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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大学独法化問題週報83号抄
 
[he-forum 3443]  国立大学独法化問題週報83号抄.
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国立大学教職員 各位

 旧文部省の佐々木前高等教育局長在任最終日の2000年6月14日に、国
立大学協会は「独立行政法人化に反対しつつ独立行政法人化のための調査検討
会議に参加する」ことを決めました。言葉では大学社会と学術社会から挙がっ
ていた無数の反対と批判の声に応え、行動では前高等教育局長の将来を配慮し
たものとなりました。記者会見で、法人化を容認したものではなく、法人化の
議論に大学が影響を与えるために参加するのだ、と前国立大学協会会長は弁明
しました。影響を与えることに失敗した今、調査検討会議を辞任することによ
り、調査検討会議委員の半数を占める約30名の国立大学関係委員は2000
年6月14日国立大学協会総会決議に伴う責任を全うすべきではないでしょう
か。文部科学省から受けた協力要請に個人的に参加しているから、国立大学協
会決議など自分には関係がない、などという言い訳では誰も納得しないと思い
ます。

 この点を国立大学協会に問いただす共同質問書への連名を本日2月18日
12時まで豊島耕一氏(toyo@cc.saga-u.ac.jp)が受け付けています[83-2]。

辻下 徹

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国立大学独立行政法人化問題週報
Weekly Reports  No.83 2002.2.18 Ver 1

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-83.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
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              目   次
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[83-0]内容紹介
 [83-0-1] 不思議な国立大学協会文書
 [83-0-2] 白川議員の ITER 計画批判
 [83-0-3] 白川議員発言録ページ
 [83-0-4] 「記者クラブ」発の記事の例
 [83-0-5] 大学ビッグバンの真意
 [83-0-6] 公正取引委員会は1999年7月に「新聞業における特定の不公正な取引
[83-1] ◆国立大学協会見解(2/4):教育公務員特例法について
[83-2] ◆「国大協会長への共同質問書」連名募集(締切2月18日(月)正午)
 [83-2-1] 国立大学協会会則抄
[83-3] ◆長尾主査への要請書:「国立大学職員の「非公務員化」に反対する」
[83-4] 独行法情報速報 No.13 特集:独法化による非公務員化・民営化
[83-5] 総合科学技術会議におけるITER問題の審議状況
 [83-5-1] 第14回(2002.1.30)議事要旨
 [83-5-2] ITER 問題
  [83-5-2-1] 第14回配付資料3-1 「ITER 計画の審議について」
  [83-5-2-2] 第13回配布資料3-1「ITER計画に対する考え方(2001.12.25)」
  [83-5-2-3] 第13回における白川議員の発言
[83-6] 白川議員、第13回総合科学技術会議において14年度予算を批判
 [83-6-1] ◆教育基盤校費が増加しなかったことの批判と文部科学大臣の言訳
 [83-6-2] 白川議員発言集
[83-7] 文部科学省「人材委員会」の動向
 [83-7-1] 科学技術・学術審議会人材委員会における検討状況について
 [83-7-2] 人材委員会の設置について
 [83-7-3] 人材委員会委員名簿
[83-8] 発行人の意見
 [83-8-1] ◆中教審のパートタイム学生制度等答申案への意見
 [83-8-2] ◆高等教育フォーラムより No 4098:「時代の流れ教」考
[83-9] 国立大学通信より
 [83-9-1] (kd 02-02-09-3) 好奇心ではなく考える葦として
[83-10] その他
 [83-10-1] 日経「国立大再編・統合の検討状況公表、明確な理念見えず」
 [83-10-2] 「ブッシュ大統領、ノーベル平和賞候補に。」
 [83-10-3] 「エンロン破綻が示したアメリカ型経済の欠陥」
 [83-10-4] 「新聞業における特定の不公正な取引方法の全部改正」
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[83-0] 内容紹介

[83-0-1] 不思議な国立大学協会文書

国立大学協会は、非公務員型になる場合には教育公務員特例法を私法化せず国
立大学法人法に盛り込むべきである、という意見書[83-1]を文部科学省の問い
あわせに応じる形で出している。文部科学省と国立大学協会(というよりは、
その実体である東大・京大)との不即不離の関係を考えると、これが非公務員
型独立行政法人を国立大学協会は容認する意思表示の「儀式」に見えてくる。
教育公務員特例法の維持は、当初、独立行政法人化の際の特例措置の中でも当
然のものと考えられていた。それを一旦ご破算にし、再度認める、という手順
で非公務員型法人化を大学社会に受け入れさせよう、という筋書が見えてくる。
国立大学協会が大学社会の意見よりは文部科学省の意向を優先してきた長年の
行状を思えば十分有りうることではないだろうか。

