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シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》

【国立大学入学料問題立法行政資料分析】 資料編  《分析編はこちら》

2005年12月7日 ηρ, βω

目次
1. 法令、施行規則、省令
 1−1. 国立大学法人法
 1−2. 国立大学法人法施行規則
 1−3. 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
2. 国会議事録
 2−1. 入学料の内訳と性格
  2−1−1. 衆議院 文教委員会 平成 2年4月25日
  2−1−2. 衆議院 文教委員会 平成 3年9月25日
  2−1−3. 参議院 文教委員会 平成 9年5月29日
  2−1−4. 衆議院 文部科学委員会 平成14年6月 5日
  2−1−5. 参議院 文教科学委員会 平成15年5月29日
  2−1−6. 衆議院 文部科学委員会 平成15年6月 6日
  2−1−7. 衆議院 文部科学委員会 平成16年4月14日
 2−2. 入学料の国際比較
  2−2−1. 参議院 文教科学委員会 平成11年3月 9日
  2−2−2. 参議院 文教科学委員会 平成15年5月29日
  2−2−3. 参議院 文教科学委員会 平成16年3月24日
 2−3. 入学料と奨学金
  2−3−1. 衆議院 文教委員会 平成 5年 2月24日
  2−3−2. 衆議院 文教委員会 平成 5年 4月21日
  2−3−3. 衆議院 文教委員会 平成10年 3月18日
  2−3−4. 衆議院 文部科学委員会 平成13年 6月 5日
  2−3−5. 参議院 文教科学委員会 平成14年11月19日
  2−3−6. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月 8日
  2−3−7. 衆議院 文部科学委員会 平成15年 5月30日
  2−3−8. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月29日
  2−3−9. 参議院 文教科学委員会 平成16年 3月24日
  2−3−10. 参議院 文教科学委員会 平成17年 5月17日

3. 政府審議会文書
 3−1. 財政制度(等)審議会
  3−1−1. 制度改革・歳出合理化の方策に関する報告 平成11年12月17日
  3−1−2. 平成14年度予算の編成等に関する建議 平成13年11月15日
  3−1−3. 平成15年度予算の編成等に関する建議 平成14年11月20日
  3−1−4. 平成16年度予算の編成等に関する建議 平成15年11月26日
  3−1−5. 平成17年度予算の編成等に関する建議 平成16年11月19日
  3−1−6. 平成18年度予算編成の基本的考え方について 平成17年6月6日
  3−1−7. 平成18年度予算の編成等に関する建議 平成17年11月21日
 3−2. 中央教育審議会
  3−2−1. 今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申) 昭和46年6月11日
  3−2−2. 我が国の高等教育の将来像(答申) 平成17年1月28日

補 平成16年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)

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1. 法令、施行規則、省令

1−1. 国立大学法人法

第二十二条4 国立大学及び次条の規定により国立大学に附属して設置される学校の授業料その他の費用に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

1−2. 国立大学法人法施行規則

第三条  国立大学及び国立大学に附属して設置される学校の授業料その他の費用に関しては、他の法令に別段の定めがあるもののほか、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 (平成十六年文部科学省令第十六号)の定めるところによる。

1−3. 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令

(趣旨)
第一条 国立大学及び国立大学に附属して設置される学校の授業料その他の費用に関しては、他の法令に別段の定めがあるもののほか、この省令の定めるところによる。

(授業料、入学料及び検定料の標準額等)
第二条 国立大学及び国立大学に附属して設置される学校(次条第一項に規定するものを除く。)の授業料(幼稚園(盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部を含む。)にあっては、保育料。以下同じ。)の年額(乗船実習科(大学の教育研究組織であって、商船に関する学部の課程を履修した者で海技士の免許を受けようとするものに対し、乗船実習を行うものをいう。以下同じ。)にあっては、授業料の総額。以下同じ。)、入学料(幼稚園にあっては、入園料。以下同じ。)及び入学等に係る検定料は、次の表の第一欄に掲げる学校等の区分に応じ、授業料の年額にあっては同表の第二欄に掲げる額を、入学料にあっては同表の第三欄に掲げる額を、検定料にあっては同表の第四欄に掲げる額をそれぞれ標準として、国立大学法人が定める。ただし、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部の入学等に係る検定料は、これを徴収しないものとする。

(以下、略)

2 大学又は大学院において、大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)第三十条の二(大学院設置基準(昭和四十九年文部省令第二十八号)第十五条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定により計画的な履修を認められた学生の授業料の年額は、前項の規定にかかわらず、当該学生が卒業又は課程を修了するまでに納付する授業料の総額と当該学生以外の学生の授業料の年額に当該大学又は当該大学院の修業年限又は標準修業年限に相当する年数を乗じて得た額との均衡等を考慮して、国立大学法人が定める。
3 大学の学部の転学、編入学又は再入学に係る検定料は、第一項の規定にかかわらず、三万円(夜間において授業を行う学部にあっては、一万八千円)を標準として、国立大学法人が定める。

(授業料の徴収方法等)
第五条  各年度に係る授業料の徴収は、当該年度において、学期その他の期間に区分して行うことを原則とする。ただし、学生又は生徒等の申出があったときは、一括して徴収することができる。
2  前項の規定にかかわらず、入学年度に係る授業料について、入学を許可される者の申出があったときは、入学年度の前年度において入学を許可するときにその一部又は全部を徴収することができる。

第六条  当該年度における在学期間が十二月に満たない者の授業料は、授業料の年額の十二分の一に相当する額に在学する月数(一月未満の端数があるときは、これを一月とする。)を乗じて得た額を徴収することを原則とする。
2  乗船実習科については、前項中「十二月」とあるのは「六月」と、「十二分の一」とあるのは「六分の一」とする。

(入学料の徴収方法)
第七条  入学料は、入学を許可するときに徴収することを原則とする。

(検定料の徴収方法)
第八条  検定料は、入学、転学、編入学又は再入学の出願(第四条に規定する場合を含む。)を受理するときに徴収することを原則とする。

(授業料等の上限額等)
第十条  国立大学法人は、国立大学及び国立大学に附属して設置される学校の授業料の年額、入学料、入学等に係る検定料又は寄宿料の月額を定めようとする場合において、特別の事情があるときは、第二条第一項若しくは第三項、第三条第二項、第四条又は前条第一項若しくは第二項の規定にかかわらず、これらに規定する額にそれぞれ百分の百十を乗じて得た額を超えない範囲内において、これらを定めることができる。

2. 国会議事録

2−1. 入学料の内訳と性格

2−1−1. 衆議院文教委員会 平成 2年 4月25日

質問者 山原健二郎
答弁者 野崎弘 (文部省高等教育局私学部長)

○山原委員 最後に、残された時間で学費の問題についてちょっと伺っておきたいのです。もう恐らく全部質問する時間はないと思いますので。
 お金がないと大学へは行けないという事態が次第に深刻になりつつあると思っております。勤労者世帯にとりまして学費が大きな負担になっているわけでございますが、例えば私立大学の初年度納付金に関する文部省の調査結果を見ますと、昨年度、百万円を突破しまして、今年度はさらに二万三千七百六十円、二・三%のアップで百五万八千八百七十八円となっております。
 ところで、この納付金の調査対象は授業料、入学金、施設整備費の三項目ですが、消費税が非課税扱いということで最近徴収する大学がふえている教育充実費は調査対象に含まれておりません。この教育充実費を含めますと、私立大学初年度納付金は概算で前年比どの程度のアップとなるか、また額はどれくらいか、ちょっとお伺いしたいのです。

○野崎(弘)政府委員 お答えを申し上げます。
 学納金の調査でございますけれども、従来から授業料、入学料、それから施設設備費、これは各大学共通に取っておりますので、この三費目について集計をしてきたわけでございまして、御指摘の教育充実費というものについての平均額というのは算出をしていないわけでございます。
 ただ、今お話がございましたように、平成二年度におきましては消費税の課税対象になっておる施設設備費を減額して教育充実費などによりその分を対応するというような大学もありましたので、そういうものを勘案いたしますと、ほぼ前年度並み、これは三・六%でございますが、前年度並みの上昇率になるのではないか、このように考えております。

○山原委員 大体三・六%程度、額で三万七千円。
 文部省の調査資料を見ますと、中央大学、明治大学などでは今年度施設整備費をゼロとするかわりにいわゆる教育充実費を新設しまして、実際の初年度納付金は前年比でアップしているわけです。しかし、それが調査対象にないものですから、文部省の調査では見かけ上は十数%の学費値下げとなっているようですね。今後とも恐らく消費税の関係で教育充実費に切りかえる大学がふえてくると思われます。
 そうしますと、調査対象に教育充実費も含めて学費の実態を正確に把握する必要があると思いますが、この点はいかがでしょうか。

○野崎(弘)政府委員 今先生の方から教育充実費についてのお話が出たわけでございますが、この教育充実費につきましては、従来から医歯学部で大変多額に取っている、そういうふうなことで、これを全大学に入れますと、その医歯学部のウエートというものが極端に大きいものでございますから、それを全体に入れるのはどうかということで入れてこなかった。そういうことで、この医歯学部につきましては他の学部と区別してこれらの額についての集計をし、公表をしてきたわけでございます。
 それ以外の学部の問題につきましては、確かにことしそういう消費税のことも要因としてあって教育充実費に回すというようなことも出たわけでございますけれども、今後そういうことがあるのかということは、私ども必ずしもそのようには思っておりませんので、調査の方法を変えるというようなことは現段階においては考えておりません。

2−1−2. 衆議院 文教委員会 平成 3年 9月25日

質問者 平田米男
答弁者 長谷川善一(文部省学術国際局長)
    井上孝美(文部大臣官房総務審議官)

○平田(米)委員 大臣も御存じだと思いますが、ことしの八月二十三日に、中国人の留学生が日本大学に対しまして入学納付金の返還の裁判を起こされたわけでありますけれども、これについて概略御説明をいただければと思います。

○長谷川政府委員 日本大学での学納金返還に関する裁判の関係でございますけれども、中国からの留学生二人の件でございます。そのうちの。一人は昨年の十二月に日本大学の芸術学部を受験し、合格いたしました。入学金二十六万を含む納付金九十三万六千円を十二月の初めに納入いたしております。なお、同人はその後、平成三年一月になりましてはかの大学に合格いたしました。このため、そちらの後から受かった大学の方に入学を決めまして、平成三年の一月の末に日本大学に入学辞退を申し出た、学納金の返還を求めたけれども、断られたということでございます。もう一人の留学生につきましては、これも中国からの留学生でございますけれども、同じく昨年の十一月、これは日本大学の経済学部でございますが、これを受験いたしまして合格いたしました。十二月の末に入学金二十六万を含む納付金五十六万一千五百円を納入した。それで、同人は平成三年の一月の末にほかの大学にも合格いたしました。これも後から受かった大学に入学することに決めまして、二月の初旬に日本大学に入学辞退を申し出て、学納金の返還を求めたけれども、断られた。こういうことがございまして、両人は平成三年八月二十三日付で日本大学に対しせして入学金を含む学納金の返済と遅延損害金の返還を求める訴えを起こしたということでございます。
 この件につきましては、九月の三十日に口頭弁論が行われる予定であったということでございますが、原告と日本大学の方とのお話し合いによりまして和解が成立いたしております。九月二十日付で訴えが取り下げられたというぐあいに承知しておるわけでございます。返還金額につきまして、日本大学の方が入学金を除く金額をそれぞれ二人の留学生に返還するということで和解が成立したということでございます。
 この事件は、一般選抜よりも早い時期に行われました留学生の特別選抜を受けた者についてのケースでございます。一般選抜につきましては、学納金の納付時期をできるだけおくらせるようにということで、従来から文部省としては指導していたところでございますけれども、最近、特にふえてまいりました留学生のための特別選抜につきまして、この大学側の理解が若干違っておったというようなこともございまして、我々といたしましても、大学側に善処を求めておったものでございます。

