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独行法反対首都圏ネットワーク
法反対首都圏ネットワーク 
 

国大協臨時総会にあたり、学長諸氏に訴える


                                                 2003年7月14日
                             独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

1 国立大学協会臨時総会にあたり、まず、日本における国立大学制度を死に導
いた主要な責任の一端が、協会執行部と、その独走を抑えることの出来なかっ
た国大協全体にあることを強調しておきたい。そのことは、本日の臨時総会の
時期設定にも象徴的に現れている。詳しい経緯はもはや学長諸氏には不要であ
ろうから、国会審議期間中に明白となった以下の諸点を付加しておく。

 第1に、新旧会長下の国大協執行部は、総会という最高決定機関における法
案の検討をあくまで回避する一方、国会参考人質疑に出席して、あるいは複数
の全国紙を使って、法案賛成の意思を繰り返し表明した。石特別委員長に至っ
ては、国大協全体が法案に賛成しているかのような、国民と国会を欺く発言を
幾度となく行った。

 第2に、法案成立はおろか法案成文化以前から、準備作業が強制・強行され
てきた。国会では、このことが立法権を侵害する行政権の濫用として糾弾され、
審議が長期にわたってストップした。だが、このような準備作業が可能であっ
たのは、法人化特別委員会等の国大協執行部が、文科省と極めて深く癒着・融
合していたからである。このことは同特別委員会の審議経過と資料をみれば明
らかである。

 第3に、国会審議を紛糾させた労働安全衛生法適用猶予等の違法脱法行為の
要請も、公式には4月17日の国大協特別委員会に端を発している。しかし、
その実態は、同委員会に文科省幹部が出席していることからも明らかなように、
文科省と国大協執行部が協議した上、違法脱法行為の要請を準備したのである。

2 本日の臨時総会では、これまでの経過からみて、衆参両院での附帯決議より
も遙かに弱々しい要望が議決されることであろう。そして、臨時総会よりも時
間の長い国立大学長等会議が文科省によって開催され、準備作業が公式に開始
される。学長諸氏には、これから法人化準備という困難な作業が待ち受けてい
る。しかし、本日をもって4年間の長きにわたって議論されてきた国立大学独
立行政法人化問題が終わるわけではない。準備作業の再開(公式開始)という
新たな局面のなかで、改めて国立大学法人法の問題点を具体的に明らかにし、
その一つ一つと闘うことこそ、学長諸氏に求められていることである。学長諸
氏には、この困難な課題に取り組んで頂きたく、さしあたり以下の諸点を強く
要請する。

 第1に、衆参両院での審議と、それを反映した附帯決議を厳密に踏まえて、
準備作業を進めなければならない。もし文科大臣が「お詫びの言葉」で述べた
ような理不尽な事態が引き続き起こるならば、学長は直ちにそうした準備作業
を停止させる義務を負っている。

 第2に、準備作業で浮かび上がる問題点については、国大協執行部が採って
きたような違法・脱法行為を黙認する方針や、事態を先送りする玉虫色の解決
で誤魔化してはならない。問題点を大学内外に公開し、それが法そのものに関
わる場合には、法の凍結等を国会に対して要請しなければならない。それが学
長の社会に対する責任である。

 第3に、理事・監事ポストについては官僚の「天下り」用ではないのか、と
いう批判が広範に湧き起こっていること、また学長選考過程にも社会の関心が
高まっていることに十分留意しなければならない。不合理・不適切な理事の人
選、従来の民主的慣行を踏まえない学長選考に対しては、徹底的に闘うことを
表明しておく。

 第4に、定員外職員を含むすべての教職員の雇用の継承を保証しなければな
らない。国家公務員身分の継続を求める職員については、国会答弁どおり、そ
の実現をはかるべく努力しなければならない。給与等待遇の切り下げには断固
たる態度で臨むことを通告する。

 第5に、準備作業は、週40時間の労働時間内で進めなければならない。部
局長、評議員等の作業も同様である。国会審議のなかでも取り上げられたが、
過労の中で亡くなったある大学の部局長の悲劇を絶対に繰り返してはならない。
いうまでもなく、超過勤務手当の支給できない残業を絶対に行わせてはならな
い。そのような事態が起こる場合には、われわれは躊躇なく告発することを宣
言しておく。

 第6に、労働安全衛生法、労働基準法等への対応準備が間に合わないことが
予想される場合には、直ちに国立大学法人法の凍結を要求しなければならない。
労働法制をはじめとした違法・脱法行為に対しても、われわれは躊躇なく告発
することを宣言しておく。

3 国立大学法人法の成立は、法そのものの本質的問題点を具体的に検証する過
程が始まったことを意味する。これに対するわれわれの基本的見地は、7月1
0日付の声明「新たな局面と新たな闘い―国立大学法人法の「終わりの始まり」
に寄せて―
」(別添資料)で既に述べた。われわれは、同法による大学破壊を
阻止するために全力で闘うとともに、法そのものの廃止と新たな大学法制の構
築に向けての行動を開始する。