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[83-0-2] 文部科学省、白川議員の ITER 計画批判を無視

ITER 計画政策決定に向けて、国民的議論も喚起されずに総合科学技術会議で
静かに進められている[83-5-2]。第二期科学技術基本5ケ年計画の24兆円の
かなりが、ITER計画に費やされることになる。文部科学省は「第二期科学技術
基本計画に示された科学技術関係経費を拡充していく中で、年間3〜4%の原
子力関係経費の伸びを想定すれば、ITER計画の誘致に必要な予算を確保す
ることは可能である。」と財務省に答えているが、原子力関係経費が年間3〜
4%伸びることなど一体国民的合意が得られると思っているのだろうか?

 また、白川議員が12月25日にITER計画に関して批判[83-5-2-3]して
いる2点、(1)核融合研究における日本の競争的環境を破壊すること(2)核融合
が電力として実現するまでに最低必要な50年の間のエネルギーをどうするか
という研究への配慮が欠如していること、については、無視[83-5-2-1]。

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[83-0-3] 白川議員発言録ページ

 また、白川議員は、ここ数年、大学院生数が毎年6%も増加する中で、来年
度予算でも国立大学の教育基盤経費が据え置かれたことを批判している[83-6]。
それに対して文部科学大臣は「競争的資金が増える中で減らなかったことはあ
りがたいことだ」と答えている。

 日本の学術研究の世界の「司令塔」総合科学技術会議において、目先の利害
を離れて、日本の長期的国益を思って発言しているのは白川議員だけのように
私には感じられる。その努力をマスメディアは全く伝えない。そこで、総合科
学技術会議での白川議員発言録のページを構築中である[83-6-2]。

 学生として研究者として教員としてやるべきことをやってからものを言え、
という人が学内外に多い。それがいかに不誠実な発言であるかは、文部科学省
や内閣府が白川議員の発言を全く無視していることを見れば明らかだろう。
「ノーベル賞受賞者の発言も無視されるとすれば、一介の大学教員が何を言っ
て無意味」という諦めを広げるためではなく、「ノーベル賞を取ってから物を
言え」風なサブリミナルな「言論弾圧」を行う学内外の人達に猛省に促すため
に、白川議員の発言が政府や文部科学省によって無視されている実態を記録し
ていきたい。

 いつでも誰でも政策の欠陥に気づいたときには「分際」などという前近代的
な意識に妨げられることなく、率直に社会に向けて政策の問題点を指摘し批判
する健全な国に日本が成長することを願っている。

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[83-0-4] 「記者クラブ」発の記事の例

  日経が文部科学省批判を含む署名長文記事を掲載している[83-10-1]。しか
し、この記事も、「一部に抵抗が強い法人化問題でも(中略)現場の論議はす
でに法人化の是非論議から、具体的にどんな対応をとっていくかという、各論
段階に突入している。」という表現で、法人化に関する大学社会の普遍的懸念
を「一部の抵抗」という表現で矮小化して伝えている。「一部に抵抗が強い」
と言うなら、文部科学大臣への公開質問状や、国立大学協会会長への共同質問
書など、「抵抗」の内容を具体的に国民に伝えるのがジャーナリズムの努めで
はないのか。文部科学省を申し訳程度に批判しても、政府広報的姿勢は露骨な
記事であり、より効果的なサブリミナル世論誘導を伴った記事である、と発行
人は判断したが、読者はどう思われただろうか?ぜひ全文を読まれたい。

