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行政改革推進法案報道集

『読売新聞』2005年12月24日 「行政改革の重要方針」、臨時閣議で決定
共同通信 2005年12月24日 行革推進法案を提出へ 「重要方針」閣議決定
『産経新聞』2005年12月25日 行革重要方針を閣議決定 小泉改革継承へ道筋 具体化、難航は必至
『毎日新聞』2005年12月25日 行改推進法案:通常国会成立目指す 「ポスト小泉」に直結
『毎日新聞』2006年1月6日 行政改革:公務員総人件費削減などのスケジュール固まる
『朝日新聞』2006年1月11日 省庁再々編急浮上 小泉行革実現は綱渡り

《緊急声明》 5%人件費削減を強要する『行政改革推進法案』国会提出を阻止しよう
2006年1月13日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

『読売新聞』2005年12月24日

「行政改革の重要方針」、臨時閣議で決定


 政府は24日午前の臨時閣議で、小泉改革の総仕上げとなる「行政改革の重
要方針」を決定した。

 「小さくて効率的な政府」の実現に向け、国家公務員を5年間で5%以上純
減することや八つの政府系金融機関のうち5機関を原則1機関に統合するなど、
10分野で具体的方向性を打ち出した。これを踏まえ、政府は来年3月をめど
に「行政改革推進法案(仮称)」をまとめ、通常国会に提出する。

 改革の対象となる10分野は、政府系金融機関、独立行政法人など政府関係
法人、特別会計、公務員の総人件費、政府資産・債務、社会保険庁、規制改革・
民間開放、政策評価、公益法人制度、改革の推進体制。「財政の健全化」を目
標に、行政のスリム化と効率化を徹底するのが狙いだ。

 公務員の総人件費改革では、国会公務員を5年間で5%以上純減する目標を
達成するため、「定員管理で1・5%以上、事務事業削減で3・5%以上」削
減することを明記した。農林統計や北海道開発関係の業務整理や、社会保険庁
の保険料収納業務を民間委託するなどの方針を列挙した。また、年功序列によ
る給与制度などを見直し、「メリハリの効いた人件費削減を図る」としている。
今後10年間に総人件費を対国内総生産(GDP)比でおおむね半減させるこ
とを目安に掲げている。

 政府系金融機関は、改革対象の8機関のうち、国際協力銀行や国民生活金融
公庫、中小企業金融公庫など5機関を一つに統合。中小零細企業の支援や円借
款など三つの機能に限定し、貸出残高約90兆円を2008年度には対GDP
比で半減させるとした。日本政策投資銀行と商工組合中央金庫は完全民営化す
る。

 特別会計改革は、現在約45兆円にのぼる積立金・剰余金のスリム化を目指
す。具体的には、財政融資資金特別会計の縮小や外国為替資金特別会計の効率
化、厚生保険、国民年金両特別会計の統合などにより、5年間で約20兆円を
一般会計などに繰り入れるとしている。また、「特別会計整理合理化法案」を
2007年めどにまとめ、通常国会に提出する。


共同通信 2005年12月24日

行革推進法案を提出へ 「重要方針」閣議決定


 政府は24日午前の臨時閣議で、「小さな政府」の実現に向け、今後取り組
む改革課題の方向性を示した「行政改革の重要方針」を決定した。

 政府系金融機関の統廃合や、国家公務員の総人件費削減、特別会計改革など
の項目ごとに基本方針を明記。これらを包括的に盛り込んだ「行政改革推進法
案」(仮称)を来年の通常国会に提出することを打ち出し、来年9月の小泉純
一郎首相の退陣後も改革路線を継続する姿勢を鮮明にした。

 首相は臨時閣議に先立つ行政改革推進本部の会合で「行革推進法案の取りま
とめに向け各閣僚は率先して取り組んでほしい」と指示した。

 重要方針は、経済財政諮問会議や政府、与党協議などでの決定に基づき、9
分野の改革課題について具体的な実施時期や数値目標を掲げた。

 国家公務員の総人件費関連では、郵政職員を除く計68万7000人を5年
間で5%以上純減する。中央省庁など行政機関の33万2000人は、定員管
理で1.5%、民間委託などによる業務の見直しで3.5%をそれぞれ実現。
省庁ごとの純減数は「行政減量・効率化有識者会議」(仮称)の議論を経て、
来年6月までに決定する。

