、情報の偏在を解消することが急務である。なお登録受付は ac.jp
ドメインアドレスに限定している。
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[82-1] 「非公務員型化」問題をめぐって
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[82-1-1] ◆首都圏ネットワーク事務局:法人化問題をめぐる現情勢について
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[82-1-2] 連絡調整委員会配付資料「非公務員型に関する意見」
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[82-1-3] ◆「非公務員型を主張するセクタの偏りを見て思うこと」
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[82-1-4] ◆国立大学教職員組合委員長連名「国立大学職員の『非公務員化』
に反対する」国立大学教職員組合委員長連名:文科省調査検討会議宛要請
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[82-1-5] 東大職員組合から国立大学教職員組合への連名参加呼びかけ
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[82-3] 公務員制度に関する資料
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[82-3-1] 川村祐三「独立行政法人の職員」より「「国家公務員の身分」とは何か」
「独立行政法人ーその概要と問題点」(福家俊朗他・日本評論社)
第二部 中央省庁改革の全体構造と独立行政法人
第6章 独立行政法人の職員(川村 祐三)p141ー150より
「6.2「国家公務員の身分」とは何か
6.2.1 現行法における「国家公務貫の身分」と成績制度
・・・・ 現行国家公務員法は、国家公務員の定義について特別の規定を設け
てはおらず、同法第2条第4項において「....人事院は、ある職が国家公務員の
職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを
決定する権限を有する」と定めることにより、その範囲の決定権限を人事院に
委ねている。そして人事院は、ある職が国家公務員に該当するか否かの判断に
当たっては、(i)国の事務に従事していること、(ii)国の任命権者によって任
命されていること、(iii)原則として国から給与を受けていることの三要件を
基準にしているという(「逐条国家公務員法」鹿児島・森園・北村共編)。
この三要件については、何をもって国の事務というかという難問を別にすれば、
さしあたり特に問題はないが、もともとある職が国家公務員であるかどうか、
かつ、一般職であるかどうかということは、国家公務員法の適用を受けるかど
うかということと同義なのであって、それは結局その職について、同法の基本
理念である人事行政の公正の確保すなわち猟官制の排除、任用における公開平
等と成績主義の原則が適用されるかどうかということに帰着する性質の問題な
のである。
・・・・・
6.2.2国家公務員の範囲をめぐる従来の議論
現行国家公務員法は、明治憲法下における「天皇の官吏」に代わるものとして、
日本国憲法の定める「全体の奉仕者」としての公務員制度を実現するために制
定されたものである。その基本理念は国民のために「公務の民主的かつ能率的
な運営を保障する」(国家公務員法1条)ことにあり、そのために官吏・雇員・
傭人という官庁内部の身分制を撤廃するとともに、成績制度を基礎として公務
員の人事行政の政治的中立性を確保しようとするものであった。
このような現行国家公務員法の考え方については、制定直後からいろいろな批
判があった。その初期のものは、いわば戦前の官吏制度に対する郷愁から出た
ものとでもいうべきもので、国家公務員の範囲を公権力の行使もしくは国家意
思の形成への参画に限定することを主張するなど、「天皇の官吏」から「全体
の奉仕者」ヘの転換の意味するところを理解しないか、あるいは敵視するもの
であった。たとえば、占領末期の1951年、GHQの示唆もあって設置された占領
中の政令見直しのための委員会(正式には「政令改正諮問のための委員会」)
は、国家公務員のうち行政権の行使に当たる職員について無定量の勤務義務を
ふくむ特別の人事制度を導入すべきだとし、さらに人事院の廃止を求めるなど
国家公務員法の全面改定をもくろむものであったが、これはまさしく、戦前の
高等文官制度への復帰をめざす以外のなにものでもなかった。
1955年に公務員制度調査会が提出した「公務員制度の改革に関する答申」では、
さすがにそのような露骨な戦前回帰的表現はなく、新憲法下の公務員が旧憲法
下の官吏とは異なることを意識した内容となっているが、しかしその基本は、
国家公務員をいわゆる特別権力関係下にあるものに限定し、公務員の多くをそ
の範囲から除外して私法上の雇用関係に置こうとするもので、要するに戦前の
官吏・雇員・傭人という身分制の復活をめざすに等しいものであった。このよ
うな立場からの国家公務員法改定は1950年代後半に何度か試みられたが、諸種
の事情から成立には至らなかった。
・・・・
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[82-3-2] ◆公務員制度改革大綱:平成13年12月25日閣議決定
■I. 政府全体としての適切な人事・組織マネジメントの実現
・・・・・
■II 新たな公務員制度の概要
1 新人事制度の構築
・・・・・
(7)本府省幹部候補職員を計画的に育成する仕組みの導入
1. 基本的考え方
・・・・・
このため、本府省幹部職員について厳正な登用審査を実施するとともに、採
用試験区分にとらわれることなく、本府省幹部職員としてふさわしい意欲と能
力を有する者を、本府省幹部候補職員として計画的に育成することを目的とす
る仕組みの導入を図る。
2. 具体的措置
T種採用職員及びT種採用職員以外の職員のうち人事管理権者がその定める
基準により選考する職員を対象とし、本府省課長補佐の一定段階までを集中育
成期間とする。集中育成期間中は、能力評価及び業績評価に加えて、職務遂行
状況や育成状況を把握し、集中育成の対象としての適性を厳正に評価した上で、
集中育成対象とすることが不適当であると認める職員はその対象から外すもの
とする。集中育成の対象となっている職員に対しては、計画的な勤務経験及び
研修・留学機会の付与等により特別な人材育成を図る。
(8)上級幹部職員の新人事制度
1. 基本的考え方
・・・・・また、人事管理権者が個別に適材適所で人事配置を行い、職務と業
績を基準に処遇することが適当であることから、能力等級制度を適用せず、こ
れらの職員にふさわしい任用・給与制度を設計する。
人事管理権者は、高度の行政課題に的確に対応するため、上級幹部職員につ
いても、採用試験の区分にとらわれることなく、真に適材適所の人事配置を行
う。
2. 具体的措置
ア 任用