○平田(米)委員 早期に和解ができて解決ができたということは大変喜ばしいと思いますが、この件につきましては、我が党の日笠議員がこの春に質問をさせていただきまして、文部省からも早速五月の十四日付で、局長通達でございますが、出していただいて、善処方を指導していただいておるわけでありますが、先ほどの和解の内容も、入学金を除いて他の学納金の返還がなされたということでございます。
 私は、こういう留学生の皆さんに直接お会いをしていろいろお話を伺いました。そのとき、この裁判を起こした人たちにも会ったわけでありますが、私たちは裁判を起こせるだけ幸せだ、こういうことをおっしゃっていました。なぜかといいますと、ほかの留学生の皆さんはとにかく一校に入学金を払ったらもう次の大学にお金を払う余裕がありません、ですから、最初の大学に払ったら、もうそこの大学に行かざるを得ないのです、しかし、私はまだ経済的余裕があったので、二番目の大学に入学金等を納付することによって好きな大学を選ぶことができました、ですから、文部省がそれなりに対応していただいたけれども、しかし大多数の留学生というのは、入学金そのものを特別選抜の場合に早期に納めさせられることによって、大学選抜の自由を奪われているのです、こういう話でございました。私はこれはとんでもない話だな。先ほども申し上げましたが、本当に留学生をその国の将来の指導者だ、こういう観点で見るならば、一番保護をする姿勢が我々になければいけないのではないか。二十六万、確かにいろいろな見方があるかもしれません。しかし、今そういう点で困っておられる方はほとんどアジアからの留学生でございまして、その所得の格差からいけば、私たちにとっての二十六万ではありませんで、彼らにとっては、私たちの何百万ものお金ではないかなというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、今回通達は出していただいているのですが、ここでも、「少なくとも入学料以外の」という表現がございまして、入学料は別扱いでもやむを得ないんだという考え方があるわけであります。しかし、この入学科こその解決がなければ、本当の意味での留学生のための改善ということは行われたことにならないわけであります。好きでもない大学になぜ入るのか。彼らとすれば二番目、三番目、受験はしても、もし万が一落ちた場合にどこの大学にも入れないということになれば在留資格を失ってしまいます。そうしますと、日本人みたいに浪人なんということはできないわけであります。日本から追い出されてしまう。だから幾つかの大学も受けなければならないし、受かったならば、やはりそこに入れるように確保しておかなければいけない。彼らに特有のこういう厳しい環境にあることを私たちは十分理解をした上で、日本人たちとは別の取り扱いをしても不公平ではないと私は思うわけであります。そういう意味で、特別選抜、一般選抜あわせまして、やはり入学金というものの納付を三月末におくらせていただきたい、そのように指導していただきたいと思うわけであります。そして入学金も含めて、もし入学しなかっ。たら留学生にだけは返していただきたい。
 聞きますところによりますと、日本大学には百億を超す助成金が国庫から出ておるわけであります。そういう観点からするならば、大学としては入学金が入ってこないことによって財政的な影響は若干はあるかもしれません。しかし留学生の数というものは、大学の総定員数からすれば、総入学者数からすれば本当に微々たるものでございまして、大学の財政に与える影響というのは極めて少ないものではないかと思うのです。その損失と、そして留学生をこのような苦しい状況に追い詰めているというそのデメリットの比較考量からするならば、改善はぜひともしなければならないのではないか、このように思うわけでありますが、御答弁いただければと思います。

○長谷川政府委員 私立大学の授業料等の学生納付金につきまして、これは外国人留学生であるかどうかにかかわらず、できる限り納入時期を遅くするように従来から指導をしてまいっております。特に、私費外国人留学生につきましては、特別選抜を実施する大学がふえてきたということもございまして、こういう場合でも学生納付金の納入時期をおくらせるように先般通知したわけでございます。
 学生納付金のうちで授業料や施設設備費につきましては、授業を受けあるいは施設設備を利用する対価としての性格を持つものでございますので、入学を辞退した者に対しても納入させるということは容易に国民の理解が得られない。そのために納入時期をできるだけおくらせるように指導をしておるわけでございます。しかし、入学金につきましては、基本的には私立大学が各学校の責任において自主的に決める事柄でございまして、一定の入学者の確保を図る必要から、あるいは合格者の入学意思を確認した上で二次募集や補欠募集をしなければならないという事情もございます。授業料と同様の配慮を行うということは大変に困難でございます。
 文部省といたしましても、入学金の納入の時期を具体的にいつにするかということは、学校の事情を踏まえて各学校が自主的に判断して決めることだと申しておるわけでございますけれども、各大学に対しましては、できれば留学生のための入学金の免除あるいは減額というようなことについて努力していただきたいというようなこともお願いいたしておりまして、最近では大学でも、入学金、授業料の減免措置をとっていただくところがどんどんふえてまいっております。
 国といたしましては、私費留学生全体をどのように面倒を見ていくのかという、私費留学生全体の対策の中でこういった留学生の援助を考えていきたいと考えております。育英奨学という観点からは相当な措置を近年やってまいっておりまして、私費の留学生の学習奨励費の対象となる学生の数は非常に多く、既に本年度で五千名に上っております。そのほか病気の際の医療費の補助であるとか各種のことをやっております。私立大学に対しましても、授業料の減免を行っていただいたところには、その三〇%を限度として国の方から大学の方に補助を行うというような制度も持っております。そういった私費留学生に対する援助の全体の中で考えていきたいというぐあいに考えておりまして、入学金の納入時期について絶対にこうでなければならないというような指導をするということは、現在のところ考えておりません。

○平田(米)委員 ぜひそれを考えていただきたいのですよ。今申し上げましたように、留学生にとっては大学に合格しなければ日本におれない。最初の大学にお金を払ってしまったら、もうそこの大学にいやでも応でも入らざるを得ない、こういう状況に追い詰められておるわけです。それは局長がおっしゃったような考え方も一つの考え方でありますが、しかし、冒頭に申し上げました、留学生は各国の未来の指導者なんですよ。しかも、ほとんどがアジアの人たちです。日本はアジアに対して六十年前から一体何をしてきたのか。彼らは、口では言わないにしても、心の中にはいまだにしっかりと持っておるはずです。しかし、あえてその日本に、わざわざ難しい日本語を勉強しで留学に来てくれているわけであります。その留学生の入学金を、入学をしてもしなくても取ってしまう。しかも、この通達では、少なくとも入学料以外の学生納付金を納入する時期についての配慮をお願いしているということでございまして、入学金、入学料については時期をおくらせなくても構わないという趣旨に読めるわけであります。彼らの置かれた現状というのは、私たちが考える以上に本当に大変なものでございます。
 皆さんに聞きました、お金はどうやってつくったのですかと。一生懸命アルバイトをやってつくりました。彼らにとっては、見ず知らずの土地に来て必死になって働いて、今の次に大事なお金ですよ。そのお金を何の合理的理由もなく取られてしまう。しかも、これからまだ選択をしたいと思っているのに早い時期に払わざるを得ない。彼らがこの日本の制度、日本の仕打ちに対してどんな思いでいるのか。こういうことができなければ、日本が国際貢献するとかなんというのはまさに空文ですよ。どれだけ大きな壁があるのですか。ほんのわずかのことじゃないですか。各大学にしたって、国際化あるいは国際的な貢献ということもおっしゃっているはずであります。教育者なら当然のことであります。それを監督する文部省が今のところそれは難しいなどという言葉に私は失望せざるを得ません。この言葉を聞いた留学生は、日本という国は何と冷たいのだろうか、何と冷酷なんだろう、自分に続く留学生を決して喜んで日本に来なさいよと言ってくれないのではないかと私は思います。日本よりも欧米の方がいいよ。留学生をふやすというのも文部省の政策じゃありませんか。こういうほんのわずかの心遣い、それさえできなくてどうして留学生をふやそうなんということができるのでしょうか。確かに私費留学生に対するいろいろな施策をやっておいでになることはよく理解しております。しかし、これさえできないようでは、ほかを幾ら言っても、留学生に対しては、やはり冷たい日本であることには変わりはないと思います。大臣、どうですか。

○井上国務大臣 今の局長の答弁にありましたように、授業料あるいは施設費はお返しする、入学金は、先生法律の専門家でありますから、やはり入学するしないのときの契約みたいなものがあって、そうしているのかなと今私はお話を聞いて感じていたのです。この入学金というのは、私学の経営上、それを見込んで何名というようなことで私学も当てにしておりますし、また今常識上考えても、入学しない者につきましては授業料並びに施設費はお返しするということでございますので、今すぐ私が、入学金も返すということは、なかなかそういうお話はできませんが、よく局の方々とも相談をいたしまして、いろいろお話を聞いて検討してみたい、このように考えます。

○平田(米)委員 ぜひとも前向きに検討して、いただきたいのですね。こんなことさえできないようでは、日本のアジアに対する責任は果たしたとは言えないと思うのです。
 今経営に影響するというようなお話がありました。しかし、どうですか。日大は今毎年何人入るのですか。留学生が何人いるんですか。一%もおりますか。ほんのわずかのことです。そしてまた、その一%の留学生の入学金が日大の膨大な予算の中で占める割合というのは〇・何%以下でございます。ほんの微々たることであります。そのほんの微々たることができないようでは、日本として恥ずかしい、私はこのように思えてなりません。今大臣が前向きに一遍検討してみたい、こういうお言葉を信じて、この質問はこれで終わらしていただきたいと思います。
 次に、最近外国籍の子弟が大変ふえてきたということでございますが、この点についてお伺いしたいと思います。今回割合と文部省も早く手を打たれて、これに対するいろいろな予算措置をとられたわけでありますが、その点についての概要と考え方を御説明いただければと思います。

2−1−3. 参議院 文教委員会 平成 9年 5月29日

質問者 馳浩
答弁者 雨宮忠(文部省高等教育局長)

○馳浩君 もとより私は任期制の導入については賛成派の人間でありまして、今回の法案の中身では手ぬるいのではないか、むしろ積極的にこの任期制を採用していくべきではないかという考えであります。
 でなければ、一般の産業社会ととりわけ基礎研究に携わる大学の中といったものが乖離してしまってはいけないわけで、より一層の人材の流動とともに若手の登用、あるいは巷間言われるところの、親分と言われる大学教授が人事やあるいは予算についての権限を持って大学を私物化するような、そういったいわゆる本来望まれている教育研究の大学の状態と違う方向の現状を変えていくためにも、私はこの任期制というものを活性化のためにもよりよく利用していくべきだと思っております。
 ただし、今回この任期制を導入すれば異動を伴ってくるわけでありまして、この異動に伴うマイナス面の解消、あるいは逆にプラス面としてのインセンティブの付与を図らなければ人材の流動性の向上は実現しないであろうと考えます。
 そこで、まず異動に伴うマイナス面に関する質問をさせていただきます。
 任期制の関連で異動する場合には、とりわけ理工系の先生に当てはまりますが、実験設備の輸送費は国または大学が負担すべきものと考えますが、いかがでしょうか。これが第一点目の質問です。
 さらに、その先生のスタッフである院生も移動するのが通常であります。そのためには移動先の大学院の編入試験を受けて合格しなければなりません。問題はその先でありまして、編入試験の検定料の支払いはやむを得ないとして、合格した後に再度入学金を支払わせるのはおかしいと思います。院生は総じて苦学生が多く、先生が立てかえる場合も間々あります。同じ国立大学問同士の移動であるならばせめて入学金の免除をするべきと思いますが、いかがでしょうか。この二点についてお答えをお願いします。

○政府委員(雨宮忠君) 理工系の教員が他大学に異動するという場合に、それまで当該教員が使用していた実験設備を異動先の大学に移して持っていくということに関するお尋ねでございます。
 実験設備自体、当該教員が使っていたばかりではなくて、多分学生も使っていたわけでございましょうし、ちょっと雑駁な表現で恐縮でございますが、それを根こそぎ担いで持っていくということがどの程度適切なのかどうかというのはあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、物品管理上の問題といたしましては、必要な場合以外は認められていないということでございまして、必要な場合とは、物品の効率的な使用のため、こういう限定が物品管理法上ついているわけでございます。この場合には、物品管理法上の概念といたしまして管理がえという手続があるわけでございまして、移転を行いたい両大学問で協議を行いまして、学長の承認を得た上で移転することができる、その際の輸送費については国が負担すべきものだ、こういうことでございます。具体例としましては、前の先生が使っていて、次の先生はほとんど使わないというようなものが多分該当するのではなかろうかと思いますが、制度的にはそういうことになっておるわけでございます。
 国立大学から公私立大学に物品を移転することにつきましては、財政法の規定によりまして、国の財産を「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」ということになっておるわけでございますので、制度上難しいものがあるのではなかろうかというように考えております。現在の物品管理法上はそういうことでございます。
 今先生のお尋ねのいわゆるインセンティブという観点からいたしますと、行った先にやはりそれなりの設備が整っておらなきゃ何にもならないだろうということはまことにごもっともなところでございまして、文部省といたしまして今年度の予算に、十分とは言えないわけでございますが、教員流動化促進経費というのを計上いたしまして、例えば民間の研究機関から教授や助教授として採用したという場合に、その受け入れ先の大学の研究環境の整備のために必要な経費を支給するというような努力もいたしておるところでございます。
 それから、二番目のお尋ねの院生の点でございます。
 これまた、異動する先生が強制的にその指導下にある大学院学生を連れていくということが一体受け入れられるものなのかどうかというのは一つあるわけでございますが、あえて申しますと、大学院学生の自主的な判断で、ぜひ引き続き当該先生の指導を受けたい、籍を変わっても、大学を変わってでも行きたいというようなことはないわけではなかろうと思うわけでございます。そういう場合でのお尋ねであろうかと思うわけでございます。
 基本的に国立大学の入学料につきましては入学許可の際に徴収するわけでございまして、その学生が当該大学の学生としての地位を取得することについて徴収する、こういう建前になっておるわけでございます。したがいまして、国立大学の学生が他の国立大学に動くということの場合につきましては、取り扱いといたしましては、改めて転入先の大学で入学料を徴収する、こういう扱いになっておるところでございます。

