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首都圏ネット事務局です。以下の文書を発表いたしましたので、お知らせいた します。資料については、ウェブページに掲載いたしますので、そちらをご参 照下さい。 2005年度国立大学関係予算政府案を分析する 2004年12月30日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局 去る24日、2005年度予算政府案が閣議決定された。同日国大協は会長 名で「平成17年度国立大学関係予算の政府案決定と今後の対応について」 (国大協企画第125号。以下、『12.24国大協会長文書』)を各会員大 学代表者(学長)宛に送付し、来年1月13日に臨時理事会を開催して対応を 検討する旨表明した。同文書には国立大学関係予算の枠組み等にかかわる文科 省の資料(以下、『文科省資料』。引用を容易にするために本事務局でA〜G のラベルをつけた)が添付されている。なお、これに先立ち、22日には、文 科省高等教育局国立大学法人支援課長名による「国立大学の授業料標準額の改 定について」という事務連絡文書(以下、『12.22支援課長文書』)が各 大学の学生納付金担当理事宛に送付されている。本事務局は、これらの文書を まず公開することとする。 (1)12.24国大協会長文書 (2)文科省資料(A〜G) (3)12.22支援課長文書 また、それらの文書を基にして、2005年度国立大学関係予算政府案の解 説と分析を試みたのでその結果を併せて以下に示す。 1.国立大学法人の収入:『文科省資料A,F』が全体を理解する上で便利で ある。 (1)収入の項目 授業料等、雑収入、運営費交付金、病院収入の4つである (2)各項目の増減 1)授業料:授業料標準額の増額(15,000円)による収入増81億円が既に組 み込まれて、総額86億円増。『文科省資料G』の2)参照。 2)雑収入:1億円減。根拠不明。 3)運営費交付金:『文科省資料G』にあるとおり98億円減。 4)病院収入:経営改善係数2%分=92億円の収入増が前提にされている。 総額104億円の収入増のためにはさらに12億円の収入増が必要だがその根 拠は不明(医療費「改革」?)。 (3)事業費総額 91億円増。このうち81億円は授業料値上げによる増収であることに注意。 2.国立大学法人の支出:『文科省資料A,F』が全体を理解する上で便利で ある。 (1)支出の項目 特別教育研究経費、教育研究費等、退職手当等、病院関係経費の4つである。 (2)各項目の増減 1)特別教育研究経費:45億円増。競争的経費への傾斜を示す。『文科省資 料B,G』参照。 2)教育研究費等:46億円増額することによって効率化係額97億円減額分 を51億円減に圧縮。『文科省資料B,G』参照。 3)退職手当等:78億円増。 4)病院関係経費:病院関係経費=病院収入+運営費交付金(病院診療関係相 当分)であるから、病院関係経費の増額が19億円に留まっていることは、運 営費交付金(病院診療関係相当分)が平成16年度の584億円から499億 円へ85億円、率にして約15%の減を意味する。 3.2005年度国立大学関係予算政府案の本質 (1)2005年度国立大学関係予算政府案は授業料値上げを前提として作ら れている。 文科省は、「運営費交付金の減額は98億円、0.8%に過ぎない。現状ではベ ストに近い予算案である」と主張していると伝えられているが、これはことの 本質を覆い隠すデマゴーギッシュな主張である。『文科省資料G』に示された 「算定ルール」による189億円の運営費交付金減額を98億円にまで圧縮で きたのは、授業料値上げによる81億円増収や病院収入において経営改善額以 外に12億円の増収などを見込んでいるからである。そして、政府支出は疑い なく189億円、率にして1.5%強減少するのである。 (2)授業料の連続的値上げが導かれる 政府支出減を最も確かな収入増である授業料値上げでまかなおうとするなら ば、授業料を毎年値上げしなければならないことになることは明白である。す なわち、学生と父母の負担が毎年増大するのである。しかも、退職手当等増7 8億円(ほぼ授業料値上げ増収額に匹敵)となる2005年度は教職員数が最 も少ない世代が定年を迎える年度であり、第1次ベビーブーマーが定年に達す る2007年度は退職手当経費はピークになると推定されていることにも注目 しておこう。 (3)病院の独立採算制移行への拍車がかかる 2(2)4)で指摘したように、病院の経営改善係数2%の強制によって、 病院診療関係相当分の運営費交付金は全体の10倍、年15%の率で減少して いる。この率で減少するならば、5年で当初年度の約50%になる。そうなれ ばもはや事実上の独立採算制となるが、果たしてそれで大学病院としての任務 が果たせるのであろうか。 4.問われる各大学、そして国大協の姿勢 授業料値上げを前提とした政府予算案を粉砕しない限り、学生と父母への負 担増によって運営費交付金削減をまかなうという悪無限的構造が確立される。 各大学が個別に対処するのではなく、全国立大学が一致してきっぱりと授業料 標準額値上げを拒否し、国立大学関係予算政府案の組み替えを要求することが 必要である。そしてこのような運営費交付金制度をもたらした国立大学法人法 の廃止へと進まねばならない。 国大協執行部、なかんずく国立大学法人法案の国会審議過程で参考人として 同法に賛成の意見陳述を行った佐々木会長は、自らの責任を自覚しつつ、予算 案組み替えのための行動を直ちに展開しなければならない。その意味でも1月 13日の臨時理事会が注目される。 |