独行法反対首都圏ネットワーク |
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目 次
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[101-1] (転載)国公立大学通信[kd 02-12-30] より:年末の挨拶
[101-2] 「国立大学独法化の諸問題」2002年紹介文書20
「国立大学独法化の諸問題」ログ 11.26-12.28(12/28等の日付は掲載日)
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[101-1] (転載)国公立大学通信[kd 02-12-30] より:年末の挨拶
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2002年12月30日
大学関係者の皆様へ
どなたも「だるまさんがころんだ」(*0)(名称は場所により違いますが)を
ご存知と思います。日本の現況にはこの遊びと似た面があります。研究に著述
に教育に大学運営に趣味に娯楽に没頭し、たまに振り返って見つめる瞬間には、
世相は良くも悪くも変化していないように見えますが、ある日「だるまさんが
ころんだ」を唱えている最中に何かに捉えられてしまう、そういう状況にある
ように思います。
「権力への抵抗を回避する一つの手段は、権力がないふりをすることだ」と
ウォルフレンは「人間を幸福にしない日本というシステム」(*1)で指摘してい
ますが、民主主義体制下で非公式権力が権力を行使する基本様式は、人々が自
分のビジネスに没頭している合間に、気づかれないようにそっと動くこと、し
かも、たまに振り返ってみても察知できないほど、かすかに動くことです。
しかし、振り返る頻度を若干増せば動きが見えるようになります。そして、
余りに接近したときは、遊びの場合とは違い、向き直って対峙することも出き
ます。人々に対峙されれば雲散霧消するのが民主主義体制下の非公式権力の定
めです。しかし、人々が気付かず対峙しなければ、民主主義のルールの微少変
更を積み重ねて公式に権力を獲得し、対峙できないまでに強力なものとなって
私達を捕捉してしまいます。国内外の現在の諸々の動きは、対峙可能な時期の
最終段階に到達しつつあることを示していないでしょうか。
ところで、臨時国会では、特殊法人放送大学学園の民営化が決まりました。
最初は歳入の約6割が国費である特殊な学校法人となります。また、2月下旬
公表予定といわれている「国立大学法人」法案では、「国立大学法人」は学校
法人に限りなく近いものとなるようです(*2)ーー自立性が高まるのではなく、
行政法人より自立性がさらに低い特殊な学校法人に。また、公立大学は行政が
大学との至近距離にあるために、国立大学以上に外部からのトップダウンな大
学改造が急速に進んでいます(*3)。企画立案と実施機能の分離が大学には全く
適しないといって独立行政法人化にあれほど反対してきた大学社会が、大学内
部では企画立案と実施機能の分離に他ならないトップダウン体制を疑問に思わ
ないのは不思議です。
さらに、教育セクタへの学校株式参入を文部科学省が容認したことが昨日報
道されました(*4)。世界科学者連盟が警告(*5)したように、種々の「非公式権
力」が世界の知的資源をコントロールし、世界の人々の真後ろまで急接近して
います。
一方、表現の自由への種々のタイプの圧力が着実に強まっています。
昨年導入された初等中等教育における「指導力不足教員」研修制度が、予期
されていた通り、上司を批判する教員に対する懲罰的なものとなっている例が
次第に知られるようになってきてました(*6)。研修内容が肉体労働である例す
らあります。また、年休を届けに行った教員に対し「そんなことでは指導力不
足教員になる」と発言する校長の例も伝えられています。
また、通信傍受法からさらに歩を進め、個人情報流出防止や種々の犯罪防止
を口実に、インターネットサイト開設への許認可制や、コンテンツ検閲の法制
化が検討され始めています(*7)。政府広報に終始する既存メディアの情報流布
の偏りを是正する可能性を秘めたインターネットを規制する動きは軽率です。
12月19日に発表されたユネスコのコミュニケーション・情報(CI)部門
の「情報社会における表現の自由」シンポジウムの最終報告書(*8)では、イン
ターネットでの表現の自由と情報流通の自由の重要性を強調し、テロや犯罪防
止を口実にした検閲の導入に十分警戒するように世界各国の関係者に呼びかけ
ています。
だいぶ、長くなってしまいました。
実社会に比して多少なりとも言論の自由が残されている大学セクタに、時代
が求めている役割があると思うのです。研究に著述に教育に大学運営に趣味に
娯楽に没頭することを止める必要は全くありませんが、大学セクタの十数万人
が、単に世相を振り返る頻度を今より若干増やすだけで、そしてまた、自然な
機会があれば一言でもコメントするだけで、微少な動きを通した非公式権力の
意図実現を牽制することは可能となるでしょう。国内外の重大な歪みが加速す
るいま、時代は、この程度のことを大学セクタの住人に要求する権利を持って
いるように思います。
短かい年末年始の休暇ですが、「国立大学独立行政法人化の諸問題」のペー
ジ(*9)で今年紹介しました文書の中から20編をご紹介しましたので、いくつ
かをご覧いただければ、幸いです。
それでは、どうぞ良い新年を。
--註------------------------------
(*0) 「みんなあつまれ!あそびのひろば」サイト