2−1−4. 衆議院 文部科学委員会 平成14年 6月 5日

質問者 藤村修
答弁者 岸田文雄(文部科学副大臣)
    工藤智規(文部科学省高等教育局長)

○藤村委員 それでは、きょうの本題の問題は、私は昔から、実は自分も経験者の一人として、不思議に思っていたというか、何とかならないかと思っていたケースでございます。
 私立大学に合格をし、そして、さらに国立大学に行きたくて、それも合格したら、私大の入学金等々、大体お金を取られておりまして、我々、当時は、滑りどめとか滑りどめ料とか言っていた。私は団塊の世代でございまして、大変たくさんの受験者がいて、大抵の人は、国公立に行きたいという人もやはり私学を受けて、ある意味じゃ滑りどめをつけておく。その際に、私自身も、自分の経験からいえば、某関西の私立大学工学部に合格をし、入学金等、それから工学部ですので施設費等も払わされたような記憶をしておりますが、それは全く返ってこなかった。
 その当時は、むしろ、それだけのたくさんの受験者の中で受かったんだからというふうな、やや、あきらめもあったんだろうと思いますが、私大に受かって、国立大学に受かって、そして結果的にはその私立大学に入学しない者から、その私立大学が、学生納付金等を徴収して、これを全くきょうまで返還してこなかった。
 このことについて、文部科学省としては、基本的にどのようにお考えでございましょうか。

○岸田副大臣 私立大学の入学手続時における学生納付金の取り扱いにつきましては、昭和五十年九月に通知を発出し、納付する費用の性格にかんがみ、授業を受けず、施設設備を利用しない者から授業料や施設設備費を徴収することは国民の納得を得られないことから、授業料等については、合格発表後短期間に納入させることは避ける等の取り扱いを各私立大学に求めたところであります。
 このように、授業料等の納付期限が早期に設定されたり、入学を辞退しても返還されないようなことは、今申しました昭和五十年の通知の趣旨からしても適切ではないというふうに考えております。
 ただ、その納付金の中で、例えば入学料というような、入学手続、準備のための諸経費に要する手数料、それと同時に、入学の意思を確認するための予約金的な性格を持っているもの、ないしは一種の手付金的な性格を有するもの、この入学料というようなものにつきましては、返還しないとすることも合理性があるというふうに考えております。

○藤村委員 大分たくさん答えていただきましたが、今の中で、ちょっと確認ですけれども、返還しないことは適切でないという文言がありましたね。

○岸田副大臣 そのとおりでございます。

○藤村委員 それは、昭和五十年のときに発出された通達でありました。実は、これは御承知のとおりでありますが、昨年四月一日から、新たな法律で、消費者契約法というのが施行をされた。それは、去年、平成十三年四月一日から施行ですよ。去年の四月からこの消費者契約法というのが施行をされて、それで事態がちょっと変わったと思うのですね。
 これの中身、私は今細々申しませんが、私立大学と、そこに入る学生との、入試、そして合格通知を出し、それから入学金等を払うことの契約がいわゆる在学契約になるという見方が一般的であると思いますが、この在学契約という見方として、消費者契約法というのはこの私大の入学に今後かかわってくると私は考えますが、現時点での文部科学省の基本的な考えを教えていただきたいと思います。

○工藤政府参考人 今のお尋ねにお答えする前に、先生の方から、私立大学と国立大学のかけ持ちの例でお話がございましたけれども、これは別にそういう類型だけじゃございませんで、A私立大学、B私立大学、あるいはA私立大学の中でA学部、B学部とか、いろいろ、受験生それぞれの志望がございますので、多数の受験をした場合の取り扱いは皆同じだと私どもは受け取ってございます。
 そういう中で、今の消費者契約法のお話でございますけれども、御存じのように、同法の二条におきましては、かいつまんで申しますと、消費者とは個人であり、事業者とは法人その他の団体であると規定した上で、「「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。」としてございます。
 私どもの方が有権解釈をする立場にはないのでございますけれども、所管省庁ともいろいろ御相談しながら、私ども理解しておりますところでは、個人である学生と、それから法人である学校法人との間で締結された契約でございますので、この法律による消費者契約に該当するのではないかと理解してございます。

○藤村委員 すなわち、昨年四月一日以降、消費者契約法が施行されて以来、事態は少し変化した。昭和五十年時点でも文部科学省通達、当時、文部省が出されておって、基本的に、全く返さないのはさっき不適切であるというお考えは示されていたけれども、昨年の四月以降はそれが法律的にも、今の消費者契約法においていわゆる在学契約というみなしができるわけですから、さらに事態は大きく変わったと思います。
 そこで、具体的な話として、実は、私、きょう聞きたいのは、これは大阪の弁護士の皆さんが、ことしの四月から少し動きをされた。ぼったくり入学金・授業料一一〇番というタイトルで、ぼったくりという言葉はどっちかというと大阪弁でありまして、大体ニュアンスはおわかりいただけると思います。まさに、行かない私立大学に、しかし、滑りどめの意味を持って、入学金や、場合によっては授業料や施設費や学友会費など、いろいろお金を払い込んでいる、結果、行かなかった、全然返してくれない、これこそぼったくりではないかという大阪流発想ではございます。
 こういうぼったくり入学金・授業料一一〇番というのを四月六日の土曜日に一日実施され、電話受け付けをされた、一一〇番ですから。そうすると、四百人ぐらいの父兄、保護者、学生たちから問い合わせが来て、それぞれに訴えをされた。一つの極端な例でいうと、私立大学医学部に合格し入学金などで八百万円を支払ったが、そして、結果、入学を辞退しても一銭も返ってこない、これで本当にいいんでしょうか、そういう一つのケースであります。そういうケースが相当数、四百、それぞれ一覧表になっておりまして、具体例があります、全部は申しませんが。
 三十年以上前、自分もそういう経験があるものですから、これは法律も新たにできたことですから、何とかならないのかな、そういう思いで、私立大学の入学手続において、いわゆる学生納付金の取り扱いについて、これは五十年通知があり、そして、昨年の四月以降、こういう法律ができた、施行された中で、文部科学省は何か対応されているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

○工藤政府参考人 さきに副大臣の方から御答弁申し上げました昭和五十年の通知があるのでございますが、当時は、私ども、法令に基づくというよりは、社会情勢としていろいろ問題の事案があったものでございますので、私立大学等に善処を求めたといいますか、御配慮を含めた検討方をお願い申し上げたわけでございますが、今御指摘のような消費者保護の法制が整備されてきておりますので、新たな消費者保護の観点から、関係者はさらに身を引き締めて運用をしていただく必要があるものと理解してございます。
 そういう中で、本年、私ども、大学の入学者の選抜について入試ミスが相次いだり、あるいは、当委員会でもさきに御論議ございましたけれども、留学生の安易な受け入れなどについても注意する事案が出てまいりましたので、それらを含めまして局長通知を発したところでございまして、その中で、今の学生納付金の取り扱いについて改めて御配慮をお願いしているという状況でございます。

○藤村委員 今、局長お答えいただいたように、これは五月十七日付で、平成十五年度大学入学者選抜実施要項についてということで通知をされて、今はブロックごとにまた説明会もされているふうに聞いております。
 その中で、今の件については、いわゆる昭和五十年の通知を参照し、推薦入学等も含め少なくとも入学料以外の学生納付金を納入する期限について、合格発表後短期間内に納入されるような取り扱いは避ける等の配慮をする、こういうふうに新たに書き加えられた
 この際、推薦入学等も含めというところも新たに書き加えられたようでありますが、これはどういう理由、事情からでございましょうか。

○工藤政府参考人 昭和五十年当時に比べまして、各大学の入学者選抜、随分いろいろな工夫がなされてきてございます。特に、今の御指摘の点について申し上げますと、推薦入学について、単に筆記試験だけではなくて、多様な入試選抜の一環としての推薦入学というのが大変広がってまいりましたのは、ある意味ではいいことなんでございますけれども、他方で、ことし事例が明らかになりましたのは、大体前年の十月、十一月ごろに推薦入学で合格を決めて、それで学生納付金の納付期限を一月だとかかなり早期に設定している大学が見受けられまして、学生等からのお話もあったものでございますから、五十年当時の通知の延長ではありますけれども、推薦入学についても同じような考えで、余り早期に学生からお金をいただくのはいかがでしょうかねということで、注意喚起したつもりでございます。

○藤村委員 推薦入学は相当数ふえていますよね。五十年のときからいえば、もう本当に、全く違う、新たな入学方式といっていいと思うんですが、それを加えていただいたということではございます。しかし、ベースはやはり昭和五十年通知がベースである。
 その中で、その通知には、入学料以外の学生納付金というふうな言い方になっております。入学料以外の学生納付金というのは、一体、何と何のこと、ちょっと例示をいただきたいと思うんです。

○工藤政府参考人 これは大学によってまちまちでございますけれども、よく御承知のところでいえば、入学金のほかには、授業料、それから施設整備費という経費をちょうだいしている私立大学が多うございますけれども、そのほかに、例えば、校友会費でございますとか、医学、歯学の場合に教育維持費でございますとか、図書の充実費等々、大変多様な経費がそれぞれの大学で工夫されているところでございます。

○藤村委員 だから、五十年の通知のときには、入学金以外のと言われて、今のおっしゃったような、授業料や施設整備費やら校友会費やら等、これらを、当該大学の授業を受けない者から授業料を徴収し、また当該大学の施設設備を利用しない者から施設設備費等を徴収する結果となることは容易に国民の納得を得られないとして、それを昭和五十年以来言ってこられたわけですね。言ってこられたことは、それはそれで非常に筋が通っていると思います。
 そして、去年の四月一日以降、消費者契約法ができた。ここで、私、新たなやはり事態だと思うんですが、消費者契約法九条一によれば、消費者契約の解除に伴う損害賠償額の予定、または違約金を定める条項中、ちょっとややこしいんですが、要は、大学の学則とか入試要項などで、つまり、一たん納めた入学金等、授業料等返しません、多分そのことを言っているんだと思います。そういうことは、事業者側に生ずべき平均的な損害額を超えるものは、その超える部分につき無効となる。これは法で決められたわけです。
 すると、今の判断でいうと、入学金以外はとされているところは、つまり、入学金はまあいいとして、それ以外の部分というのは、それを返さないということは無効である、そう考えてよろしいんですか。

○工藤政府参考人 消費者契約法は、私人間の取引の指針といいますか、ルールを律する法律でございまして、先ほど申したように、大学に学生が入学を申し込み、それを認められ、在学契約が成立するというのは、同法に言う消費者契約の対象だとは思われますけれども、個々具体のケースで、どういう場合が今御指摘のような無効とすべきもの、あるいは返還すべきものであるかということにつきましては、個々具体に実際の裁判例などを積み重ねながら確定していくべき事柄ではないかと私どもは存じてございます。
 おっしゃいますように、私どもの基本は、授業を受けないのに授業料を徴収する、あるいは施設を利用しないのに施設利用料を徴収する、それは基本的におかしいではないか、おかしいことはおかしいですねということは申し上げているのでございますが、ただ、実際に大学の御都合もございまして、大学は合格者を発表いたしますが、実際入学手続をいたしませんと本当に合格(ママ)してくださるのかどうかわからない、それが確定しませんと補欠入学の手続もとれないということなどもあって、限られた時間でどう相対(ママ)で処理されるのかというのは個々具体のケースで違う場合があろうかと思います。
 ですから、一般論で、これが無効である、返還すべきであると一律になかなか言いにくいところがあるのでございますが、基本は先ほど申したとおりでございます。

○藤村委員 今、でもはっきりおっしゃったのは、授業を受けない者から授業料を取ること、あるいは施設設備を利用しない者から施設設備費を取ることは、これはやはりおかしいということであれば、当然のことですよ、非常に正しいと思う。それならば、さっきの五十年通知で書かれているいわゆる入学金以外の部分というのは、やはり行かなかった人に対しては返還すべきである、ここまでがやはり言うべきことではないかなと私は思うんです。
 それは、去年の四月一日、消費者契約法というのが施行されて以来のことですから、となれば、もちろん今年度のこの三月、四月のこともありますが、去年の四月一日から施行ですから、厳密に言うと、去年の四月一日以降そのことがもし請求されれば、やはりそれは返還すべきではないかと考えますが、いかがですか。

