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独行法反対首都圏ネットワーク

☆あまりに問題の多い『千葉大学の将来構想II』(第3版) 
. [he-forum 2911].2001.11.19独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局-up111/19-

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独行法反対首都圏ネット加盟者 殿
事務局です。

「在り方懇」への批判、法人化、構造改革の現況も記述されています。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/
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千葉大学速報    No.10    特集:『千葉大学の将来構想II』(第3版)
2001.11.19独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局

あまりに問題の多い『千葉大学の将来構想II』(第3版)
『千葉大学の将来構想』という冊子は本年6月に発行されているが、そのパートII「大学改革」の作成作業が、来年1月文部科学省での事務局長ヒアリングに向けて、将来計画検討委員会・同特別委員会で急ピッチで進められている(【開示1】参照)。去る11月6日には冊子第3版(以下、《冊子》)が、12日には骨子案(以下、《骨子》)が提出された。これらの文書は文字通り千葉大学の将来を規定する内容を含んでおり、すべての部局が直ちに同文書を厳密に審議し、その検討結果と対応策を表明する必要があると思われる。本センターはそうしたプロセスに寄与するために、データの開示・分析と、提言を行うものである。
                                       
【開示1】スケジュール
11/19将来計画検討特別委員会 / 11/26前後に将来計画検討委員会。この日までに各部局、センターから各1名の教員組織検討委員を教員組織検討委員会へ派遣。 / 12/5 特別委員会。この日までに教員組織検討委員会の見解集約? / 12/11 将来計画検討委員会。ここで『千葉大学の将来構想II』を事実上決定しようとしていると伝えられている。 / 12/20 評議会で将来計画検討委員会決定の承認を求める。

【開示2】『千葉大学の将来構想II』(第3版)
《冊子》、《骨子》は総計25頁に及ぶので、ここでは最も重大な部分のうちいくつかを抜粋する。全文は各部局で求められたい。
《冊子》II.大学改革                           
1.教官システムの具体化に向けて 
1)高度職業人養成を重要な課題とする大学院教育の拡充と多様化、高品質の学部レベル教育の提供、先端的、融合的研究の推進とを効率的かっ現実的に実現するためには、教員の所属を教育組織あるいは研究組織ごとに固定的にあつかう現在の方式では対応することが困難である.
2)このために、教育体制、研究体制から相対的に独立に教員組織を構成、運用することが必要である.すべての教員は、その学術的背景にもとづいて構成されるなんらかの学術部門(以下、「部門」)に属し、その運営に参加する.(学術部門の規模(定員)と学術部門の総数については、大学院教育の拡充、学部教育の高度化、研究推進の重点化の程度を考慮して今後検討。)
3)学部教育および大学院教育の責任体制:それぞれの教育の単位に責任者をおき、それぞれの教育のために必要な予算を利用して運営する(法定の教授会が必要とされる間は代議員会を運用する)。
4)教員集団の運営体制:責任者を所属する教員が選出し、その責任者は学長に直接報告する。教員は、大学院教育、学部教育を個人ごとに異なる比率で担当するものとして、研究のために必要な資源・時間は導入資金等に見合う形で獲得する。部門の定員のなかに大学共通資源枠を設定し、全学的運用(時限プロジェクト、大学管理(任期つき)等)の対象とする.
5)各教員は、(a)大学院教育、(b)学部教育、(c)研究にどの程度の関与を行なうかについて各年度ごとに明示する。大学を運営するために必要な職務に従事するものの数を必要最小限として、各教員が上記(a)-(c)の職務に専念できるようにする。   
6)これらの部門を全学的にいくつかの系のようなものにまとめて運用することが必要となることが予想される。また、大学共通資源枠の運用については、全学的な協議組織が必要となる。
7)以下、このような過渡的な措置およびセンターのあつかいについては、今後。
《骨子》
I.はじめに
1.新しい大学院教育を目指した総合大学へ
1)医薬看碩学系分野,自然科学系分野,社会文化科学系分野を世界最高の教育研究水準に       
2)学部・大学院(修士)6年一貫教育による専門職業人養成       
2.学外の教育・研究機関並びに地域との密接な連携   
1)上総DNA研究所,放射線医学総合研究所,放送大学等の施設と大学院レベルでの教育・研究面における密接な連携
2)産官学の連携推進
3.教育・研究環境の整備                     
ハード面:1)各キャンパス(西千葉,亥鼻,松戸)の統合整備 2)各キャンパスを結ぶIT環境の整備充実 
ソフト面:1)新しい教官集団システムの構築 2)各種の賞の創設並びに学術奨励金制度の確立3)若手研究者,大学院生などへの海外研修制度の確立 
II.大学改革
1.教官システムの具体化に向けて
1)高度職業人養成を重要な課題とする大学院教育の拡充と多様化,社会的需要に応える高品質な学部レベル教育の提供,国際水準の先端的,融合的研究の推進を効率的かつ迅速に実現するためには,個別教員へのインセンチイブだけでなく,組織としての柔軟な資源管理が必要であり,そのために,教育体制,研究体制から相対的に独立に教員組織を構成・運用する。
2)すべての教員は,(学科規模の学術)部門に所属する.学部教育,大学院教育は別個の責任体制を確立し,教員ごとに異なる比率で(a)大学院教育,(b)学部教育,(c)研究に従事する。部門間の調整をはかる系を設ける。
3)部門の定員のなかに大学共通資源枠を設定し,全学的なイニシヤティプ(時限プロジェクト(研究,教育,社会貢献等),大学管理(任期つき)等)対応した運用を可能とする。
2.大学院改革             
大学院博士課程は,(1)千葉大学でしか成し得ない分野の研究者の養成(2)高々度の専門職業人(先導的技術者)の養成を目標とする.大学院修士課程は,(1)高度専門職業人養成を主目標として(2)知的教養人或いは国際人の養成も目標とする。 
    