機動的・弾力的な適材適所の人事配置を確保し得る任用制度や職務、職責に
適切に対応した給与制度の基礎となるものとして、事務次官、局長、審議官と
いった代表的な役職段階に応じ、簡素な段階の基本職位を設定する。
人事管理権者は、上級幹部職員としての適格性に関する統一的基準、個別の
職務に求められる知識・能力及び行政課題等を考慮して、上級幹部職員を任用
する。
・・・・・・・
■III. 改革に向けた今後の取組
○ 国家公務員法改正案について、内閣官房行政改革推進事務局が中心となっ
て検討を進め、平成15年中を目標に国会提出、関係法律案の立案及び下位法令
の整備は平成17年度末までに計画的に実施。
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[82-3-3] 教育公務員特例法 抜粋
(この法律の趣旨)
第1章 総 則
第1条 この法律は、教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とそ
の責任の特殊性に基き、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修につい
て規定する。
第2章 任免、分限、懲戒及び服務 第1節 大学の学長、教員及び部局長
■第4条 学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるもの
とする。
2 学長の採用のための選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、教育行
政に関し識見を有する者について、評議会(評議会を置かない大学にあつては、
教授会。以下同じ。)の議に基づき学長の定める基準により、評議会が行う。
3 学部長の採用のための選考は、当該学部の教授会の議に基づき、学長が
行う。
4 学部長以外の部局長の採用のための選考は、評議会の議に基づき学長の
定める基準により、学長が行う。
5 教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める
基準により、教授会(国立学校設置法第2章の2の規定によりその組織が定め
られた大学にあつては、人事委員会。第12条第1項において同じ。)の議に基
づき学長が行う。
6 前項の選考について教授会が審議する場合において、その教授会が置か
れる組織の長は、当該大学の教員人事の方針を踏まえ、その選考に関し、教授
会に対して意見を述べることができる。
■(転任)第5条
学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつて
は学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任されることはな
い。
2 評議会及び学長は、前項の審査を行うに当たつては、その者に対し、審
査の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
3 評議会及び学長は、審査を受ける者が前項の説明書を受領した後14日以
内に請求した場合には、その者に対し、口頭又は書面で陳述する機会を与えな
ければならない。
4 評議会及び学長は、第1項の審査を行う場合において必要があると認め
るときは、参考人の出頭を求め、又はその意見を徴することができる。
5 前3項に規定するもののほか、第1項の審査に関し必要な事項は、学長
及び教員にあつては評議会、部局長にあつては学長が定める。
■(降任及び免職)第6条
学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつて
は学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはな
い。教員の降任についても、また同様とする。
2 第5条第2項から第5項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。
■(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)第21条の4
公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務
員法第36条の規定にかかわらず、国立学校の教育公務員の例による。
2 前項の規定は、政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員
法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない。
■(教育公務員以外の者に対するこの法律の準用)
・・・・
第22条の2 文部科学大臣が所管する特定独立行政法人で政令で定めるものの
職員のうち専ら研究又は教育に従事する者(次項において「独立行政法人研究
教育職員」という。)については、第4条第1項及び第5項、第7条、第8条
の2第1項及び第2項、第19条、第20条並びに第21条の規定中国立大学の教員
に関する部分の規定を準用する。この場合において、第4条第5項中「評議会
の議に基づき学長」とあり、「教授会(国立学校設置法第2章の2の規定によ
りその組織が定められた大学にあつては、人事委員会。第12条第1項において
同じ。)の議に基づき学長」とあり、並びに第7条及び第8条の2第1項中
「評議会の議に基づき学長」とあるのは、「当該職員の勤務する特定独立行政
法人の長」と読み替えるものとする。
2 独立行政法人研究教育職員(補助的な業務に従事する者として当該独立
行政法人研究教育職員の勤務する特定独立行政法人の長が定めるものを除く。)
については、前項に規定するもののほか、第21条の2の規定中国立大学の教員
に関する部分の規定を準用する。
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[82-3-4] 政治活動の意味:国家公務員法・人事院規則・人事院規則の運用方針
第一章 総則
(この法律の目的及び効力)
第一条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準
(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員
がその職務の遂行に当たり、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、
選択され、且つ、指導されるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的
且つ能率的な運営を保障することを目的とする。
・・・・
第102条(政治的行為の制限)
職員は,政党又は政治的目的のために,寄付金その他の利益を求め,若しく
は受領し,又は何らの方法を以てするを問わず,これらの行為に関与し,ある
いは選挙権の行使を除く外,人事院規則で定める政治的行為をしてはならない.
第110条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰
金に処する。
・・・・
19 第102条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者・・・・