○工藤政府参考人 先生のお気持ち、よくわかりますし、私も同じ気持ちでいるんですけれども、先ほど申しましたように、民法とかこういう消費者契約法というのは私人間の取引を律する法律でございまして、行政庁の立場で個々具体のケースについてああだこうだと言うのは、なかなか立場上申し上げにくいものなのでございます。
 ですから、先ほどありました、大阪の弁護士さんたちがある動きをしていらっしゃるという、そのこれからの動きに私どもある意味で期待しておりまして、そのあたりの指針が司法当局によって示され、一定の規範が成立することを期待しているところでございます。

○藤村委員 去年の四月一日施行後、この入学金のケースでは一度もまだ提訴もされておりませんので、確かに司法判断というのはあくまで裁判所でありますから、さっき局長おっしゃったとおりであります。授業を受けない人から授業料を取ること、大学の施設設備を使わない人から施設設備費を取ることはやはりおかしい、おかしいことはおかしい、そのとおり、気持ちはそうだとおっしゃったので、それを多とし、もう一つ。
 これは私、実は学生を毎年ブラジルに三十数名一年間派遣している、こういう事業を行っております。それで、いつも毎年いろいろな壁にぶつかるのが、大学を一年休学してブラジルという国に一年間研修に出すんですが、この際に、私大の中に、すべてとは申しません、多くの私立大学の場合は、基本的に授業料を一年分払えと言うんですね。これは、さっきの理屈からいうとどうでしょう。この点については多分過去指導されたこともないと思うんですが、これもやはり国民の納得が得られないと考えますけれども、いかがでしょうか。

○岸田副大臣 休学についての御質問ですが、私立大学に在学中の学生が休学する際の授業料等の取り扱いにつきましては、これは一般論ではありますが、授業料等を徴収するというような取り扱いは、特別な理由がない場合には望ましくはないと考えております。
 なお、国立大学については休学期間の授業料は免除されているという実態もございます。

○藤村委員 今この時代、学生時代に大学を休学して海外の大学に留学する、あるいは研修に出る、あるいは一年間本当に放浪の旅に出るなどなどは決して悪いことじゃないと思うのです。むしろ、そういうことは高等教育、大学教育の中で私は勧めている方で、だからこそ事業も行っているわけであります。ですから、このケースは相当ふえてまいります。ぜひとも今のお考えのとおりに、一度大学関係者には通知していただきたいなと思っているところでございます。
 そこで、もう一つ具体に、さっきのちょっと話に戻りますが、先ほど来入学金以外のとずっと言ってまいりました。しかし、この入学金についても、丸々、行かないのに、つまり入学しないのに入学金を取ることが本当に妥当なのか。
 入学金については、先ほどちょっと定義されましたので、もう聞きませんけれども、入学金についても、この消費者契約法施行後においては、平均的な損害の額を超える部分については無効になるのではないか。だから、その平均的な損害の額というのはそれぞれ、やはり今から司法判断もあるのでしょうけれども、入学金も丸ごと納めたものは一切返さないということは、やはりこれは問題になってくるのではないかと思います。
 かつ、その後入学辞退をすることが割に十分に早くに大学に通知されれば、つまり大学は四月一日から入学させるわけでしょう。そうすると、そのずっと一カ月も前に辞退をしている、さっきの例でいうと、推薦入学だと一月末ごろにはもうお金を納めているわけですね。しかし、その他の大学に受かって、二月末には、納めたけれども行きませんというふうなケース、つまり期間が十分にあるケースであれば、大学側だって当然辞退した人数だけ補欠者を繰り入れることはできるわけでありまして、そうすると、平均的な損害額というのはほんのわずかになってくるのではないか、そういう意味で、入学金についてもこれはやはり返還すべきではないか。全額とは申しませんが、やはり平均的な損害額を控除した部分というのは返還すべきではないかと考えますが、いかがでしょう。

○工藤政府参考人 これは先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたように、入学金は授業料その他と若干違う性格を帯びている部分がございます。もちろんその額の多寡等にもよりますけれども、他方で、先ほど申しましたように、大学の側からすれば、合格発表をして、入学してくれるのを期待しているところが、残念ながら、直前になって辞退をされる、そうすると、補欠でいい学生を確保しようと思ったのがほかの方にとられてしまうということになりますと、大学の運営、教育研究体制の全体の検討の中で、どれぐらいの金銭的な損害と言うかどうかは別としまして、大学の考え方や御主張もあるんだろうと思いまして、そこの部分、具体的にどういう額までがリーズナブルで、どこまでがおかしいのかということも含めて、これも実は私ども、基本的には先ほどのように、授業料等と性格が違うと思いますけれども、個々具体のケースについて、個々の消費者契約法の適用上どういう判断を司法当局が下されるのか、今後とも注視してまいりたいと思っております。

○藤村委員 ちょっと詰めて、さっき伺いましたが、これでよろしいんですかね。入学金の性格というのは、大学からいって、入学の手続、それから準備の諸経費に要する手数料、さらにその本人の入学の意思を確認するための予約金的性格を持っている、そういう解釈をしているんですが、それでほぼ間違いないですか。

○工藤政府参考人 私ども、国立大学、国立学校の場合も、入学金あるいは授業料というのは徴収してございますので、その場合の入学金としましては、入学手続、準備に必要な諸経費のほかに、今おっしゃいましたような、予約金的な性格あるいは手付金的な性格を帯びているものと理解してございます。

○藤村委員 そうすると、入学金、国立大学の場合は二十数万円取られますよね。そうすると、やはりこれもひょっとして、司法が判断することでしょうが、今の幾つかの性格でそれぞれやはり金額を積み上げてきたものであると。となれば、入学の手続、準備の諸経費に要する費用あるいは手数料、その部分がこのぐらいである、それからいわば予約金的性格のものがこの部分であるというふうな分け方になってきたときに、その損害というのは、やはりそれぞれ個別に算定されてくる可能性は出てきますよね。これは国立大学の場合ですよ。それはありますね。では、うんとおっしゃったんで、結構であります。
 ですから、この消費者契約法ができた、去年の四月一日施行されたことは、今の大学の入学金、そして入学金以外の学生納付金などに相当大きな影響を及ぼすということが現実味を帯びてまいりましたし、事実、これは大阪の弁護士会の皆さんたちが、多分四百件ぐらいの要望を聞いて、その中の本当に問題が大きいものについては、多分百数十件の提訴をされるというふうにも聞いておりますので、これをよく見守りながら、やはり文部科学省としては、本当に常識とか国民の納得が得られる考え方を通していっていただきたいと思います。
 最後に一つだけ。具体的にこの件で、現在国立大学の試験日程が今、通知を出した昭和五十年当時というのは、まだ一期校とか二期校とかいう制度がございまして、その後二段階ぐらい制度が変わってきて、現制度でいうと、いわゆる前期と後期、その前期合格者が遅くとも大体三月十日ごろまでに発表されます。それから、後期の試験を受けた人についても、遅くとも多分三月二十四日ごろにはいわば合否が決まっている。
 となりますと、五十年通知にもありますし、あるいは今回の通知にもあるんでしょうか、入学金以外の学生納付金を納入する期限について、合格発表後、短期間内に納入させるような取り扱いは避ける等の配慮をすることと、これは私大に対してですね。
 例えば、今の話でいうと、合格発表後、短期間内に納入させるような取り扱いは避けるということで、それでその後に、五十年通知に、例えば、入学式の日から逆算しておおむね二週間前の日以降に徴収という言い方があります。それがまだ残っていると思います。となると、例えば、その私立大学は四月の五日に入学式だ。さかのぼって二週間といいますと、ちょうど三月の中旬ぐらいになって、前期試験の合否が非常にどっちかなというところか、あるいは後期試験についてはまだ合否が出ていないなというところで納めねばならないというのは、これは五十年通知でこう書いてあるわけですから、今、その五十年当時からいえば、試験の制度は相当大きく変わっていますので、この今の二週間前の日以降に云々というところは、少し言いかえした方がいいんじゃないか。今の前期試験、後期試験、これは国立大学と私大を併願するというような場合にのみですけれども、ちょっと言いかえをするべきではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤政府参考人 昭和五十年の通知で御指摘のような表現をしてございますが、これは御指摘ありましたように、例えばということで申し上げているわけでございまして、入学式から二週間前以降であれば安全ですと私どもとして認知しているわけではなくて、本旨は、前段にございますように、合格発表後、短期間内に納入させるような取り扱いはいかがでしょうかということでございます。
 しかも、お話にありましたように、その後、各大学の入試日程、いろいろ変わってまいりました。国立大学だけではございませんで、国公私を通じまして、一応公になっております試験日程でいいますと、三月の二十三、四日というあたりが大体最後のグループになりますので、先生も先ほど御指摘ありましたように、今、各ブロックごとに説明会をしてございまして、今月中に全国を網羅する予定でございますけれども、先ごろ、六月の三日に行いました説明会でも、ここの部分についてはあえて担当者の方から御説明申し上げまして、現時点でいえば、三月の二十四日ぐらいまでは様子を見られてはいかがでしょうかということを注意喚起してございます。

○藤村委員 長年、私も不思議だと思っていたのが、この消費者契約法が施行されて、そして一年たって、今やっと現実味を帯びてきたと思っておりますし、大阪の弁護士さんたちの活動、運動に敬意を表し、そして文部科学省も、本当に当たり前の、国民の納得のいくやり方をやはり強く私学に対しても指導していっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

2−1−5. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月29日

質問者 有馬朗人
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○有馬朗人君 ドイツの場合もごく一部ですね。
 日本の国立大学の使命の一つは、やはり貧しい家庭の学生も教育できることでありました。それは、入学金も授業料も安かったからであります。しかし、先ほどのお答えが示しておりますように、もはや日本の国立大学の授業料はアメリカの州立大学より高くなっている。同じかむしろ高くなっております。
 そこで、まず入学金は欧米並みに取らない方法はないのでしょうか、そこまでいかなくても、法人化する際、入学金や授業料はもっと安くできないものでしょうか、お聞き申し上げます。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学におきまして入学金徴収するかどうか、あるいは徴収する場合にどの程度とするかということにつきましては、各国の大学制度あるいはその歴史的発展の経緯によるところが大きいと、こう考えておりまして、我が国の国立大学につきましては、大学教育を受ける者に一定の負担を求めるという考え方から、明治以来、入学金を徴収をしてきておるわけでございます。
 従来から、教育の機会均等の理念を踏まえ、私立大学の水準や社会経済情勢等を総合的に勘案して設定をしてきているということでございまして、近年、授業料と入学料を国立大学隔年で改定をしてきたという経緯がございますが、厳しい経済情勢を踏まえまして、平成十六年度の入学者、これは入学料を上げる番ではあったんですけれども、今回改定を行わないと、こうさせていただいたところでございます。
 今後とも、入学料の取扱いについては、法人化になりましても、そういったようなことで適切に対処してまいりたいと、こういうふうに思っております。

2−1−6. 衆議院 文部科学委員会 平成15年 6月 6日

質問者 山内惠子
答弁者 河村建夫(文部科学副大臣)
    遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○山内(惠)委員
 それでは、公表できるものはしていただくということで、なぜできないかの部分は後ほどまたと思います。
 次の質問に行きます。たくさん質問がありますので、何が何でも聞いておきたいことを先にさせていただきまして、副大臣に質問いたします。
 大学に入学するに当たって、国立大学では入学料というものが二十八万二千円という額を支払っているそうですね。それで、授業料は五十二万八百円とお聞きしているんですが、しかし、一たん入学を決めた人がそこの学校に来なかった場合は、授業料はお返ししているとお聞きしましたが、入学料というのはなぜお返ししないのでしょうか。これは、もしも部分的に何としても経費として使うものがあるのであれば、この部分は差し引いてお返しするという方法もできると思うんです。その意味で、入学料の根拠が明らかになっていないと思います。
 それで、この根拠と、なぜ入学料はお返しにならないのかというのをお聞きしたいんですが、お願いいたします。

○河村副大臣
 国立大学の入学料についてでありますが、学生として大学という施設を利用し得る地位を取得するに当たっては、その入学に際して一括して支払われるお金である、同時に、入学に伴って必要な手続、準備のための諸経費に要する手数料としての性格をあわせ持つことから返還しない、こういうことになっておるわけでございます。
 文部科学省で定めます大学入学者選抜実施要項においては、「大学は、入学に要する経費のすべて及びその納入手続等を募集要項に記載するもの」といたしておりまして、各国立大学の募集要項については、入学を辞退した場合、既に納めている入学料については返還しないということを記載いたしておるところでございまして、そういう意味で、入学料については返還しないということにいたしておるところでございます。