【分析1】構想作成過程の問題:将来計画検討委員会・将来計画検討特別委員会とは
 『千葉大学の将来構想II』という文書を、あわただしく作成しているのは、将来構想検討委員会・将来構想検討特別委員会であるという。この二つの委員会とは、いったい何であるのか。現在の将来構想作成作業がはじまったのは、7月末の「千葉大学の再編を考える懇談会」――学長・副学長と医・薬の2学部をのぞく7学部長による――からである。その後、8月末の第2回「再編を考える懇談会」をへて、この二つの委員会がパートI作成時と同様に発足したが、両委員会には委員会規程はない。その性格は、将来計画検討委員会が部局長を構成員とする学長の諮問機関的なもの、特別委員会がその下部機関と考えられている。なお、将来計画検討委員会には、全国共同利用機関である2つのセンター以外の学内センター関係者は参加していないため、それらの機関の意見が十分には反映されないのではないかという懸念がある。
 本来、懇談会から大学の委員会としての作業に移る時には、評議会でその規程を策定・確認し、正規の委員会として発足させるべきものであった。それを怠った結果、この二つの委員会の作業はきわめて問題の多い、そして奇妙なものになっている。【分析2】でのべるように、基本的考え方でも前後で齟齬をきたしている。実は、パートI作成時にも、特別委員会で作成した案文が学長の一存で本質的に変更させられそうになるという「事件」があったことが伝えられている。
 なぜこのような事態が起きているのか。【開示1】のスケジュール、2002年1月の文科省ヒヤリングから逆算して将来構想を決定しようという、転倒した発想に起因している以外考えられない。だが拙速としかいいようのないこうしたズサンな運営で、内容的には齟齬・矛盾をはらんだ計画を決めようという現在のやり方は、「トップダウンの機能的・合理的運営」ですらない。研究・教育体制の大規模な改革の推進がその成果を得るには、その担い手の理解と合意が必要であるという、当然の前提が忘れられてはならない。評議会・部局教授会等での議論を保障しないままの将来構想案作成では、研究・教育への活力は生じない。