■ 人事院規則14−7[政治的行為]
(政治的目的の定義)
5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつ
てなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法
第百二条第一項の規定に違反するものではない。・・・・
五 政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し又はこれに反対する
こと。
六 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含
されたものを含む)の実施を妨害すること。
■ 人事院規則一四−七(政治的行為)の運用方針
(五)第五号関係 本号にいう「政治の方向に影響を与える意図」とは、日本
国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいう。
「特定の政策」とは、政治の方向に影響を与える程度のものであることを要す
る。最低賃金制確立、産業社会化等の政策を主張し、若しくはこれに反対する
場合又は各政党のよつて立つイデオロギーを主張し若しくはこれらに反対する
場合或は特定の法案又は予算案を支持し又はこれに反対する場合の如きも、日
本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとするものでない
限り、本号には該当しない。
(六)第六号関係 本号中「国の機関又は公の機関において決定した政策」と
は、国会、内閣、内閣の統括の下における行政機関、地方公共団体等政策の決
定について公の様限を有する機関が正式に決定した政策をいう。「実施を妨害
する」とは、その手段方法のいかんを問わず、有形無形の威力をもつて組織的、
計画的又は継続的にその政策の目的の達成を妨げることをいう。従つて、単に
当核政策を批判することは、これに該当しない。
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[82-3-5] 教育基本法
教育基本法
われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、
世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、
根本において教育の力にまつべきものである。
われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する
とともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底
しなければならない。
ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教
育の基本を確立するため、この法律を制定する。
・・・・
第六条(学校教育)
・・・・
2 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、
その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重
され、その待遇の適正が、期せられなければならない。
第十条(教育行政)
1 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つ
て行われるべきものである。
2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の
整備確立を目標として行われなければならない。
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[82-3-6] 国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等
中央省庁等改革に係る大綱・推進本部決定 1999.1.26
V 独立行政法人制度に関する大綱
(1)独立行政法人の職員の身分
独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接
かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該法人の目的、業務の性質
等を総合的に勘案して必要と認められるものの職員については、国家公務員の
身分を与えるものとし、こうした法人以外の法人の職員については、国家公務
員の身分を与えないものとする。どの独立行政法人がいずれの類型となるかに
ついては、上記の基準に照らし、個別法令により決定するものとする。
(2)国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等
国家公務員の身分を与えない独立行政法人の職員の地位等については、次の
とおりとする。
1.独立行政法人の職員は、独立行政法人の長が、その定める基準により任命
するものとする。
2. 職員の給与その他の処遇については、当該独立行政法人の業務の実績及び
当該職員の業績が反映されるものとする。
3. 独立行政法人は、職員の給与等の支給の基準を社会一般の情勢に適合した
ものとなるよう定め、これを所管大臣に届け出るとともに、公表するものとす
る。
4. 職員に対する服務及び懲戒については、就業規則で定めるものとする。
5. 業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の職員に秘密保持義務を法令で課
すものとする。
6. 業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の職員は、法令により刑法その他
の罰則の適用について「みなし公務員」規定等を置く。
7. 労働関係については、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法等の適用
を受けるものとする。
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[82-4] ◆ 全国ネットワークから文部科学大臣への公開質問状
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[82-5] 国立大学MLの紹介
(略)
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[82-6] 「パートタイム大学生」制度への意見提出の勧め
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[82-7] 大学の法人化問題シンポジウム-
大学の法人化と公務員制度改革は何をもたらすか-
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[82-8] その他(「国立大学独立行政法人化の諸問題」サイトのお知らせ欄)
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[82-8-1] 2/08 赤間道夫「大学問題の昔と今――大学の病とはなにか?」