○山内(惠)委員 きっとそのお答えをきょうはお変えにならないと思いますので、質問としてはここで打ち切りますけれども、入学料というのは、今施設、諸経費、手数料という言葉をおっしゃられたんですけれども、入学をした者は施設を使っていくと思います。でも、施設を使ったのは、試験を受ける日か何かで大学に行って使ったという日はあるかもしれませんけれども、金額は二十八万二千円という金額です。しかも、この入学料のほかに施設料を別に取っている学校もあります。
 そのことを考えると、必要経費というのを本当に差し引いてもいいですから、これはお返しするべきと考えます。ちょっとそこだけお答えいただけないでしょうか。

○遠藤政府参考人 入学料の性格につきまして、今副大臣からお答えいたしましたけれども、もうちょっと詳しく、詳しくというより短く詳しくお話ししますけれども、入学料の性格でございますけれども、入学手続、準備のための諸経費に要する手数料であると同時に、入学の意思を確認するための予約金的性格ないしは一種の手付金的な性格を有すると考えられておるということでございますので、返還をしないというような取り扱いにさせていただいているわけでございます。

○山内(惠)委員 お答えはそうなんだと思いますが、このことについて訴訟も起こっていると聞いています。ぼったくり入学金・授業料返還弁護団が、このような文書をいろいろやっていまして、やりとりもおありだと思います。でも、一人の学生にとって、二十八万二千円というのは大変重い金額です。奨学金を論議するにしても、この大学に行かなかったにもかかわらず、これだけ支払わなければならないというのは、家庭の経済にも影響すると思いますので、返還に向けてぜひ御検討いただきたいということで、次の問題に行きます。
 河村副大臣にお聞きするということで質問を出しておりました、日本育英会では緊急採用奨学金制度を創設していますが、今後も堅持するのかということの質問です。リストラされて家庭が苦しくなったということで、奨学金は今までは必要なかったけれども必要だということで育英会では創設をしたそうですが、制度が変わったときにどうなるかということです。
 あわせて、質問事項に入れていなかったんですが、入学時の多額の、今のような入学料、施設料、それからいろいろありますよね、授業料も前は払っていたというわけですから、入学時の多額の学納金負担に対して、これを軽減するような制度を創設すべきと考えますが、これは質問に入れていませんでしたけれども、検討するという方向でお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○河村副大臣 前段の緊急採用奨学金制度でございます。これは、平成十一年度から採用いたしまして、希望者全員に採用しておるわけでありまして、平成十五年度予算にも所要額として一万人分三十一億円、これで対応できると思っておりますが、こういう方には全員という思いでございますし、この考え方はこれからも続けてまいります。
 それから、今の後段の御指摘の問題でありますが、そういう御指摘も我々としては検討課題として考えていかなきゃいけない。こういう経済状況にございますので、検討課題にさせていただきたい、こういうふうに思います。

2−1−7. 衆議院 文部科学委員会 平成16年 4月14日

質問者 土肥隆一
答弁者 加茂川幸夫(文部科学省高等教育局私学部長)

○土肥委員 (略)
 残された時間、あと一つだけ申し上げます。
 これは先ほどから何度も言っておりますように、私立学校納付金問題です。新聞にこのごろ盛んに出るようになりまして、入学辞退者の前納金返済訴訟も起きておりまして、そして、平成十三年四月に施行されました消費者契約法、これが法的根拠になりまして、返せということになっております。返すようにと。しかし、これは、それぞれの裁判が行われて、それぞれ判決が出ているわけでございますけれども、恐らくこの方向は変わらないだろうというふうに思います。
 私の言いたいのは、私立大学における経常経費と補助金の間で、私の調べたところによりますと、補助金の割合は一二%ですね、一二・何%、ちょっと割る場合もありますけれども。つまり、一二%しか補助していなくて、あとは寄附金でやりなさい、あるいは授業料でやりなさいというふうになっているわけでありまして、大学が受験生を当てにして、学校納付金を前もって取るというのもわからないではないんですね。しかし、それはだめよということになれば、何らかの規定を、あるいは指示、指導をしなければいけないだろうと思いますが、今文科省はこれに対してどういう態度を持っていらっしゃるんですか。

○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 いわゆる前納金の返還取り扱いについての文部科学省としての指導についてでございます。
 私立大学について申し上げますけれども、私立大学の入学手続時における学生納付金の取り扱いにつきましては、入学を辞退したということによりまして、授業を受けない学生から授業料を取る、あるいは当該大学の施設設備等を利用しない学生から施設設備費等を徴収する、これはやはり一般国民の理解を得られないと私どもも考えております。
 ただ、学生納付金、前納金のうち、含まれております入学金、入学料につきましては、入学し得る地位への対価の性格もあると考えておりまして、これは他の授業料でありますとか施設設備費等と違って、返還しないことも一定の合理性があるなと考えておるわけでございます。
 従来から、この基本的な考えに立ちまして、私立大学等に対しては通知等によって指導をしてまいりました。特に、入学手続時における学生納付金の取り扱いにつきましては、今言った観点から、各法人において善処してほしいというものでございますし、これは委員御指摘のいわゆる消費者契約法の施行後、前後について変わりはございません。一貫してこの考えをとり、指導をしておるところでございます。

○土肥委員 指導ですよね、規制じゃございませんよね。ですから、あとは私学関係者の常識にまつわけでありますけれども、やはり、弱みにつけ込んだというのは語弊がありますけれども、そういうやり方はよくないとは思いますが、私はもっと私学補助金をせめて三割ぐらい、経常経費の三割ぐらい払わないと、指導だ何だと言っても、それはしょせん無理な話だと思います。
 どうか今後も、私学の振興、私学の位置づけをきっちりいたしまして、少子化社会の中で私学が今後どう生きていくかというのは大変な問題ですから、そういう意味で皆さんの、委員各自あるいは国会、そして文科省当局の御努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

2−2. 入学料の国際比較

2−2−1. 参議院 文教科学委員会 平成11年 3月 9日

質問者 田名部匡省
答弁者 有馬朗人(文部大臣・科学技術庁長官)

○田名部匡省君 ここに奨学金制度でありますとか第三者評価を含む多面的な評価システム等、いろいろいいことがたくさん書いてありますが、私も五十四年に国会に出てきてから文教関係が長かったのです。そのときによく言うのは、これ地元でも言うとみんな感心して聞いてくれるのですが、東大はもう目的を達したのではないかと、国立大学は。そういってもなかなか反対の人も強いから、せめて授業料は私学と国立と一緒にしたらどうかと。かつては、お金がないが優秀な子供は国立大学に入ったという時代があったけれども、今は塾に通わせて金を持った人の子供が大体入っているのが多いのじゃないでしょうか。となれば、その面での目的は果たした、しかし、いろんな研究とかそういうことで必要だというのならば、私は授業料は原則一緒の方がいいと。
 というのは、国立大学に入った人たちの授業料でも何でも国民全体で負担するのです。ところが、自分の子供は国立大学に入れないと私立大学に行きます。そうすると丸々かかるわけですね。丸々持ったほかに国立大学の生徒の分も負担すると、両方ですよ。ところが、国立大学に入ると私学分の負担がないのですから。だから、これはもうこのぐらい不公平なことはないと言って演説をやるのです。
 どうでしょう、奨学金制度をもっと拡充して、優秀で卒業したら将来はうんと稼ぐのですから、その中から返済をする、それをまた借りると。ぐるぐる回せばいいのですから。そういうふうにしないと、別な方にもっとやらなきゃならぬこと等これから出てくるので、私は、単純な発想で申しわけないのですけれども、実は私学と公立と差のあることは余りいいことではないのではないか、こう思っているのですが、どうでしょうか。

○国務大臣(有馬朗人君) 授業料のことでございますが、私学と国立の差はそれほど質的なものではなくなりました。平均一・六、七倍ぐらいまで下がっております。入学金はほとんど、医学部とか何かは別ですよ、しかし全体に言って一・一倍とか一・三倍ということでございます。
 そこで、一つお考えいただきたいことがあるのです。ヨーロッパ、ドイツ、フランスは大学の授業料はただです。入学金はありません。イギリスもそうです。ただ、イギリスは少し今度から取ろうかと言っているようです。アメリカと日本だけです、非常に高い授業料を取るのは。どちらがいいか。私は、高等教育というのはもっと国が根本的に助けるべきだということを主張しているわけです。私学助成をふやすことによって私学の授業料を減らすべきだと私は思っているのです。これから授業料を私学がふやさないように努力をしていただきたいと思っているわけです。同時に、国立の方も授業料は今の程度に置いておきたい。国家にとって非常に重要な人を育てる上で、やはり高等教育にもっと日本は力を出していかなければならない、そういう意味でもう一度授業料の問題というものは真剣に考えなきゃならないと思っております。そういう点で私学助成のことももっと真剣に考えていかなければならない。
 どちらがいいか。私学を本当に伸ばしていって私学だけにすると、これはもう日本だけです、そうしたら。アメリカも私学が多い。七五%が私学です。数の上では日本も七五%が私学。しかしながら、三〇%の子どもだけを、学生だけを育てているのがアメリカの私学です。あとの七〇%は州立が教える。日本は七五%を私学にお願いしているわけです。これでいいのですか。これを私は皆さんにぜひともお考えいただきたい。日本の高等教育を進めていく上でぜひともお考えいただきたいことでございます。

2−2−2. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月29日

質問者 有馬朗人
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○有馬朗人君 学生のことについてもう少しお聞きいたします。
 それは、入学金や授業料のことであります。私が教授を務めておりましたニューヨーク州立大学にしても、フンボルト賞で招待されました客員教授であったドイツのチュービンゲン大学にいたしましても、入学金はなかったと記憶しております。アメリカでは、私立大学も州立大学も、授業料は取っていましたが入学金は取らなかったと思います。チュービンゲン大学を始めヨーロッパ諸国の大学、それが、ほとんどがイギリス、フランスのように国立かドイツのように州立でありますが、授業料はゼロかゼロに近かったと思います。もっとも、イギリスは最近授業料を少々取るようになりましたが。アジアの国々は日本の状況に似ています。
 そこで、ヨーロッパ及びアメリカ各国の大学の入学金のありなし、授業料の金額についてお聞かせください。

○政府参考人(遠藤純一郎君) アメリカ、イギリス、フランス、ドイツともに入学料は取っておりません。授業料ですが、アメリカの州立総合大学で平均四十四万六千円、それからイギリスでは十九万三千円、フランスにつきましては授業料という形ではなくて登録料という形で一万三千円、それからドイツにつきましては、一般には無償でございますが、一部の州で十二万円程度の授業料を取っているということがあると理解しております。
○有馬朗人君 ドイツの場合もごく一部ですね。
 日本の国立大学の使命の一つは、やはり貧しい家庭の学生も教育できることでありました。それは、入学金も授業料も安かったからであります。しかし、先ほどのお答えが示しておりますように、もはや日本の国立大学の授業料はアメリカの州立大学より高くなっている。同じかむしろ高くなっております。
 そこで、まず入学金は欧米並みに取らない方法はないのでしょうか、そこまでいかなくても、法人化する際、入学金や授業料はもっと安くできないものでしょうか、お聞き申し上げます。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学におきまして入学金徴収するかどうか、あるいは徴収する場合にどの程度とするかということにつきましては、各国の大学制度あるいはその歴史的発展の経緯によるところが大きいと、こう考えておりまして、我が国の国立大学につきましては、大学教育を受ける者に一定の負担を求めるという考え方から、明治以来、入学金を徴収をしてきておるわけでございます。
 従来から、教育の機会均等の理念を踏まえ、私立大学の水準や社会経済情勢等を総合的に勘案して設定をしてきているということでございまして、近年、授業料と入学料を国立大学隔年で改定をしてきたという経緯がございますが、厳しい経済情勢を踏まえまして、平成十六年度の入学者、これは入学料を上げる番ではあったんですけれども、今回改定を行わないと、こうさせていただいたところでございます。
 今後とも、入学料の取扱いについては、法人化になりましても、そういったようなことで適切に対処してまいりたいと、こういうふうに思っております。

○有馬朗人君 私は、中学校の三年生のときに父親を亡くしまして、しかも収入のない母と祖母と三人で非常な貧乏生活をいたしました。旧制の四年生のとき、中学四年生のときに家庭教師として住み込むというふうなことで、高校、大学、大学院とも、午前もとは言いませんが、午前中は大学に来ておりましたけれども、午後はほとんどアルバイトにアルバイト、そして週末は完全にアルバイトをしてきました。そのときに助けられたのは、奨学金と授業料免除、授業料免除という制度でありました。辛うじて高等学校と大学を卒業し、大学院三年を修了したわけであります。
 そこで質問ですが、育英会が学生支援機構に変わったとき奨学金のための予算が減ることはないということをひとつ言っていただきたい。
 そのことと、もう一つ授業料の免除、せめて入学金。授業料をどうしても取らなきゃならなければ、授業料の免除枠を増やしていただけないか、そしてまた、入学金を免除するというふうな制度が導入できないか、お伺いいたします。