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[83-0-5] 大学ビッグバンの真意

 金融ビッグバン・会計ビッグバン・大学ビッグバンは、「注文の多い料理店」
の山猫が旅人を食べる準備として、マインドコントロールで自ら体を浄めさせ
たのに似ているという危惧[64-0-1]は杞憂ではなさそうだ。20万近い読者を
持つメールマガジン「田中宇の国際ニュース2月10日号」[83-10-3]で、エ
ンロン疑惑事件を取り上げているが、他国の企業・銀行に情報公開を強要しな
がら、アメリカでは不透明な経営が横行していることを詳しく報告し、こう結
んでいる「アメリカ政府が、エンロンのような政界と癒着した自国企業の情報
公開不足を大目にみていた反面、アジア諸国に対しては厳しい批判を続けてい
たという事実は、情報公開や腐敗防止策をさせることでアジアの企業を弱体化
させるのが真の目的だった、という見方が正しかったことを表している。」

 昨今の大学改革、そして、今進められている独立行政法人化のような不毛な
努力に国公立大学が疲弊し力を失なっていき、また、私立大学も、行政の強い
統制下に置かれて活力を失っていくとき、得をするのは一体誰なのか。

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[83-0-6] 公正取引委員会は1999年7月に「新聞業における特定の不公正
な取引方法の全部改正について」という告示を出したことはどの程度知られて
いるのだろうか[83-10-4]。これにより、長期的な定期講読者は値引き交渉を
試みるて全く無駄とは限らなくなったようである。イギリスの著名な新聞が値
下げしたことが先日報じられた。作為的虚偽報道をして正式に抗議されても平
気で同じことを繰り返すような新聞が多数の定期購読者を保つような時代は間
も無く終わりを告げるだろう。

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[83-1] ◆国立大学協会見解(2/4):教育公務員特例法について
文科省調査検討会議連絡調整委員会第6回2002.2.7 資料

「新しい『国立大学法人』像について(中間報告)」に対する国大協意見の
補足説明について
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/204-kdk.html
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[83-2] ◆「国大協会長への共同質問書」連名募集(締切2月18日(月)正午)
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/QV33.html

「国大協会長への共同質問書を皆様に提案しましたところ,本日15日16時現在
で49名の方の連名への賛同をいただきました.起案者一同と致しましては,同
様の疑問を持たれる方が少なくないことを知り,大変意を強くしております.
引き続き募集していますので,先のメールの質問書案をまわりの方に転送して
頂くなど,ご協力をお願いします.

 また,この問題での疑問点は決してこれだけではないでしょうし,国大協の
「設置形態検討委員会」やそのメンバーへ,あるいは各大学の学長へも質問す
べきことは数多くあるのではないでしょうか.ネットという便利な手段がある
のですから,ぜひ多くの皆さんが独自の内容で個人で,あるいはグループで質
問されるなど,この問題の本質に迫る努力をしていただくようお願いします.

 締め切りの18日12時からおよそ1時間,名簿と,もし字句修正があった場合
はその部分を赤で示した質問書とを次のアドレスに掲示致しますので,ご確認
いただければ幸いです.その後直ちに会長宛に送付したいと思います.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/toMrNagao.html

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[83-3] ◆長尾主査への要請書:「国立大学職員の「非公務員化」に反対する」
文部科学省国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議連絡調整委員
会長尾主査宛2002.2.20提出予定
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020202monkayousei.htm
連名予定(2.13 現在):19大学教職員組合等委員長(全大教北海道・北海
道大学・小樽商科大学・室蘭工業大学・秋田大学・新潟大学・富山大学・茨城
大学・千葉大学・電気通信大学・東京農工大学・東京外国語大学・東京大学・
愛知教育大学・滋賀大学・島根大学・佐賀大学・宮崎大学・鹿児島大学
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[83-4] 独行法情報速報 No.13 特集:独法化による非公務員化・民営化
(独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3433.htm
特集:独法化による非公務員化・民営化
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[83-5] 総合科学技術会議におけるITER問題の審議状況

[83-5-1] 第14回(2002.1.30)議事要旨
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/giji/giji-si14.htm
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[83-5-2] ITER 問題
[83-5-2-1] 第14回配付資料3-1 「ITER 計画の審議について」
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu14/siryo3-1.pdf
1. ITER計画に要する経費の確保に関する議論

1-A. 原子力関係経費の中で確保できる見通しがあるか

【文部科学省】第二期科学技術基本計画に示された科学技術関係経費を拡充し
ていく中で、年間3〜4%の原子力関係経費の伸びを想定すれば、ITER計
画の誘致に必要な予算を確保することは可能である。原子力分野の各種研究開
発については、施設整備の終了等による当然減を有効活用しつつ、優先度を考
慮して実施することになるが、平成18年以降は「もんじゅ」の改造工事終了
等で拡充が可能である。(特別会計の研究開発費は、18年度に14年度の約
8割)
  現在、廃止措置が確定している原子力施設は少数であり、大型の原子力施設
である「ふげん」については、当面の所要経費を織り込み済みである。