(メールマガジン「日本国の研究」第130号2002.2.1【書評】)
竹内 洋著『大学という病――東大紛擾と教授群像――』
(中公叢書、2001年10月、ISBN4-12-003186-1)
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[82-8-2] 2/08 文部科学省:「教科書に対する意見提出窓口」の設置について
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[82-8-3] 2/07 井桁貞義(早稲田大学文学部)「オンデマンド授業原論 」より
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[82-8-4] 2/07 文部科学省・科学技術振興調整費ニュース−第227号−
平成14年1月28日「創造的研究成果を促す研究者の人材マネージメントのあり
方に関する調査」(委託先:財団法人 未来工学研究所)「・・・必ずしも任
期付き雇用のような形で流動化せずとも、日本の研究所がこれまで採用してき
た他機関への出向が研究業績の向上に寄与すると考えられる。・・・」
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[82-8-5] 2/06 国立大学の再編統合・独法化に反対する2.2討論交流会声明-
「文科省調査検討会議における非公務員化決定を阻止しよう」
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[82-8-6] 2/06 大手町博士のゼミナール「導入半年の独立行政法人
◆サービスの質と効率性◆相反する使命 どう両立」(Yomiuri On-Line)
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[82-8-7] 2/06 「成果主義の諸問題」(大企業での問題例2/6)
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[82-8-8] 2/06 東京都教職員組合ウェブサイトより:川村祐三「なぜXY理論?」
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[82-8-9] 2/03 「大学システム改革研究会」提言についての
Yahoo! JAPAN BBS でのCpoirewjp 氏のコメント1・コメント2
board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=4650
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[82-8-10] 2/02 「大学システム改革研究会」提言(日経・毎日)
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[82-8-11] 1/31 黒木氏ウェブサイトより:『恐慌の罠――なぜ政策を間違え
つづけるのか』
(ポール・クルーグマン)中央公論新社「・・・・「構造改革なくして景気回
復なし」+「景気が回復したら、改革する意欲がなくなってしまう」という氏
の言葉に代表される考え方に疑問を持った方は、ポール・クルーグマンの新刊
を手に取ってみるのが良いと思います。・・・・」
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[82-8-12] 1/31 文部科学省「大学(国立大学)の構造改革の方針」について
2002/01/30
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[82-8-13] 1/31 上田誠也「基礎学術を守るために」
『科学』(岩波書店) 2002年2月号巻頭言
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[82-8-14] 1/29 毎日新聞社説01/26「国立大統合 理念、目的を明確に示せ」
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[82-8-15] 1/11 独法化経費は最低数千億円
♯(独法化後は国立大学は政府と不動産借用契約を結ぶために、現在使用して
いる不動産等の登記・評価が必要となる。その費用は最低数千億円という(宮
脇淳「国立大学法人の財政ーー制度と運用の検証」,IDE 2001.12月号 特集<
「国立大学法人」のすがた> p38-42, IDE事務局 03-3431-6822 より購入可能)
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【後書】政官界には「省益」や「派閥益」を守るために非難轟々となることを
承知の上で悪人として振舞う方も居ます。国立大学の教育研究環境の劣化を防
ぐことは某省の「省益」を守るより多くの人に意義のあることではないでしょ
うか。そのためなら「既得権益墨守」程度の悪口をマスメディアに敲かれるこ
とくらいは我慢できるのではないでしょうか?
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【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・
オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・
検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。
【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ
ひ読んで頂きたいもの。
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発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp
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発行部数(括弧内は1/26からの増減) (2002.2.10 現在)
1684(+7):
Mag2:968(+7)|CocodeMail:379(+4)|Pubzine:98(0)|melma:72(0)|
melten:59(-3)|Macky!:52(-2)|emaga:29(0)|melonpan:27(+1)
直送 約730(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等)
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Digest版 発行部数 約9200(国立大学), ML(he-forum,reform,aml,d-mail)
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End of Weekly Reports 82