○政府参考人(遠藤純一郎君) まず、奨学金についてでございますが、御指摘のように、日本学生支援機構法案ということで現在御審議をいただいているところでございますけれども、独立行政法人移行後におきましても、これまでの奨学金事業をしっかりと継続をしまして、教育を受ける意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるよう更なる充実に努めてまいりたいと、こう考えております。
 それから、授業料免除の制度につきましては、その経済的理由などにより授業料納付が困難である者などを対象に、修学継続を容易にし教育を受ける機会を確保するという意義を有しておりまして、法人化後もこのような観点から授業料免除の仕組みにつきましては維持をする必要があると、こう考えております。
 入学料につきましては、既に災害等の特別な事情がある場合、免除できる制度を現在既に実施をしているということがございます。
 免除枠につきまして拡大できないかということでございますが、私ども努力をしていきたいと、こう思っておりますけれども、厳しい財政状況の下でございますので一層の努力をしたいと、こう思っております。
2−2−3. 参議院 文教科学委員会 平成16年 3月24日

質問者 有馬朗人
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)
    河村建夫(文部科学大臣)

○有馬朗人君 これからお分かりのように、決してアメリカの一流大学、ヨーロッパの一流大学がところてん式にやっているわけではないのです。このことを十分、特に文科省は御認識賜りたい。
 一番そういう意味で難しいのはアメリカのコミュニティーカレッジであります。入学金がただで、入学金なんてないんですよ。授業料はほとんどただであります。そこは入った人の一〇%しか卒業していなかったはずであります。
 そこで、次に、諸外国の大学の入学金、授業料があるかないかについてもう一度お聞きいたします。一度高等教育局長にお伺いいたしましたが、いかがでしょうか。ごく簡単に御説明いただきたい。そして、韓国、中国はどうかということもお加えになってお教えください。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 時間の関係で入学金だけで申しますと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、いずれも入学金は取っておりません。韓国では入学金を、我が国と同じように入学金を取っておると、こういうことでございます。

○有馬朗人君 韓国は非常に日本に似ています。日本のやり方と非常に似たやり方をやっていますが、ほかのところは中国も含め全世界的に入学金を取っているところはないと思います。
 入学金というのはそもそも四年間に修了することを前提にして取っているわけですから、こういうお金を取っていれば、途中でもう出ていけと言ったらこれは詐欺ですよね。このごろPL法というのがあるわけで、お金を取ったからにはちゃんと産物をしっかりしなきゃいけない、この問題に引っ掛かるわけです。
 そして、今授業料のお話はいただけませんでしたけれども、ドイツ、フランスはほとんどゼロ。ドイツが少し取るようになったと思う。それから、イギリスはこのごろ取るようになりましたね。でも、長い間授業料も取っていません。そういうふうに授業料も取らない、入学金も取らなければ、たくさん学生を取って、どんどん厳しい講義をして、途中で退学することを許せばいい。
 私の知っているところでは、ドイツのケルン大学でありますが、そこで見ていたらば、初めの一年、最初のころは物理教室に四百人来ていましたけれども、二年目か三年目、物理が難しいって、物理易しいと思うんですがね、一番易しい学問だと思っていますけれども、二年、三年たつと百人になっていましたよ。だから、それで、ドイツの人たちは非常にむなしいかなと、そう言っていました。
 さて、本題へ戻りまして、要するに、授業を厳しくして卒業を難しくするために授業料や入学金を取らないようにするならいいけれども、そうじゃない場合のことを少し考えてみたいんですが、日本の場合、どうしても取る、そしてヨーロッパ先進国は取らないところが多い。これ、どこからこういう差が出てくるかと。やっぱりこれは、GDP当たりで見た限りでありますけれども、アメリカやヨーロッパの主要国というのは高等教育に非常に多くの金を使っているからだと思うんですね。
 そこで、一体、日本はこれからどうしたらいいのかという大問題に引っ掛かるんですが、まず、事実関係をもう一度確認さしていただきたい。何か所、全部おっしゃると大変でありますので、日本はGDP当たり高等教育費にどのくらい使っているか、アメリカそしてヨーロッパの一、二国についてお教えください。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 高等教育に対する公財政支出でございますけれども、GDPに対する公財政支出の割合、教育制度の相違など、国によっていろいろ条件が違いますので、単純比較は難しい面もありますけれども、OECDの調査によりますと、二〇〇〇年現在で、アメリカが〇・九%、イギリスが〇・七%、ドイツが一・〇%、フランス一・〇%、日本が〇・五%と、こういう数字になっております。

○有馬朗人君 やはり、日本が半分とは言いませんが、やっぱり非常に少ない。
 この点について、特にアメリカはGDPがそもそも日本よりはるかに大きい、そういうことも考えますと、やはり日本は少な過ぎる。GDPで見ますと、パーセンテージで見ますと二倍ぐらいでありますが、絶対額となりますと大変な差があるということを御認識賜りたいと思います。度々同じ問題を提起いたしまして恐縮であります。
 そこで、大臣にもお聞かせいただきたいことでありますが、国として、高等教育の財政強化、そして初中教育の財政を強化し、特に大学の入学金や授業料を低減するべきであると私は思うんですね、むしろ積極的に。今どんどん毎年のように国立大学も増えてきている、このことを何とか食い止めなきゃいけないと思う。
 国立大学の使命というものの一つは、やはり財政的に貧しい子供たちが来られる。私も大変な貧乏人でありましたけれども、かろうじて国立大学に入れました。それが一つの特徴であった。ところが、このごろの国立大学の入学金や授業料はもう私立とほとんど変わらないところまで来ていますよ。アメリカより高い。これ何とかならないのであろうか。この点について、ひとつ文科大臣にお覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。
 それからまた、奨学金の充実がやっぱり日本は依然として弱い。この点につきまして、まず資料というか調査した結果をお聞かせいただきたいんですが、アメリカ、日本では一体、奨学金がどのくらい出されていて、恩恵を被っている人々は何%ぐらいか、その額はどのくらいか等について、高等教育局長よりまずお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 奨学金の実情につきまして御説明させていただきます。
 我が国での、平成十六年度予算案で見ますと、日本学生支援機構の奨学金貸与人員、これにつきましては、大学、大学院で今年度に比べまして約八万人の増で七十二万人、学生数に対する貸与率が約二四%となっております。事業全体で見ますと、近年では希望する人ほぼ全員に貸与できるという状況になっております。
 貸与額の方でいいますと、学部段階の貸与年額が、無利子奨学金で、通学形態等いろいろでございますので、五十三万円から七十六万円まで、有利子の奨学金では、本人の希望に応じまして三十六万から百二十万円までと、こうなっております。このほか、無利子と有利子の両方を同時に貸与を受けるという制度、あるいはその入学金に、入学時に有利子による三十万円の一時金の増額貸与ということも近時可能となってございます。
 一方、国立大学の授業料でございますけれども五十二万円、入学料約二十八万円、計八十万円。私立大学では、授業料の平均が八十一万円で、入学料の平均が二十八万円で、合計百九万円と、こういうことでございますので、奨学金全体で見れば、授業料等の支払に対応できるようになっているんじゃないかと考えております。
 アメリカでございますけれども、連邦政府が関与している奨学金の給付及び貸与の延べの人数は約一千五百万人、実数による貸与率は約六割と承知をしているわけでございます。金額でございますけれども、奨学金年額は六万円から四十六万円程度でございますが、複数の奨学金を受けることが可能でございまして、一人当たりの平均が約八十万円となっているということでございます。
 なお、州立総合大学の授業料でございますが、平均で約四十九万円、私立の総合大学の授業料が平均で二百三十万、ハーバードでいいますと三百二十九万と承知をしております。ただ、私立大学におきましては、連邦政府が関与している奨学金以外にも大学独自の奨学金制度が充実をしているというふうにも承知をしているわけでございます。

○有馬朗人君 ありがとうございました。
 今の数字をよくお聞きになっているとお分かりと思いますが、日本の奨学金はよくても、入学金と授業料を払ったらパア、その後は自分でやっぱりアルバイトをしなきゃいけないんですね。この点に関して、やはり文部科学省として人材育成の上でしっかりお考えになられて、様々な面で奨学金を充実なさっていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお願いでありますが、繰り返し同じことを申し上げて申し訳ありませんけれども、やはり日本の政府、地方自治体等も含めて、高等教育だけではなく初中教育も含めてでありますが、より強く財政基盤をすべきである。特に高等教育が目立って少ないのでありますので、財政支援を徹底的に強化をしていただくべく御努力をお願いいたしたいと思いますが、文科大臣の御感想をお聞かせください。

○国務大臣(河村建夫君) 有馬先生がおっしゃるように、正に国づくりは人づくりでございますし、日本の今日、やっぱり教育力にあるということは間違いない、これを低下さしてはならぬ、これは国にとって最大の課題でございます。特に高等教育については正に人材づくりの総仕上げのところでございますから、この高等教育を充実するということは重要な課題でございますし、先ほど来御指摘のあの〇・五%という数字、いつも出てくる数字でございまして、これを何とか上げたいという気持ち、我々持っておりますので、これはこれで更に努力しなきゃいかぬと思いますが。
 ただ、日本には日本の考え方といいますか、その教育を受ける方々、あるいは進学をしない方々、あるいはそういう方々と同じ税金を使う、できるだけ応分の負担はしていただこうじゃないかという考え方もある。やっぱり、総じて財政不如意の方については、おっしゃるように今奨学金の問題、これがもっと充実する、しろというのは、これは当然のお考えだと思います。この点は、もうちょっと、それが対応できているかどうか、これは考えなきゃいけませんが、最近では、東京大学へ進学されている皆さんの家の収入が一番高いんだと言われているケースもございます。それは、そこまでの掛ける金が相当掛かっているという問題もございます。これは、今の予備校があり塾があり、こういうことにも原因があるわけでございますが、そういう観点からいうと、それなりの応分の負担はしていただく。
 また、一方では私立大学が、その授業料といいますか学生納付金、これによって大学教育を現実に実施している問題、一方では公私の格差是正という強い要請もいただいておる。こういうことと相まって、この厳しい経済状態の中で、御指摘のように高等教育にもっともっとお金をということ、これは公立のこともそうであり、国公立もそうでありますが、私学に対しても同じようなことが言えるわけでございます。そういう面で、今、日本では私学が非常にウエートが高いということもあって、私学は授業料を基にしてやりながらできるだけ、国費の負担が減っていると、少ない、こういうこともあって恐らく平均値的にこういう数字も出ているんだと思いますが、おっしゃるように、高等教育の役割を言えば、そこの重要性を踏まえれば、この点をもっと重視するというのは我々の大きな使命だと、こう思っておりますし、また、授業料の在り方の水準、これも適正でなければなりません。教育の機会均等という強い要請もございます。そういうことを踏まえながら適正に対応していかなきゃならぬと、こう思っておりまして、奨学金の面からの充実、あわせて授業料をできるだけ抑えながら、そして公私の格差是正ということも考えながら対応していく、これが文部科学省の重要な役割だと、このように思っております。

○有馬朗人君 ありがとうございます。
 やはり、今、大臣御指摘のように、私は私学の重要性を強調したいと思います。もちろん、国立のことをお願いいたしますが、同時に私学助成を徹底的に増やすという御努力を賜りたい。特に満遍なくどこにも平均的にいくというのでは駄目で、やはりしっかりした努力をしているところに対して競争的な資金を導入していただきたいと思うんです。その点で、私は感謝申し上げますけれども、教育COEを研究の上ではおやりになっておられましたが、さらにまたそこに大学教育に対する言わばCOEのような方針をお立てになって助成をしておられる、この点に対して私は感謝申し上げます。
 ここでは国立も公立も私学も差がありませんので、こういうところを是非、さらにトータルの金額をお聞きしてもいいんだが、私は二けたぐらい、少なくとも一けた違っているんじゃないかと思うんですね。もうあと一けたぐらいお上げいただきたいと私は思いますけれども、そういう御方針をひとつ今後重要視なさって、更にお進めいただきたいと思います。

2−3. 入学料と奨学金

2−3−1. 衆議院 文教委員会 平成 5年 2月24日

質問者 冬柴鐵三
答弁者 遠山敦子(文部省高等教育局長)