1-B. 他の重要政策に影響を与えないか

【文部科学省】ITER計画が我が国にとって重要かつ大規模なプロジェクト
であることから、政府全体で計画の推進に取り組むことが重要である。第二期
科学技術基本計画に示された科学技術関係経費を拡充していく中で、重点4分
野の推進、競争的資金の倍増、国立大学等の施設の計画的整備等の目標を達成
しつつ、宇宙や海洋分野の大型プロジェクトについても優先度に従って推進す
る。あわせて、ITER計画に参加・誘致するための経費を原子力分野の予算
内で確保することは可能である。

2. 誘致した場合の追加的経費に見合う効果が得られるかどうかに関する議論
・・・・
3. 想定した経費を超過する可能性と対処に関する議論
・・・・
4. ITER以外の核融合研究をどこまで進めるべきかの議論

【財務省】ITER計画に並行して、トカマク以外のプラズマ閉じ込め方式の
研究や材料開発を行うことは可能か、メリハリを付けていく必要を含め、具体
的方策を検討する必要があるのではないか。また、核融合研究者の間に、IT
ERを日本に誘致することが望ましいとの幅広いコンセンサスがあるのか、見
極める必要があるのではないか。

【文部科学省】ITER計画を核融合研究開発における実験炉と位置付けるこ
とは、原子力委員会において、大学等の主要な核融合研究者の参画を得てとり
まとめられたものである。我が国の核融合研究開発については、現在、科学技
術・学術審議会の核融合研究ワーキンググループにおいて、重点的・効率的な
推進のあり方を検討している。この結果を踏まえ、重点的な研究開発の推進を
図っていく予定である。

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[83-5-2-2] 第13回配布資料3-1「ITER計画に対する考え方(2001.12.25)」
科学技術政策担当大臣・総合科学技術会議有識者議員
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu13/siryo5-1.pdf   
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[83-5-2-3] 第13回における白川議員の発言

【白川議員】

 ITER計画に参加、誘致することについて、最終判断をするために、もう
少し考慮しなければならない点を2つ述べたいと思います。

 1つは、資料5−1「ITER計画に対する考え方」の4ページ目の最後の
イの部分に書いてあることですが、国内核融合研究について考慮するというこ
とです。それは資料5−2の2ページ、今、桑原議員から説明がありました核
融合研究における各種方式の比較です。日本は科学技術に関して非常に競争的
環境に乏しいと言われていながら、日本ではこの方式全部を競争してやってい
る、非常に競争力のあるところです。そういうところで、トカマクが一番進ん
でいるからということで、ITER計画に取り上げられたわけですけれども、
それに本当に集中していいものかどうかという点には懸念があります。すべて
を競争するというわけには、資金の関係でいかないかもしれませんけれども、
その点を十分に考慮してほしいというのが1点。

それから、2点目は、先ほど井村議員からお話がありましたイギリスでの早期
実現計画の提案ですけれども、具体的にはどこが可能だからということは余り
示されていない。資料5−1にも書かれてありますように、この研究というの
は50年、100年を見なければ電力として実現できないということでありま
すから、じっくり考えなければいけない。その間にエネルギーをどうするかと
いうことが非常に問題なわけです。

端的に言いますと、ITER計画というのは、太陽の中で起こっている核融合
を地上に持ってくるということですけれども、その間に最大限に活用すべき、
科学技術上、資金を投入して研究すべきことの最も大切なところは、現に太陽
から降りそそいでいるエネルギーで、それをもっともっと有効に活用するため
の資源を投入すべきであるという、2つの前提に立って判断をしていただきた
いものだと考えております。」

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[83-6] 白川議員、第13回総合科学技術会議において14年度予算を批判

[83-6-1] 教育基盤校費が増加しなかったことの批判と文部科学大臣の言訳

【白川議員】前回にも申し上げましたけれども、教育研究基盤校費の重要性に
ついて、もう一度述べさせていただきたいと思います。

この中には、教育、研究及び大学という3つの区分がありますが、この10年
間以上で、大学院生の増加というのは非常に大きいものがありまして、ほぼこ
の数年間で毎年6%ぐらい増加をしているわけです。