【分析2】矛盾にみちた、教員差別化の「教員組織」論
(1)教育、研究から「独立」した「教員組織」とは何か
『千葉大学の将来構想II』の内容上のもっとも大きな問題点は、総論部分【開示2】で、教育体制、研究体制から「相対的に独立に教員組織を構成、運用する」(《骨子II.1.1》》とし、教員は「(学科規模の学術)部門」(同II.1.2))に属するとしていることにある。「相対的」にと形容詞はついているが、教育・研究から独立している以上、学術部門は研究組織とは想定されていないのであろう。この点について、この文書の「理、工学部の融合」の部分では、「学部は教育組織とし、研究組織である教員システムに所属する教員が講義を担当する」(II.3.(2))と書かかれており、総論と各論の部分で齟齬を生じている。
しかし総論の、教育・研究から「独立」した教員組織という考え方は、これまでの研究院構想とも似て非なるものである。《冊子》II.2.1).(1)では、実現した医・薬の院府構想について、大学院教育組織としての「医学薬学府」と、「大学院研究組織」としての「医学研究院と薬学研究院」と書いている。これが従来の研究院構想である。ところが総論II.1.3)では、大学院は教育の責任体制の問題としてしか扱われておらず、すなわち「府」としての大学院にしか触れていない。研究組織としての「研究院」がどうなるかは示されておらず、しかも上記のように「学術部門」は研究組織とは想定されていない。
さらに本質的に重要な点として指摘しておきたいことは、提示されている教員組織が「学問の自由」を保証する大学自治の基礎組織として想定されているかどうかも甚だ疑わしいことである。
(2)大学院はどうなるか
 教育・研究から「独立」した教員組織が提案された直接的理由は、「大学共通資源枠」という名の、流動的定員枠を確保するためである。しかしこの「教官システム」は、「先端的研究」とされる分野に研究組織をしぼりこもうという発想から構想されたもので、きわめて歪んだ大学院の研究体制が作り上げられようとしている。総論は、大学院博士課程の目標の1つを「千葉大学でしか成し得ない分野の研究者の養成」(《骨子》II.2)とするという。千葉大学にしかない分野の研究者養成では、千葉大学以外にポストがもとめられるのか心配になってくるが、とにかく博士課程における研究者養成を特定の部門にしぼりこもうという発想が見え隠れする。
 さらに、《冊子》では、教員は大学院教育、学部教育を個人ごとに異なる比率で担当し、「研究のために必要な資源・時間は導入資金等に見合う形で獲得する」(II.1.4))としている。すなわち外部資金など導入資金を確保できた分野だけが、大学院でも研究組織として、すなわち部分的「研究院」として存在すればよいというのである。
 またこの構想では、同じ「学術部門」に属する教員でも、研究担当、大学院教育担当、学部教育担当と差別化されるから、これが共通の研究組織として機能しないのも当然である。こうした構想は、研究体制を歪ませ、総合大学としての千葉大の全体としての研究・教育の活力を低下させていくことが深刻に懸念される。

【分析3】トップ30体制(遠山プラン)と「中間報告」の先取り
朝日新聞千葉版(10月31日)において学長がトップ30体制(遠山プラン)批判したにもかかわらず、結局のところ《冊子》《骨子》に示された改革プランは、そのトップ30に入るための手段として意識されている。これでは改革プランそのものが歪められ、旧7帝大をトップとするヒエラルキーの強化に利用される。また、提示された教員組織案も文科省調査検討会議「中間報告」のいう“柔軟な教員組織”と完全に符合している。さらに、「法定の教授会が必要とされる間は代議員会を運用する」(《冊子》II.1.3))に至っては現在学内で厳しい批判に曝されている新潟大学執行部の案と瓜二つである。

【提言】上記分析のように、「千葉大学の将来構想」には、大学院の位置付けと教員組織論に集中的に現れているように、大学における研究の崩壊、協働的な教員組織の解体にも繋がる危険な内容を含んでいる。しかも、議論の進め方もおよそ千葉大学の将来構想を作成するに相応しい態勢とはなっていない。その上、部局での議論も一部でようやく始まったばかりである。従って、【開示1】のようなスケジュールで『千葉大学の将来構想II』を決定することは適切ではない。このことを踏まえて具体的に以下の提言を行う。
1. 各部局教授会、教員会議あるいはそれらの下部機関は、『千葉大学の将来構想II』(第3版)の審議・検討を行ない、問題点を指摘するとともに、12/11の将来計画検討委員会、12/20の評議会で同文書を決定しないよう要請することを議決すべきである。
2. 11月26日に発足する教員組織検討委員会(土屋委員会)では、教員組織に関する原理的問題を、各部局とタイアップして厳密かつ慎重に議論することが求められる。スケジュールに規定された結論急ぎは将来に禍根を残す。
3. 11月22日あるいは12月20日評議会において、将来構想検討のための正規の機関を、任務、権限、運営方針などについての明文規程を有するものとして設置し、改めて将来構想の議論を開始すべきである。
4. 事務局長ヒアリングにおいては、既に議論されている部局ならびに部局横断的な改革プランのうち学内合意に到達した内容を、遠山プラン(トップ30体制)に擦り寄る形ではなく、千葉大学独自の論理によって堂々と提示することが重要である。これから部局レベルで議論が開始される教員組織案については提示すべきでないことはいうまでもない。