○冬柴委員 (略)
 さて、時間が迫ってまいりましたけれども、現在我が国は急激に長寿社会に向かっている。これに対しては、高齢者福祉対策十カ年戦略、ゴールドプランというものが立てられて、それに対して総額六兆円、十年間で六兆円を投入して、こういうものに万全を図る、そういう政策決定を政府はしていらっしゃるわけでありますが、私は、この長寿社会とともに、少子社会が今急激に進んでいるということを危惧する一人であります。
 平成三年三月の予算委員会で、私はこの問題を取り上げまして、お母さんが子供を産み、そしてお父さんとお母さんがこの子供を育てることが人生において最も喜びの大きい営みである、こういう社会でなければならないんじゃないでしょうか。それを、少なく産んで大事に育てられたんじゃ、これは僕はやはり教育上もいいことはないんじゃないかなという感じがします。そういう意味で、私はそのとき、子育て支援十カ年戦略、こっちはダイヤモンドプランということで、これは十年間で十兆円かけてもいい政策ではないか、こういうことをその予算委員会で申し上げたわけでございます。
 なぜお母さん方が子供を余り産まないのかということについてはいろいろな研究があるようでございまして、その際、教育費が大きくかかる、そのことを考えるとたくさん――私四人産んでしまいましたけれども、今大変ですね。そういうことを考えれば子供を産むことを考えなきゃいけないということにあるようでございます。
 私はそういう観点から、子育てを支援するという意味で、もっともっと日本のお母さんに子供を産んでいただく、そういう意味から教育費の軽減ということ、改善を考えてもらわなければいけないんじゃないか。これは文部省だけでできる話ではありません。しかし、二十一世紀に我が国の活力を維持し、そして世界に指導的な地位を維持するためには、絶対にこれは通らなきゃならない一つの道だと思うわけでございます。
 そこで、きょうは時間もありませんが、幾つかの提案を申し上げたいと思うわけです。
 一つは、日本育英会の政府出資額を増額をして、高校入学、大学入学の初年度に必要とされる入学金等について貸与制度を創設するということはいかがだろう。もちろん、入学金のうち、例えば五十万円を限度に税額控除を行うという減税も今野党は考えているわけですけれども、何しろ子供が入学するというときは大変なお金がかかるわけでございますから、まずその点について、所管の方で結構ですが、どういうお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

○遠山(敦)政府委員 先生御指摘の点でございますけれども、国といたしましては、育英奨学制度によりまして、国家社会に有為な人材の育成、それから教育の機会均等を図ってきているところでございます。年々少しずつ増額をいたしているところでございますけれども、お話のありました教育費にかかわります融資制度につきましては、現在国民金融公庫等によりまして教育ローンが実施されているところでございます。
 日本育英会の事業としても、入学一時金を対象とした貸与制度の創設をしてはどうかということでございますが、この問題に関しましては、今後の育英奨学制度のあり方につきまして今御審議をお願いしております調査研究会においても取り上げられると思っておりまして、目下調査研究中という段階でございます。

○冬柴委員 時間もありませんので、ざっと私の考え方を述べますので、まとめてでも個別でも結構ですが、御答弁いただきたいと思うのです。
 二番目には、国金の話は出ましたが、年金福祉事業団等でも入学金等の教育関連融資制度、こういうものを創設して、父母の教育費の調達に心配がないというようなことをすることはどうだろう。
 それから三番目は、特定扶養控除という制度があります。十六歳から二十三歳未満の子供のいる世帯につきまして十万円の所得税控除を行っているわけですが、これをもう十万円引き上げるということにより、こういう需要にこたえられないか。
 四番目、教育財形型貯蓄、非課税限度額三百万円程度を創設をして、利子を非課税とすることによって、子供が将来大学へ行く、高等学校へ進むというときのための蓄えを、そういう形で奨励してはいかがだろう。
 それから、私学助成金の増額を図る、そういうことによって国公私立学校間の格差を縮小する。私学へ行かざるを得ない子供もたくさんありますし、私学は、まあ私学が悪いと言っているわけじゃありませんけれども、大変お金がかかります。そういうことで、格差を縮小することに努めてもらってはどうだろう、こういうことを考えておるわけでございます。
 また、生涯教育という観点からも、専修学校とか各種学校等々、いろいろあると思うのですが、そういう場合の通学定期の割引率を引き上げるとか、あるいはそれの適用範囲を拡大するというようなことも、交通費はかになりません、考えられてはいかがかということも思うわけであります。
 これは若干観点が違うかもわかりませんけれども、子供を産み育てるということをお母さん方にもっと考えていただくということの一つの対策としてどうかと思いますので、今挙げたたくさんのことについて、まとめてでもどちらでも結構ですが、お答えをいただきたいと思います。

○遠山(敦)政府委員 御指摘の点について、一人で全部答えられるとよろしゅうございますのですけれども、それぞれ担当がございますので、私からは年金福祉事業団にかかわるお話についてお答えさせていただきたいと思います。
 先ほど申しましたように、国民金融公庫におきましては、入学時や在学中にかかります費用を対象といたしまして、平成三年度には十七万九千件、約一千七百七十六億円の貸付実績を既に有しているわけでございます。それで、新たに年金福祉事業団についての制度、教育開運融資制度の創設につきましては、これは他省庁の判断に係る事柄でございますので、文部省としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

2−3−2. 衆議院 文教委員会 平成 5年 4月21日

質問者 鍛治清
答弁者 福田進(大蔵省主計局主計官)

○鍛治委員 教育減税については一人一人に的確に減税というものがなりますので、これはひとつ先々将来にわたってしっかりお考えいただく中で御配慮をお願いしたいと御要望申し上げておきます。
 次に、先ほどちょっとお答えにも出ましたけれども、育英奨学事業の充実ということでお尋ねをしたいのです。これは私が改めて申し上げるような形になるかもわかりませんが、文部省の調査によりますと、大学生の学生生活費というものは国公私立大学で平均でいいますと、平成二年度で百六十四万円にも上っておる。昭和六十三年度の前回の調査に比べますと七・九%も上昇してきておるというデータが出ております。また、家庭の仕送り額については百三十一万円にもなる。家庭の年間収入に対する仕送りの額の割合も前回調査の一四・九%から一五・四%にも上昇しておる。学生本人にとっても家庭にとっても、これが大きな負担になってきているわけですね。
 それで、人材の育成ということは、これは必要不可欠でもございますし、特に日本は、これからは日本の国内だけではなくて世界というものに目を向けていかなければならない人材をどんどん育てなきゃならぬという状況のときでもございますから、教育費の負担軽減、それが人材育成を図るということにつながりますし、育英奨学事業の一層の充実が必要であるというふうに考えるわけですけれども、財政を担当される立場として、この点についての考えと、ひとつ充実を一層やっていただきたい。さらには、入学金等もこういった対象にして考えていくというような方向もぜひとっていただきたいと思うのでございますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

○福田説明員 育英奨学事業につきましては、昭和五十九年度に資金運用部資金借入金を原資といたします有利子の貸与制度の創設等の改善を行ったところでございまして、逐年事業の充実に努めてきているところでございます。具体的には、貸与月額につきましては、従来から学生の生活の実態、経済情勢等を総合的に勘案しながら改定してきたところでございまして、平成五年度予算におきましては、先生今御指摘の、大学・大学院の場合で、先ほど申し上げましたように三千円の貸与月額の増額を図ることとしているところでございます。また、貸与人員につきましても、大学院修士課程で七百人、博士課程で五百人、合計千二百人の増員を図ることとしております。
 入学金を対象といたしました貸与制度の創設についての御提言でございますが、今後の育英奨学制度につきましては、現在文部省におきまして学識経験者等による調査研究協力者会議を設け、時代の進展に対応した育英奨学制度のあり方について調査をいただいているところでございます。
 なお、高校や大学の入学金につきましては、現在国民金融公庫等により入学時や在学中にかかる費用を対象に教育ローンが実施されていると承知しております。また、今申し上げました入学金を対象とした貸与制度の創設につきましては、調査研究が行われているところでございますので、私どもといたしましては、いずれにしてもこういった御検討の結果を待ちたいと考えております。
 育英奨学事業につきましては、今後とも、厳しい財政事情、それから修学援助を必要とする学生の実態等を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。

2−3−3. 衆議院 文教委員会 平成10年 3月18日

質問者 旭道山和泰
答弁者 町村信孝(文部大臣)
    佐々木正峰(文部省高等教育局長)

○旭道山委員 (略)
 これまでの奨学金制度の充実はもちろんのことですが、私自身のことに置きかえて考えてみた場合、もしスポーツにすぐれていなかったら、実際に進学する場合の最大のネックになったのは入学金だと思います。経済的に困難な状況の家庭においては、たとえ高校や大学に合格しても、高額な入学金を納めることは大変厳しいことであると思います。
 入学金については現行の奨学金の制度では認められておりませんが、入学金が高額で大きな家計負担となってる上、教育ローンなどを利用しなければならない人が増加しているという現状を考えると、私は、新たに入学金の貸与制度を創設すべきだと思いますが、御見解をお願いします。

○佐々木政府委員 入学に際しましては、授業料だけではなくて、入学料等の学生納付金のほか、例えば下宿に入る、さらには所要の学用品をそろえる等、相当の費用が要るというのは事実でございます。その負担軽減のために入学時の費用に対して育英会として対応してはどうかという御指摘も、まことにもっともな面があるわけでございますが、このことにつきましては、既に、入学時の一時金等を対象として国民金融公庫等の教育ローンというものが広く実施をされているわけでございます。
 文部省といたしましては、日本育英会の奨学金については、大学学部の貸与人員の増を図る、あるいは大学院についてさらなる充実をするという貸与人員の増が一つ課題としてございますし、また同時に、平均的な生活費の増額に対応して貸与金額を充実していくということも、他方の大きな課題としてあるわけでございます。
 そういった状況も勘案をいたしますと、既に国民金融公庫等の教育ローンが存在をするということでありますので、育英会の奨学金を入学金の貸与にまで広げていく、そういう制度を創設するということは、直ちには困難な問題であるというふうに考えているところでございます。

2−3−4. 衆議院 文部科学委員会 平成13年 6月 5日

質問者 西博義
答弁者 矢野重典(文部科学省初等中等教育局長)
    岸田文雄(文部科学副大臣)

○西委員 続いてもう一点だけお伺いしたいのですが、奨学金の制度の拡充のことでございます。
 これも、財布を握っていらっしゃるといいますか、塩川財務大臣のお言葉なのですが、現行の奨学金はどうですかということに対して、「もう少し貸し出ししてもいいんじゃないかなという感じ。」という御答弁があったようにお伺いしております。
 最近の厳しい財政事情も反映して、奨学金の希望者が急増しております。今年度も多くの方々がまだ採用漏れという事態にもなっておりますが、ある調査によると、昨年度、私立学校で経済的な理由から、学費が払えずに退学した生徒が、一校平均一・二七人であったという調査結果がございます。
 文部科学省では、ここ数年、何人の高校生が経済的理由で退学を余儀なくされたか、実態を掌握しておられたら報告をいただきたいと思います。
 有利子奨学金きぼう21プランでは、勉学の意欲がある者というふうにして、成績要件を大幅に緩和しております。しかし、このきぼう21プランの対象は大学生、専修学校生に限られておりまして、この事実上高校全入時代にあって、奨学金制度は、経済的理由による就学困難という問題の解消には高校レベルではなっておりません。
 経済的に厳しい人たちや地域に、一刻も早く貸与するために、来年度には無利子奨学金を中心に採用枠の拡大を図る、それから入学金のための貸与制度をつくっていただく、高校進学者への有利子奨学金制度を導入する、また海外で学ぶ日本人留学生へ奨学金を提供するなど、現行の奨学金制度の拡充にも努めていくべきではないかと思いますが、これもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。

○矢野政府参考人 まず、私からは中退者の数だけ御報告申し上げます。
 高等学校の中途退学者数の状況調査では、経済的理由により中途退学した私立高校生の数、これを過去五年間で見ますと、平成七年度千二百二十三人、平成八年度千四百八十一人、平成九年度千六百三十三人、平成十年度千九百七十七人、そして平成十一年度二千三十人となっているところでございまして、中退者数に占めます割合を平成十一年度で見てみますと五・六%、そういう状況になってございます。

○岸田副大臣 先生から御指摘がありました奨学金制度の拡充の問題ですが、まず、基本的に、限られた財源の中でどのような充実策を講じるべきなのか、こうした検討の観点というのは大変重要だと思っております。
 充実に最大限努めていきたいという姿勢でおりますが、今先生の方から御指摘がありました、高校進学者への有利子奨学金の話、あるいは入学金のための貸与制度創設の話、また海外で学ぶ日本人留学生への奨学金の話、この諸点につきましては、例えば高校進学者への有利子奨学金制度の導入につきましては、高校生を対象とする場合、全部の高校生を対象にするということになりますと巨額の財政負担が予想されること、あるいは日本育英会の高校奨学金は都道府県事業に移行する方向が平成七年二月の閣議決定で示されていること、あるいは特殊法人改革の議論が今も進んでいるわけですが、この中でも高校奨学金の都道府県移管が論点となっていること、このあたりの論点を踏まえて、何ができるのか考えていかなければいけないと思っております。
 また、入学金のための貸与制度創設につきましては、公的機関では国民生活金融公庫の、いわゆる国の教育ローンが既に整備されているほか、広く民間金融機関においても実施されているところでありまして、こうした制度との兼ね合いも考えなければいけないと思っております。
 また、海外で学ぶ日本人留学生の奨学金につきましては、まずはアジア諸国等派遣留学生制度、あるいは短期留学推進制度、これをまず充実した上で、さらにどこまで充実していくのか、こういった視点で考えるべき問題だというふうに思っております。
 しかし、いずれにしましても最大限充実に努力しなければいけない、この姿勢は間違いないところだと考えております。