もともと、この教育研究基盤校費というのは、学生数、あるいは教官数当たり
ということになっていますけれども、14年度予算案を見ますと、前年度と同
じになっています。本来ですと、科学技術の最も基礎になる部分の研究費、あ
るいは教育費が全く伸びなかったというのが大変残念で、平成15年度には是
非このことを考慮して予算を組んでいただきたいと考えております。

【遠山議員】

御指摘の趣旨はよくわかります。確かに、この経費が国立大学等におけます日
常的な教育研究活動実施に不可欠なものということは私も同感です。

一方、競争的資金が大幅に伸びる中で、ほぼ要求どおりの前年度と同額を確保
できたことを、私は関係議員の御支援によるものと、大変感謝いたしておりま
す。
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[83-6-2] 白川議員発言集
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/doc/shirakawa.html

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[83-7] 文部科学省「人材委員会」の動向
中央教育審議会/科学技術学術審議会大学改革連絡会(第5回)H14.1.17 資料より

[83-7-1] 科学技術・学術審議会人材委員会における検討状況について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/006/020101/s3.htm
平成14年1月 科学技術・学術政策局

「第1回人材委員会であった主要な発言を以下にとりまとめる。

1.人材に関する基本的なあり方の整理

 ●我が国は、多様で優れた人材を育成できる仕組みを作ることが必要。

 ●アカデミアが多様な人材を評価する土壌が必要。それを可能にする観点か
らもマネジメントする人に、多様な考えを持った人間をおくことが必要。

 ●幅広い多様なヴィジョンを持つ、優れた人間をどのように育てるか、とい
うことを根本から議論すべき。
 ●持続的な発展が目的となった現在、企業や学校が自由な発想をもって人材
養成できるようにすべき。
 ●文理融合的な研究においては、文系と理系の研究者をつなぐコーディネー
トする力を有した者が必要。

2.大学、大学院教育
 ●大学入学後早くから専門化されてしまう学部教育のしくみにより個人のレ
ベルでフレキシビリティが喪失し、多様性が育たない。学部では幅広く、大学
院で専門化するのがよい。
 ●産業界は大学に対し、(1)教育・人材育成(1)真理追求型の純粋基礎研究、
(3)産業技術に関連ある分野の研究の3点を期待しているが、特に(1)(2)が重
要。
 ●教養教育の再建が必要。
 ●大学経営においてプログラムオフィサーやリサーチコーディネータ等の人
材育成が必要。さらに、マネジメントをリーダーシップをとって行える人材の
育成も必要。
 ●改革は体制といったハードのみならず、それを動かすソフトが重要。ソフ
ト面は各大学の自由に任せる柔軟システムとすべき。
 ●夢、志を持つ学生が少ない。学生の持っているものを早く見つけて、伸ば
していくシステム作りが重要。
 ●大学、大学院と産業界の相互のコミュニケーションの拡大が必要。
 ●大学院の重点化を図ったことで大学院に進む学生数は増えたが、質は低下している。
 ●ドクターの専門性の範囲が狭いのが問題。ダブルメジャーや多様性が重要。
 ●博士課程学生は重点化により人数は増えたが、教育内容が学部教育の延長
で知識の継承が中心となっている。大学院教育を米のリサーチ・スクールのよ
うな研究開発現場に直結するような形でOJTに近い方向とすべき。
 ●マスターとドクターとは区別して教育していく必要がある。
 ●大学院に優秀な人材が行くように、大学院生に対する生活支援を含めた支
援が問題。
 ●大学院教育の現状がどうなっているか整理すべき。

3.若手の育成
 ●若手研究者の支援のための研究費が必要。また、評価の視点は一般の場合
と違ってしかるべき。
 ●若手研究者の評価は、成果や実績よりもポテンシャル、仕事ぶりが重要。

4.ポスドク問題
 ●欧米では任期期間として5〜7年が必要と認識。
 ●大学院、ポストドクターと積み重ね、社会に出る時期がいたずらに遅くな
ることはデメリットも多い。
 ●企業、産業界はポストドクターを吸収し、ポストドクターがキャリアパス
になるようにすべき。
 ●修士課程学生は企業内で教育するが、ポストドクターは即戦力として考え
る。よってポストドクターが即戦力としての力を持っているかが判断基準とな
るが十分とは言い難い。
 ●ポストドクター、オーバードクターがインターンとして市民セクターで経
験をつめるようにNPO、NGOへの支援なども検討すべき。