 政府系金融機関は一つに統廃合し、新体制に移行する2008年度までの工
程は、政府の政策金融改革推進本部が案をまとめる。

 31ある特別会計の改革では、道路整備など五つの特会を08年度までに統
合。特会全体で45兆円に上る剰余金や資産・負債を今後5年間で約20兆円
圧縮し、財政健全化に役立てる。

 「非営利法人」制度を創設する公益法人制度改革法案、市場化テスト法案、
社会保険庁改革法案を通常国会に提出することも明記。さらに(1)公営ギャ
ンブル関係特殊法人の統合や独立行政法人役職員の非公務員化(2)政府資産・
債務の改革(3)政策評価の重点化・効率化―も盛り込んだ。


『産経新聞』2005年12月25日

行革重要方針を閣議決定 小泉改革継承へ道筋 具体化、難航は必至


 政府は二十四日の行政改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)と臨時閣議
で、今後の行政改革の進め方を網羅した「行政改革の重要方針」を決定した。
政府系金融機関を一機関に統廃合することや、郵政公社職員を除く六十九万人
の国家公務員を五年間で5%以上純減することが柱。政府は「重要方針」を盛
り込んだ「行政改革推進法案」を一月召集の通常国会に提出する。

 重要方針は「『小さくて効率的な政府』への道筋を確かなものにする」もの
として、主に九項目で構成。政府系金融機関改革や人件費削減のほかは、三十
一ある特別会計を今後五年間で二分の一から三分の一にまで統廃合▽公共サー
ビスを官民が入札して競う市場化テストの実施に向けた法案を来年通常国会の
早期に提出▽地方競馬全国協会の地方共同法人化など公営ギャンブルの組織改
革−などが明記された。

     ◇

 小泉改革の総仕上げともいえる「行政改革の重要方針」が二十四日、閣議決
定された。小泉政権最後の予算案決定と同時に決められた行革方針からは、
「ポスト小泉」政権にも「改革路線」を継承させようという小泉純一郎首相の
強い意志がくみ取れる。ただ、個別案件の具体化はこれから。特に国家公務員
のリストラには官僚からの強い抵抗が予想される。

 「一年以上の時間はあるが、候補者選定などがんばろう」

 来年度予算案編成を終えた小泉首相は二十四日夜、首相公邸に森喜朗元首相、
自民党の青木幹雄参院議員会長、中川秀直政調会長を呼んで会食した。その際、
話題になったのが、平成十九年夏の参院選だったという。

 二年後も改革が継続されているかどうか。これが参院選の勝敗に大きな影響
を与えると首相は読んでいるようだ。

 「行政改革推進法案の取りまとめに向け、率先して取り組んでほしい」

 首相は同日開かれた行革推進本部の会合で、全閣僚にこう指示した。

 官邸サイドは当初、「政府を継続して拘束する」(政府関係者)重要方針を
閣議決定するだけにとどめ、後は個別に法案化などして対応する方針だった。
しかし、首相側近の中川政調会長らが、「基本法にすることで、政府への拘束
だけでなく、法律を成立させた国会の責任も生じる」(関係者)などと強く主
張。来年の通常国会に推進法案が提出されることになったという。

 小泉政権下で法案を成立させ、この路線に賛同する「ポスト小泉」候補を選
ぼうという思惑も見え隠れする。

 しかし、行革の具体化作業は難航しそうだ。

 国家公務員を5%以上純減するのに、まず退職者による自然減や採用抑制、
業務の一部民間委託などで対応する。来年度から三十六独立行政法人の非公務
員化で国家公務員全体の1・7%に相当する約一万二千人を純減。自衛官も
「聖域を設けず」取り組み、教育、給食、整備関係の民間委託で、すでに定員
(二十五万三千人)を下回っている実数(二十三万九千人)にも切り込む方針。

 一方で、国税や治安に関係する業務は逆に増員が必要。大幅なリストラ対象
となる農林統計や食糧管理などから配置転換する方策も検討しているが、職員
転換をめぐって摩擦は必至だ。総務省幹部は「(大幅に人員削減をした)旧国
鉄改革よりも厳しい」と漏らす。

 政府系金融機関改革も「関連法案提出は早くても来年秋の臨時国会。しかも、
この国会で成立しなければ二十年四月からの新体制移行は困難になる」(政府
関係者)とされ、難題は山積している。