「将来構想」や独法化をめぐる学内外情勢、議論の動向などは、可能なかぎり速やかにHPに掲載しますので御覧下さい。 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/

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「国立の教員養成系大学・学部の在り方懇談会(第18回)」報告案について
【開示】11月6日、文部科学省の標記懇談会において「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について(案)」(以下、「在り方(案)」)が承認された。これは、「1都道府県1教員養成学部の体制を見直し、学生数や教員数がある程度の規模となるよう再編・統合を行う」などと、戦後最大の教員養成制度の改編を提言したものである。全文はhttp://www.u-gakugei.ac.jp/~jaue/kondan18-1.pdf に掲載されている。
【分析】「在り方(案)」は、国立の教育大学・学部の設置目的を「教員の計画養成」におくことについては、それが所与の前提であるかのごとく、何の検討も行なっていない。しかし戦後の教員養成の歴史を振り返れば、それは意図的な政策であったことがわかるはずだ。「在り方(案)」も戦後の教員養成の歴史を年表的になぞってはいるが、教員にしかなれない師範学校への反省から教員にもなれる「大学における教員養成」へ転換したことの意義についての認識を欠き、したがって、1966年の教員養成大学・学部への画一化が、戦後の教育制度民主化に対する「逆コース」、すなわち師範学校へのあと戻り政策の結果であることの認識を欠いている。
 1966年以降、それまではある程度多様であった「教職に関する学部」としての教育学部と学芸学部が一律に教育学部とされたうえで、教育組織としては学科制ではなく「○○学校教員養成課程」という課程制、教員組織としては講座制ではなく学科目制が押しつけられた。そして、学生には教員免許状の取得が義務づけられたのである。こうした「目的大学」化と、研究よりも教育が主体で校費も少ない課程−学科目制の押しつけに対して、少なくない大学・学部が免許を取得せずに卒業できる抜け道(本来の意味でのゼロ免)をつくるなどして抵抗したのであった。
このような歴史に学ぶことを怠った結果、1980年代以降教員需要が激減して「計画養成」が破綻したときでも、教員養成学部は「計画養成」そのものを再検討することなく、免許取得義務づけの「教員養成課程」を縮小温存したまま「新課程」を併置するという政策を受け入れ、「教員養成課程」の学生定員は20年前の2万人から1万人へ半減した。その結果教員養成学部は小規模化し、「新課程」の学生定員が「教員養成課程」よりも上回った学部も少なくない。そして今回、文部科学省は「新課程」を切り離して「教員養成課程」部分のみを400名規模・25大学程度に再編・統合する方針を固め、「在り方懇談会」はその具体案をまとめる役割を担わされたわけである。
「在り方(案)」は、教員養成学部における研究と教育の現状について、複数免許取得による過密履修の問題、教科専門科目が教育学部の目的に適っていない問題、附属学校が実験校の役割を果たしていない問題などを指摘しているが、これらの問題の根源が「計画養成」にあるという認識がない。すなわち教員養成学部は<教員免許法に規定された授業科目を履修する場>であるという安易な考えに学生と教員を導いてしまうのが「計画養成」なのだ。これが教育学部を<教育について研究・教育する場>とは別のものにしてしまっている。なお、「在り方(案)」は教育職員免許法に対してもまったく無批判である。
 教育学部には歴史的に形成されたこうした困難を自ら打開する方向性を明確に打ち出すことが求められている。他の学部は火事場泥棒のように教育学部からの定員獲得を画策するのではなく、大学における教育学部のあり方をともに考えるべきではないだろうか。またこうした定員獲得を容易にするためと称して、“教員組織の柔軟化”などを企図すべきでないことはいうまでもない。大学生の「低学力化」が叫ばれる今日、小学校から大学までの教育について実践的に研究・教育する場として、今風にいえば知の再構築を共同で行なう場として教育学部を共に強化することは、大学そのものの強化にもつながる。例えば、文学部や理学部が教育学部と連携を強めるなど、それぞれ学部の垣根を超えて補強しあうことが検討されてもよいのではないか。