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(*1) カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳)「人間を幸福にしない日
本というシステム」新潮OH!文庫 ISBN 4-10-290008, 2000.10.10刊.
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(*2) 「国立大学の独立行政法人化を憂慮し、名古屋大学のあり方を考える有
志の会 声明」2002.12.26 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4904.html
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(*3) 「いま横浜市立大学で何が起こっているか---大学内外の声」
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(*4) 「株式会社の学校設置 「構造改革特区」で容認へ 文科省」
[NHKニュース速報 2002.12.28]
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(*5) 世界科学者連盟の呼掛け
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(*6)「指導力不足教員」研修制度適用例
戸田先生を学校現場に戻す会(宮城県2002.9.7発足)
「戸田慎一先生を早急に学校現場に戻すことを求める申入書兼公開質問状」
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大岡みなみ「教育委員会から「不適格教員」にされた 「金髪先生」の言い分
恣意的な「判断」危惧する声も」(千葉県2001.5.18)
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大岡みなみ「「教員処分を検討する東京都多摩市教委 「偏向授業」と決め付
け 意図的な「事情聴取」に疑問の声」」(東京都2001.6.1)
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一宮市教職員労働組合申し入れ書(愛知県2002.5.14)
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(*7) 「少年有害環境対策研究会」検討案(警察庁 2002.12.26)
意見募集 2003.1.20まで
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(*8) ユネスコ 通信情報部門(IC Sector)「情報社会における表現の自由」
シンポジウムの最終報告書(2002.12.19)より
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「主たる結論:私達は、インターネットを魔的なものと見る誘惑に負けてはい
けない。インター ネット上での犯罪は(ハッカーによる攻撃を別にすれば)
特に目新しいものではない。それは、社会生活にはつきものの諸挙動を反映し
たものでしかなく、従来のメディアでも見いだせるものである。したがって、
私達はインターネットを、その現実の欠陥や潜在的欠陥に着目するだけでなく、
民主主義の道具として見る必要がある。
犯罪が(テロ行為、ポルノ、人種差別攻撃等の)重大なものであるときに、
それを口実にして、社会全体の保護と道徳的規範の尊重という大義名分の下で、
内容の検閲がしばしば行なわれる。すべての関係者に、このような心配な成行
きに警戒するよう忠告されるべきである。インターネット上の表現の自由は、
危機と争いの時代には、他のどの時代にも増して重要なのである。・・・」
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(*9) 国立大学独立行政法人化の諸問題 http://ac-net.org/dgh/
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[101-2] 国立大学独立行政法人化の諸問題ページ 紹介文書20
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[101-2-1]伊ケ崎暁生(元富山国際大学教授・教育学)
「国立大学法人化と教育基本法第10条」(2002.12.27)
[101-2-2]「国立大学の独立行政法人化を憂慮し、名古屋大学のあり方を考える有
志の会 声明」2002.12.26 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4904.html
[101-2-3]「組織への精神的隷属を強化する懸念」パブリックコメント2002.12.15
「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方につい
て(中間報告)」に対する意見
[101-2-4]日本学術会議天文学研究連絡委員会声明(2002.12.9)
「日本の科学を病弊させるトップダウン政策の見直しを」
[101-2-5]喜多村 和之(私学高等教育研究所主幹)(2002.11.21)
「制度の根幹にかかわる法改正―気付いてみれば法律違反」
[101-2-6]参議院文教科学委員会(2002.11.21)
学校教育法改正案可決の際の市川昭午参考人の意見
[101-2-7]豊島耕一「「学問の自由」は消費するだけでいいのか?