『毎日新聞』2005年12月25日

行改推進法案:通常国会成立目指す 「ポスト小泉」に直結

 小泉純一郎首相は来年1月開会の通常国会で「行政改革推進法案」(仮称)
を最重要法案と位置づけ、成立を目指す。同9月の退陣後、次期政権にも小泉
改革路線を引き継がせるのが狙い。盛り込まれた「改革10分野」の内容や実
施のスケジュールには、早期の消費税率上げより、当面は行革を徹底すべきだ
という首相の考え方が色濃く反映している。このため同法案が成立すると、
「ポスト小泉」選びの自民党総裁選での政策論争にもおのずと枠をはめる展開
が予想される。

 政府は24日、「行政改革の重要方針」を閣議決定。政府系8金融機関を一
つに統合▽独立行政法人などの整理統合▽特別会計を2分の1から3分の1に
減少▽国家公務員を5年で5%以上純減▽政府の資産・債務改革▽社会保険庁
改革−−など10分野が並ぶ。実施時期は、政府系金融が08年、公務員や特
別会計が10年度と、「ポスト小泉」時代を予定している。

 10分野は既に決まっていた改革や10、11月に相次ぎ政府・与党で決定
した方針を寄せ集めたもので、体系だったまとまりはない。通常なら個別に法
案を作るが、今回は内閣官房行政改革推進事務局が、方針を下敷きに「小さく
て効率的な政府を作る」という共通項で一括法を作る。事務局は年明けから人
員を20〜30人増やし、「01年の中央省庁再編以来となる異例の100人
体制」(幹部)で、来年3月の国会提出に向け、作業を急ぐ。

 一括法案の構想は、首相が最も信頼する中川秀直自民党政調会長が11月か
ら提唱。同調した安倍晋三官房長官が、取りまとめ役となる中馬弘毅行革担当
相に持ちかけた。中馬氏は5日、首相から法案作成を指示された。

 安倍氏は既に「通常国会は行革国会にしたい」との考えを表明。24日の記
者会見では「次の自民党総裁選の一つの争点は、改革をこれからどういうふう
に進めていくかが議論になる」と述べた。行革優先の小泉路線継承をにじませ
たものだ。一括法案提出の手法や位置づけが、首相の意向も踏まえた「安倍氏
後継」への環境整備にもつながるとの見方が出ている。

 首相は同日、記者団に「(次期政権も)方針に沿って努力するという考え方
で作っている」と語った。【伊藤智永、坂口裕彦】


『毎日新聞』2006年1月6日

行政改革:公務員総人件費削減などのスケジュール固まる


 小泉純一郎首相が残り任期の最重要課題として取り組む行政改革で、中心的
な柱となる公務員総人件費削減と政策金融機関統廃合のスケジュールが固まっ
てきた。政府は今月開会する通常国会で、10の改革目標を盛り込んだ「行政
改革推進法案」(仮称)の成立を目指すが、それぞれの改革を具体化する段取
りについては、法案審議と同時並行で逐次決めていかなければならない。どの
行革テーマも、各省の抵抗は必至。改革スケジュールを守れるかどうかが、
「政VS官」のせめぎ合いを象徴する展開になりそうだ。

 「初年度から計画を達成したい。中途採用は極力控えてほしい」

 全体を取りまとめる中馬弘毅行革担当相は、6日の初閣議の後、二つの主要
改革の当面のスケジュールを示し、全閣僚に協力を強く要請、竹中平蔵総務相
が「協力する」と即座に加勢した。

 中馬氏の要請は、公務員人件費削減の第1弾として、06年度から大胆な整
理や民間委託を行うことが決まっている農林統計▽食糧管理▽北海道開発▽ハ
ローワーク−−などを所管する農林水産、国土交通、厚生労働、法務の4省に、
2月下旬までに具体案を提出してほしいというもの。ただ、4省はいずれも削
減に反発。「ゼロ回答は織り込み済み」(行政改革推進事務局幹部)だが、と
りあえずは民間人の「行政減量・効率化有識者会議」で議論のたたき台にとど
め、各省庁の削減割り当てを決める6月のヤマ場に向けた地ならしが狙いだ。

 政策金融については、安倍晋三官房長官の下に置かれた有識者検討会で、国
際協力銀行の扱いが決まる3月末をめどに、他の7金融機関の統廃合について
も制度設計の中間報告を提示、06年度内に政策金融改革関連法案の策定にこ
ぎつけることを目指す。だが法案の国会提出は07年度にずれ込みそうだ。
【坂口裕彦】