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【動向】
1. 国大協臨時総会
10月29日、国大協は臨時総会を開催した。議事録は国大協のウェブページに掲載
(http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_soukai/h13_10_29.txt)されている。この総会後に国大協は、意見書を提出した。中間報告の数々の問題点を指摘しつつ、「あり得るべき方向を示すものとして評価できる」という奇妙な結論を引き出している。この意見書の問題点については、東京大学職員組合
(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/011114kokuseimei.html)、独立行政法人反対首都圏ネットワーク
(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/011114syutknkai.htm)がそれぞれ声明を発表しているので参照されたい。

2. 数多くの意見書が提出される
文科省の中間報告に対する意見書がかつてない規模で提出され、各大学教職員組合、個人だけでなく、東京大学、京都大学、一橋大学評議会、京都大学理学研究科、全国付置研所長会議など多くの正規機関が意見書を提出した。千葉大学でも文学部将来構想委員会・理学部教育・研究体制検討委員会の共同意見書が提出された。現在43の意見書が首都圏ネットのページに掲載されている。
(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/011029ikennsyuu.htm)

3. 中教審大学分科会
11月6日に、中教審大学分科会が開催され、文科省は、再編・統合についての基本的方針を明らかにした。これは、(1)国立大学の再編・統合計画を2002年度中をめどに策定する。(2)大学単位の統合だけでなく、大学間の学部レベルでの再編・統合にも踏み出す。(3)公私立大学を含む大学間の連携協力の強化、地方移管の検討も行う、という三点を骨子としている。時期を明示した上に、教育・研究分野ごとの統合や地方移管を提起している極めて重大な内容である。

4. 地方国立大学の動向
28の地方国立大学は、10月28日に地域が直面している多くの問題について地方国立大学が共同研究を行い、活性化を図る「国立大学地域交流ネットワーク」の構築などを主軸にした提言を発表した。国立大学法人化をきっかけに文部科学省が大学の再編統合を進める方針を打ち出す中、「大学の知的財産のネットワーク化で地域貢献できる。一県一国立大学は極めて有効」と主張している。この提言は、鹿児島大学学長室のウェブページに掲載されている(http://www.kagoshima-u.ac.jp/univ/president/0110teigen/)。

5. 再編・統合の強要
文科省の再編・統合計画は特に地方国立大学に深刻な打撃を与えている。とりわけ、教員養成系の再編・統合は、「あり方懇」の検討内容をさらに越えて進むことが懸念されている。北海道では、北見工大・旭川医大の統合に加え、北海道教育大学が釧路、旭川、函館の実質的廃止を打ち出した。すでに釧路では、地元商店街、商工会議所などが中心となって反対運動を開始している。公立大学でも、埼玉県立大学、東京都立四大学などで独立行政法人化を含む再編・統合計画が明らかとなっている。

6. 国大協総会の結果
国大協総会は、11月14日〜15日に開催された。国大協総会に対しては、東京大学職員組合が呼びかける要請行動が行われた。報道によれば、15日に開催された国立大学長懇談会で、滋賀大、鹿児島大など多くの学長から、再編・統合方針に対する批判が行われた。「教育大・学部大幅統合で地方国立大から懸念
続出」(読売新聞11/16)、「教員養成学部統合は慎重に 大学側から意見相次ぐ」(NHKニュース11/15)。この国大協総会に対して、首都圏ネットは声明「理念・展望・未来なき『再編・統合』と『トップ30』」を提出し、両計画を断固として拒否するよう訴えている(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/0113syutkenkai2.htm)。

7. 混迷深める特殊法人・独立行政法人
この間、特殊法人改革の一貫として日本育英会が標的となっている。『東京新聞』(11/16)では、「小泉改革で学生ピンチ 『受験大学決められない』 日本育英会 見直し対象・・・奨学生の内定出せず」という記事で、育英会問題によって、母子家庭の生徒が困難に陥っている状況を伝えている。毎日新聞夕刊(11/15)では、「独立行政法人:57組織で役員100人増 次官超す報酬も」と題する記事で、独立行政法人が監督官庁の官僚の天下り先となっている現状を詳細に伝えている。「行政改革の柱」と位置づけられている独法化は、天下り先を増やす結果を招いているのである。