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独行法反対首都圏ネットワーク


                          新たな局面と新たな闘い

              ―国立大学法人法の「終わりの始まり」に寄せて―

                                                         2003年7月10日
                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 
 国立大学法人法案等関連6法案は、2月28日に提出、4月3日衆議院本会議の趣旨説明によって審議が開始された。同法案は、当初設定された6月18日の会期末を大きく過ぎた7月8日に、参議院文教科学委員会における不当な採決強行を経て、ようやく参議院本会議に上程されたのである。そして、9日の本会議において、山根隆治(民主)、畑野君枝(共産)両議員の明快な反対討論の後、採決され、賛成131、反対101(投票総数232)で可決成立することとなった。

 この三カ月余りにわたって展開された様々な行動、すなわち全国からの傍聴活動、多くの参考人の方々の理路整然たる意見陳述、議員事務所を直接訪ねる要請活動、要請のファックスとメール、数次にわたる全国紙上と数々の地方紙上の意見広告、枚挙に暇のない多種多様な宣伝・抗議行動、教職員組合と教授会の堂々たる決議、勇気ある意見表明の数々などなどが、大きな流れとなった。これらが一体となって、国会審議を活性化させ、世論とマスコミを動かし、政府・文科省を確実に追い詰めていったのである。

 こうして審議が進むにつれて、法案の根本的問題点と、準備作業と称する国会軽視の行政権濫用が広く知られるようになった。当初5月連休前ともいわれた成立日程が次々と遅れていった。イラク新法提出による会期延長がなければ、本法案は当然廃案となったものであり、また、会期延長されても8日のような民主主義的ルールを踏みにじる強権的議事運営がなければ、審議未了・廃案となるべきものであった。結局のところ与党は、審議を尽くさないまま(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030709syutkenseimei.html)、本法案を可決成立させたのである。改めて、政府・文科省ならびに与党に対して、怒りをもって抗議するものである。

 法案の可決成立を受けて、文科省とそれに深く癒着した国大協執行部は、14日の国大協臨時総会と引き続く国立大学学長会議を皮切りに、法人化準備作業の強行を各大学に迫って来るであろう。わたしたちは、国立大学法人法反対闘争が新たな局面にはいったことを直視しなければならない。新たな局面における新たな闘争は、次の二つの課題によって構成されよう。

 第一の課題は、法人法が企図する大学の破壊にあくまで反対し、大学自治を再生・発展させ、定員外職員を含むすべての教職員の雇用と労働条件を守ることである。そして、この課題を担うべき強固な主体を大学内に形成することである。

 第二の課題は、国立大学法人法の凍結を経て、最終的には法そのものの廃止を実現することである。国立大学法人法が示す法人は、制度設計的にも未確定な部分が多く、また設計された内容も不備で矛盾に満ちている。その上、財政的にも、その発展はおろか維持さえも危ぶまれる代物である。加えて、来年4月の実施が絶望的であるということは、もはや大学内では常識となっている(日本経済新聞7月9日夕刊http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030709nikeei-3.html)。

 この二つの課題は互いに連携している。第一の課題が掲げる大学内の具体的問題を突き詰めれば、必然的に第二の課題が提示する国立大学法人法そのものの再検討へ繋がらざるを得ないであろう。第二の課題は、再び、新たな国会闘争を引き起こすことになろう。こうして新たな闘いは、わたしたちが追求する真の大学改革とそれを支える新たな法的枠組を構築する道へと発展するのである。

 この間、国立大学法人法案を阻止するための闘いは、各大学の教職員組合を基軸としながら、様々な組織、団体、有志、個人が多様な形で連帯し、そして法案に反対する文化人・知識人、野党各会派や与党内部の心ある議員諸氏と深く連携することによって進められてきた。わたしたちはこの連帯と連携に深い感謝の念を表明する。この絆をさらに発展させ、国立大学法人法反対の新たな闘いに、休むことなく立ち上がろうではないか。