5.流動性の向上
 ●人材の流動化を図るためには、任期付任用の制度をどうするかという断片
的なことより、研究開発に関する労働市場をどう変えるかという視点の検討が
必要。
 ●流動性、任期制は学部や一つの大学など一部だけでなく、全大学や社会全
体で実施される必要がある。
 ●人材の流動性、任期制が広がるにはマーケットが小さすぎる。人社系で言
えば、学芸員や企業など新たなマーケットを作る必要がある。
 ●流動することが不利にならないよう社会保障、人材評価システムの改革が
必要。
 ●外国人を入れないと優秀な研究者は確保できない。
 ●外国人研究者、女性研究者の活用を進めるには異質な研究者に対してオー
プンな研究環境に変えていくことが大事。
 ●国際的な交流が研究者の養成には重要。

6.科学技術人材のキャリアの多様化
 ●研究開発の新たな方向を見いだせる専門家の行政への参画(リサーチコー
ディネータ)。
 ●社会的説得力に富んだ、インターフェースになる人材が欠かせない。他の
セクターとの間のコーディネータやプロデューサーとなる人材が必要。
 ●振興分野の研究を見抜いて、育て、産業化するシステムが欠如。産学連携
のためのリサーチコーディネータが必要。
 ●コーディネート力のある研究所長や研究室長になれる人材が必要。

7.人文社会に特有の問題
 ●抽象化、論理的思考能力の育成、全体の文脈の中で物事を理解し行動する
能力の育成が必要だが、人社関係の教育は空洞化している。
 ●学位の取れないオーバードクターが非常に多い。学生をディスカレジさせ
ており、教官の意識改革が重要。

8.今後の進め方
 ●社会一般が必要とする人材の議論のみならず、国を引っ張っていくような
エリートの養成についての議論も必要。
 ●審議会の議論は曖昧になりがちであり、論点を常にクリアーにしながら議
論すべき。物事には正だけでなく負の部分もあることに留意しあわせて記述す
べき。
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[83-7-2] 人材委員会の設置について
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[83-8] 発行人の意見

[83-8-1] ◆中教審のパートタイム学生制度等答申案への意見
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/213-parttime-iken.html
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[83-8-2] ◆高等教育フォーラムより No 4098:「時代の流れ教」考
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/02/216-he-forum.html
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[83-9] 国立大学通信より
[83-9-1] (kd 02-02-09-3) 好奇心ではなく考える葦として
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[83-10] その他

[83-10-1] 日経「国立大再編・統合の検討状況公表、明確な理念見えず」
2002/2/2
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3428.htm

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[83-10-2] 「ブッシュ大統領、ノーベル平和賞候補に。
Do we laugh, or do we cry ? 」
http://www1.rsp.fukuoka-u.ac.jp/kototoi/2002_2.html#233go

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[83-10-3] 田中宇の国際ニュース解説
「エンロン破綻が示したアメリカ型経済の欠陥」
http://tanakanews.com/a

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[83-10-4] 公正取引委員会告示「新聞業における特定の不公正な取引方法の全部改正
について」
1999年7月21日
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/99.july/990721.html
解説:「誰も書けない再販制度」
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/saihan.html
「まだ旧体制下の新聞社と月極契約している人たちへ」サイト
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/index.html

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【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題に関連する情報(主に新聞報道・
オンライン資料・文献・講演会記録等)へのリンクと抜粋を紹介。種々のML・
検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。転送等歓迎。
【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ
ひ読んで頂きたいもの。
【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp
-------------------------
発行部数(括弧内は2/10からの増減)  (2002.2.17 現在) 
1686(+2):
Mag2:969(+1)|CocodeMail:381(+2)|Pubzine:98(0)|melma:72(0)|
 melten:60(+1)|Macky!:50(-2)|emaga:29(0)|melonpan:27(0)
直送 844(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等)
-------------------------
Digest版 発行部数 9380(国立大学), ML(he-forum,reform,aml,d-mail)
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End of Weekly Reports 83