憲法・教基法の効力が試される国立大独法化問題」(2002.11.1)
[101-2-8]独法化反対首都圏ネット事務局声明 (2002年10月15日)
「拡がる混迷、激化する矛盾 国立大学独法化を白紙に戻せ!」
[101-2-9][101-2-藤田宙靖氏への公開書簡]「最高裁判事ご就任にあたってのお願い」(2002.10.6)
[101-2-10]塚原 修一(国立教育政策研究所高等教育研究部総括研究官)
「米国の産学連携―宮田大阪府大教授の講演会から」(2002.8.27)
[101-2-11]喜多村和之(私学高等教育研究所主幹)(アルカディア学報No.82 2002.7.3)
「一人歩きする評価―IMD世界競争力白書にみる」
[101-2-12]野田 正彰「今日の視角 国立大法人化という詐術」(2002.6.14)
[101-2-13]磯谷桂介(文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室長)
「産学(官)連携の戦略的取組み」
[101-2-14]総合科学技術会議科学技術システム改革専門調査会第14回 2002.6.7 議事録(案)
[101-2-15]神野直彦「人間回復の経済学」
(2002.5.20 岩波新書782 ISBN 4-00-430782-1)
紹介と引用(独行法反対首都圏ネット)
[101-2-16]国立大学独立行政法人化阻止全国ネットワーク世話人会
「大学人の最低限の「社会貢献」は大学存立の原理を守ること
-- 見解と行動提案 --」(2002.5.9)
[101-2-17]田中鹿児島大学長「国大協臨時総会の報告」2002.4.23
[101-2-18]最終報告をめぐる声明、意見表明など
[101-2-19]伊吹浩一「大学人よ、もっとプライドをもて」
アソシエ21ニューズレター2002年3月号 No.35 論説
[101-2-20]東京大学卒業式(2002.3)におけるオックスフォード大学ルーカス総長の祝辞
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「国立大学独立行政法人化の諸問題」サイトのログ 2002.11.26-12.28
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[101-edu] 教育問題
[101-edu-1] 12/28 指導力不足教員制度
[101-edu-1-1] 12/28 指導力不足の教員 道教委が1人認定(北海道新聞
[101-edu-1-2] 戸田慎一先生を早急に学校現場に戻すことを求める申入書
[101-edu-1-3] (2001.5.18) 大岡みなみ「教育委員会から「不適格教員
[101-edu-1-4] (2001.6.15) 大岡みなみ「逮捕・懲戒免職された「金髪
[101-edu-1-5] (2002.11.1) 山口正紀「<本当のこと>を伝えない新聞
[101-edu-1-6] 「根津公子さんのページ」
[101-edu-1-7] 大岡みなみ氏「セカンドインパクトーー新聞に未来はある
[101-edu-2] 12/28 心病む教師増える 休職、最多の2500人−文科省調査
[101-edu-3] 12/15 教育基本法に対する意見など:「組織への精神的隷属を
[101-edu-4] 12/13 総合規制改革会議第二次答申平成14年12月12日
[101-edu-5] 12/06 Hikki's WEB SITE:家永三郎氏への弔辞(2002.12.2)
[101-dgh] 独立行政法人問題
[101-dgh-1] 12/19 総務省 政策評価・独立行政法人評価委員会第20回(
[101-dgh-2] 12/19 国立大学法人化特別委員会(第10回 2002.12.10)議事
[101-dgh-2-2] 12/19 同メモにおける大学改革推進室長の発言について
[101-dgh-3] 12/19 「特集:右往左往の中期目標・中期計画策定作業」
[101-dgh-4] 11/30 「国立大学・国立病院の民営化提言 「官製市場見直
[101-dgh-5] 12/07 (静岡新聞2002.12.06)静岡大学長法人化を学生に説明