『朝日新聞』2006年1月11日

省庁再々編急浮上 小泉行革実現は綱渡り

●残る懸案、後継に

 政府・与党内で、橋本行革で実現した中央省庁再編を見直そうとする動きが
急浮上している。政府が昨年末に決めた「行政改革の重要方針」には一言もな
く、自民党内にも慎重論があるが、「小さな政府」を志向する点ではこれまで
の政府の方針とも重なる。政府は行政改革推進法案を通常国会に提出し、省庁
再編で不十分だった行政スリム化を目指すが、小泉改革の実現には綱渡りが続
きそうだ。(藤田直央)

 「小さな政府を作り、官邸主導の政府を作るうえで、今の体制でいいのかは
当然検討を加えていかなければならない」

 安倍官房長官は10日の記者会見で、そう語った。橋本行革で01年に再編
された中央省庁の「再々編」論議に前向きな姿勢を示したものだ。

 自民党の武部勤幹事長も同日の記者会見で「省庁再々編、公務員制度改革、
官のリストラ、官から民への流れを加速していく」と語った。中川秀直政調会
長は8日の講演で再々編の可能性に言及。竹中総務相も同日朝のテレビ番組で
「ポスト小泉の最大の焦点の一つ」と踏み込んだ。

 首相は「改善する点がないか、成果を見ながら考えていかなければならない」
とするにとどめている。が、「再々編」に前向きなある閣僚は「どこまで無理
なく小泉内閣でやるか、次の政権でやるのか首相と話した」と首相の意向も踏
まえた論議だとの考えを示す。

 急浮上した「再々編」論議だが、昨年末に政府が閣議決定した行革の重要方
針には一行も出てこない。自民党内からも「省庁再編は大変なことだ。思いつ
きでやるということではいけない」(久間章生総務会長)、「今から結論めい
た発言は慎んだ方がよい」(片山虎之助参院幹事長)などの慎重論が出ている。

 政府高官は、再々編論議について「首相が語る大まかな方針を政治家が使っ
ているのだろう」とみる。その「大まかな方針」が、行革の重要方針が冒頭に
掲げる「小さくて効率的な政府」だ。

●「最後の清算」

 「官から民へ」の改革で資金や仕事を公的部門から民間部門に移し、民需主
導の持続的成長を図る――。「小さくて効率的な政府」の当初の青写真は、昨
年6月に政府が決定した「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)にそう示
された。

 民間活力を経済成長の呼び水とする「民活」の発想だ。国鉄民営化を掲げた
中曽根首相も当時、「行政改革の大きな眼目の一つが『官から民へ』」と強調
していた。

 小泉首相がその象徴とした郵政民営化のめどがすでに立った昨年末。行革の
重要方針は、冒頭になお「小さくて効率的な政府」を掲げた。込められた次の
狙いは、霞が関全体のスリム化だ。


 橋本行革の省庁再編では、閣僚や各局・課の数を減らしたが、公務員数を大
幅に減らす「純減」には切り込めなかった。中曽根内閣から行革に携わる内閣
官房幹部は「小泉行革は最後の清算を手がけている」と語る。

 その背景には、「いずれ近づいてくる消費税の増税」(中川氏)がある。
「徹底した政府のスリム化なしに国民の理解は得られないという首相の意志」
(政府高官)を表したというわけだ。

●今後の「大枠」

 「改革なくして成長なし、に決着をみた4年間だった」。首相は4日の年頭
記者会見で感慨深げだった。省庁再編に道筋をつけた橋本首相が目指した財政
再建路線は、不良債権処理に直面して頓挫。その轍(てつ)を踏まなかったと
いう自負がある。

 小泉行革が完成するかどうかの綱渡りは、しかし、首相の自民党総裁として
の任期が切れる9月以降も続く。重要方針には「5年間で国家公務員を5%以
上純減」「政策金融の抜本的改革を行い、08年度から新体制に移行」など
「小泉後」の目標が並んでいる。省庁再々編も当然、小泉内閣のうちは「日程
的に難しい」(安倍長官)。

 「重要方針」は、「小泉後」の各省庁の抵抗を案じた政府高官らが提案した。
行革推進法案を献策したのは中川氏と安倍長官。安倍長官は5日、年頭あいさ
つで「この国会は行革推進法案が最重要法案になる」と強調した。

 それでも行革推進法案は今後5〜10年にわたる行革の「大枠」を示すに過
ぎない。「小泉行革」完成への道筋は、首相はじめ誰も示せていない。