[101-dgh-6] 参議院文教科学委員会(2002.12.03)の質疑
[101-dgh-6-1] 放送大学学園の学校法人化
[101-dgh-6-2] 日本私立学校振興・共済事業団の一部改正案
[101-dgh-6-3] 日本芸術文化振興会の独立行政法人化
[101-dgh-6-4] 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案
[101-uni] 大学の動き
[101-uni-1] 12/21 (北海道新聞2002.12.21) 6単科大の統合断念 「法人
[101-uni-2] 12/20 (山形新聞2002.12.18)山大教育学部存続へ15団体の連絡
[101-uni-3] 12/12 横浜市立大学から
[101-uni-3-1] 永岑研究室サイト:大学問題日誌−いま大学で起きている
[101-uni-3-2] いま横浜市立大学で何が起こっているか---大学内外の声
[101-uni-3-3] 第3回「市大あり方懇」(2002.11.25)傍聴記(2002.12.9)
[101-uni-4] 12/07 群大教育学部 教官69人存続要求声明
[101-ikn] 大学問題意見表明
[101-ikn-1] 12/27 細川孝「大学は今一つの焦点としての研究者の人権問題」
[101-ikn-2] 12/27 伊ケ崎暁生「国立大学法人化と教育基本法第10条」
[101-ikn-3] 12/27 国立大学協会臨時総会2002.4.19 における意見表明より
[101-ikn-2-1] 鹿児島大学長:最終報告についての意見表明
[101-ikn-2-2] 静岡大学長:調査検討会議最終報告への意見
[101-ikn-4] 12/12 佐藤真彦「学問の自由と大学の自治の敵」 2002.12.11
[101-ikn-5] 12/19 渡辺勇一「大学は悲鳴を上げずに、弱ってゆく。
[101-ikn-6] 12/09 永井道雄「未完の大学改革」より
[101-ikn-7] 12/05 「制度の根幹にかかわる法改正―気付いてみれば法律違反」
[101-ikn-8] 12/05 (2002.11.21)学校教育法改正案可決の際の質疑より
[101-ikn-8-1] 市川昭午参考人の意見と質疑より
[101-ikn-8-2] 畑野議員質疑と反対討論
[101-ikn-9] 11/30 豊島耕一「「世界」02年12月号の大学問題特集批判」
[101-ikn-10] 11/26 深谷信夫氏 全大教への書簡1(2002.11.22)
[101-acd] 研究問題
[101-acd-1] 12/21 石垣武男「効率化」(『メディカルレビュー』87号)
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[101-mda-5] 12/04 元日経記者懲戒処分無効確認等請求上告理由書(11.29)
[101-mda-6] 11/26 「記者クラブ 廃止求むー規制改革協議でEUが弊害指摘」
[101-lbr] 労働問題
[101-lbr-1] 12/28 公務員の能力給見送り、改革大綱見直す方針(読売12.28)
[101-lbr-2] 12/17 「労働政策審議会労働条件分科会における「報告」(案)
[101-etc] 諸問題
[101-etc-1] 12/15 ビル・トッテンからのレター「No.552 国有化の条件」
[102-etc-2] 12/19 哲学クロニクル346 ギュンターグラス「ファシズムの顔」
[101-etc-3] 12/01 小山雄二「競争型社会から協力型社会へ(1)」
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編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp
関連ページ:http://ac-net.org/dgh/
全文申込(無料):http://www.mag2.com/m/0000031268.htm
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