2−3−5. 参議院 文教科学委員会 平成14年11月19日

質問者 鈴木寛
答弁者 工藤智規(文部科学省高等教育局長)

○鈴木寛君 (略)
 それから、これは問題提起でございますので、是非御検討、御答弁は要りませんが、御検討の中に加えていただきたいのは、今、入学金が対象になっていないですよね、その奨学金の交付の。いわゆる授業料は奨学金の対象になっているんですが、入学金はなっていないんです。これは、入学金を払っておいてほかの大学へ行くとか、いろんなことがあるので、確かに今それが対象になっていないそれ相当の理由があることは私も承知をしておりますが、しかし、それを更に乗り越えて、やはり入学金というものが相当な学生の負担になっていることは事実でございます。しかも、今回は二年とか三年とかということになりますから、その総額に占める入学金の割合というのも非常に増えてくるという意味で、是非トータルに、学生がきちっと安心して勉強できる体制ということについては検討いただきたいと思います。

○政府参考人(工藤智規君) 奨学金とかいろいろな学生支援は育英会だけでなくて多方面で行っているわけでございますが、今御質問がございました育英会の奨学金について申しますと、これは授業料のため、あるいは入学金のためという使途は限定していないんでございます。
 学生の学資の一助にということで月々あるいは年間を通じて差し上げているのでございますが、現実的に、今御指摘のありましたように、入学時に、入学金もそうでございますけれども、場合によっては引っ越しをしてアパートを借りての一時的なお金が必要なのがあるわけでございまして、そういう需要にこたえるために、実は来年度の概算要求で今要求中でございますけれども、もしそれが通れば新年度から入学途中の一時金を御用意しようというふうな準備を進めているところでございます。

2−3−6. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月 8日

質問者 山本香苗
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○山本香苗君 是非、万全を期してよろしくお願いいたします。
 話は変わりますが、我が党は以前から、入学する際にお金が掛かるので、何とかこの入学金を奨学金の貸与の対象にしてほしいということを申し上げてまいりまして、やっと今年度、平成十五年度からそういった入学金を対象とした新しい奨学金制度を作っていただきまして、本当に大変感謝をしております。
 しかし、この申請に当たりましては、国民生活金融公庫の教育ローンを受けることができなかった、断られたという申告書を連帯保証人の名前を書き込んだ上で出さなくちゃいけないということがございまして、現場が非常に混乱しているということを耳にいたしました。
 今、ちょうど各学校で入学金の、新しい一時金の分の窓口での申請が行われているわけでございますけれども、もう締切りも近いことだと思うんです。早急にこの現場の混乱を収めるような対応を取っていただけませんでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 育英会の入学一時金の貸与制度でございますけれども、入学時に必要な学校納付金や教科書の購入費、住居費等の準備におきまして借入れを必要とする家庭に対しましては、従来から国の施策として国民生活金融公庫の教育貸付け、教育ローンが用意されていたわけでございますけれども、家計の収入が少ないといったような理由のために貸付けが受けられない者がいるということで、今年から日本育英会の制度の中に入学時増額貸与制度というものを新しく設けまして、有利子奨学金の入学直後の基本月額に三十万円を増額して貸与をするといったような制度を設けたということでございます。
 こういう事情で新しく設けられたということがございまして、今、委員御指摘のように、その申請に当たりましては国民生活金融公庫の教育ローンの貸付けが受けられないということを条件としまして受付をしているということでございまして、それが学生等への周知が十分でないという御指摘もいただいておるところでございまして、学生が学校の窓口で混乱することのないよう、今回、改めて各学校に対しまして制度の周知徹底と奨学金希望者に対する申請期限の弾力的取扱い等を要請するとともに、新たに学生向けのリーフレットを作成しまして各学校を通じ配布するといったようなことなども検討しているというところでございます。

○山本香苗君 もう検討というか、もう周知徹底を早めにお願いいたします。
 と同時に、そもそもこの入学金のときに国金に断られたからというのを条件とするんではなくて、というのは、国民生活金融公庫といわゆる今育英会の奨学金というのは対象も違って性格的に違うものだと思うんです。それを同じ、こっちに断られたからこっちというものではなくて、実際だれでもかれでも申し込んでいいよという形は、枠もございますし、大変厳しい、現実的なところでは厳しいとは思うんですけれども、また違ったやり方で、この新機構に移るときにはこの違った要件をもってやっていただけるように是非とも検討していただきたいんですけれども、どうでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 来年度以降、この制度をどうするかということにつきましては、厳しい財政事情の下ではございますが、本制度が真に学生に役立つものとなるよう学生のニーズや利用実態等を十分踏まえながら、どのような対応が可能か、関係省庁とも十分相談しながら必要な検討を進めてまいりたいと、こう考えております。

2−3−7. 衆議院 文部科学委員会 平成15年 5月30日

質問者 斉藤鉄夫
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○斉藤(鉄)委員 これもしっかり検討をお願いしたいと思います。
 それでは、最後に、ことしから導入されました、入学金を対象とした奨学金、これはいわゆる有利子のきぼう21プランの中の一つの枠として、三十万円掛ける二万五千人という、入学金を対象とした奨学金が創設されました。このこと自体は、我々提案をした者として非常に評価をしているわけですが、しかし、実際の運用では、国金にいわゆる教育ローンを申し込んで断られた人が対象になるということでございまして、窓口では大変な混乱が生じているというふうに聞いております。
 そもそも、国民金融公庫の教育ローンは親を対象にしたものでございます。奨学金は学生本人を対象にしているものでございまして、そもそも制度そのものが違う。それを、国金に断られた人だけを対象にして奨学金の枠をつくるという考え方そのものが私は間違っていると思いますけれども、この現在の混乱にどう対応し、今後どのようにしていこうとされているのか、この点についてお伺いします。

○遠藤政府参考人 入学時に必要な学校納付金や教科書購入費等の準備で借り入れを必要とする家庭に対して、従来から、御指摘のように国民生活金融公庫の教育貸し付けが用意されておるわけでございますが、家計の収入が少ないなどの特別の理由のため、この教育貸し付けが受けられないという人がいるわけでございます。日本育英会の入学時増額貸与奨学金制度は、これらの国民生活金融公庫の教育貸し付けを受けられない人たちを対象としまして、その資金需要に対応するため、国の施策の一環として、有利子奨学金の入学直後の基本月額に三十万円を増額して貸与する新たな制度といたしまして、今年度から設けられたものでございます。
 本制度につきましては、これまでも、学生や大学等の奨学金事務担当者等に対しまして、制度の趣旨や具体の取り扱いについて周知を図ってきたところでございますが、制度導入初年度ということもございまして、本制度の貸与条件などにつきまして、学生等への周知が十分でないとの御指摘をいただいたところでございます。このため、学生が学校の窓口で混乱することなどがないよう、さらに各学校に対しまして制度の周知徹底と奨学金希望者に対する申請期限の弾力的取り扱い等を要請しますとともに、新たに学生向けのリーフレットを作成しまして各学校を通じて配布することといたしまして、この点、五月の九日付で日本育英会から各学校あての文書を出しまして、各学校における丁寧な周知と指導の充実に努めているというところでございます。
 今年度につきましては、既に事業が進行しているということもございまして、引き続き運用面で万全を期してまいりたい、こう考えておるわけでございます。また、来年度以降の取り扱いにつきましては、特殊法人改革や財投改革によるさらなる事業の整理合理化等が求められている状況ではございますが、厳しい財政状況等を踏まえた資金の効率的活用の観点にも留意しながら、今年度の利用実態等を分析し、事業対象のあり方等を含め、文部科学省としてどのような対応が可能か、財政当局とも十分相談しながら必要な検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。

○斉藤(鉄)委員 この入学金を対象とした奨学金、文部科学省も、抵抗する財務省と闘ってかち取られた、その過程で、妥協せざるを得ないこととして、この国金との関係でそういうことになったというのはよく理解できるものでありますし、文部科学省の闘いも非常に評価するものでございますが、ぜひ来年からは、国金とは異なる制度ということで、すっきりした形にしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

2−3−8. 参議院 文教科学委員会 平成15年 5月29日

質問者 有馬朗人
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)

○有馬朗人君 私は、中学校の三年生のときに父親を亡くしまして、しかも収入のない母と祖母と三人で非常な貧乏生活をいたしました。旧制の四年生のとき、中学四年生のときに家庭教師として住み込むというふうなことで、高校、大学、大学院とも、午前もとは言いませんが、午前中は大学に来ておりましたけれども、午後はほとんどアルバイトにアルバイト、そして週末は完全にアルバイトをしてきました。そのときに助けられたのは、奨学金と授業料免除、授業料免除という制度でありました。辛うじて高等学校と大学を卒業し、大学院三年を修了したわけであります。
 そこで質問ですが、育英会が学生支援機構に変わったとき奨学金のための予算が減ることはないということをひとつ言っていただきたい。
 そのことと、もう一つ授業料の免除、せめて入学金。授業料をどうしても取らなきゃならなければ、授業料の免除枠を増やしていただけないか、そしてまた、入学金を免除するというふうな制度が導入できないか、お伺いいたします。

○政府参考人(遠藤純一郎君) まず、奨学金についてでございますが、御指摘のように、日本学生支援機構法案ということで現在御審議をいただいているところでございますけれども、独立行政法人移行後におきましても、これまでの奨学金事業をしっかりと継続をしまして、教育を受ける意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるよう更なる充実に努めてまいりたいと、こう考えております。
 それから、授業料免除の制度につきましては、その経済的理由などにより授業料納付が困難である者などを対象に、修学継続を容易にし教育を受ける機会を確保するという意義を有しておりまして、法人化後もこのような観点から授業料免除の仕組みにつきましては維持をする必要があると、こう考えております。
 入学料につきましては、既に災害等の特別な事情がある場合、免除できる制度を現在既に実施をしているということがございます。
 免除枠につきまして拡大できないかということでございますが、私ども努力をしていきたいと、こう思っておりますけれども、厳しい財政状況の下でございますので一層の努力をしたいと、こう思っております。
2−3−9. 参議院 文教科学委員会 平成16年 3月24日

質問者 有馬 朗人
答弁者 遠藤純一郎(文部科学省高等教育局長)
    河村 建夫(文部科学大臣)

○有馬朗人君 やはり、日本が半分とは言いませんが、やっぱり非常に少ない。
 この点について、特にアメリカはGDPがそもそも日本よりはるかに大きい、そういうことも考えますと、やはり日本は少な過ぎる。GDPで見ますと、パーセンテージで見ますと二倍ぐらいでありますが、絶対額となりますと大変な差があるということを御認識賜りたいと思います。度々同じ問題を提起いたしまして恐縮であります。
 そこで、大臣にもお聞かせいただきたいことでありますが、国として、高等教育の財政強化、そして初中教育の財政を強化し、特に大学の入学金や授業料を低減するべきであると私は思うんですね、むしろ積極的に。今どんどん毎年のように国立大学も増えてきている、このことを何とか食い止めなきゃいけないと思う。
 国立大学の使命というものの一つは、やはり財政的に貧しい子供たちが来られる。私も大変な貧乏人でありましたけれども、かろうじて国立大学に入れました。それが一つの特徴であった。ところが、このごろの国立大学の入学金や授業料はもう私立とほとんど変わらないところまで来ていますよ。アメリカより高い。これ何とかならないのであろうか。この点について、ひとつ文科大臣にお覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。
 それからまた、奨学金の充実がやっぱり日本は依然として弱い。この点につきまして、まず資料というか調査した結果をお聞かせいただきたいんですが、アメリカ、日本では一体、奨学金がどのくらい出されていて、恩恵を被っている人々は何%ぐらいか、その額はどのくらいか等について、高等教育局長よりまずお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 奨学金の実情につきまして御説明させていただきます。
 我が国での、平成十六年度予算案で見ますと、日本学生支援機構の奨学金貸与人員、これにつきましては、大学、大学院で今年度に比べまして約八万人の増で七十二万人、学生数に対する貸与率が約二四%となっております。事業全体で見ますと、近年では希望する人ほぼ全員に貸与できるという状況になっております。
 貸与額の方でいいますと、学部段階の貸与年額が、無利子奨学金で、通学形態等いろいろでございますので、五十三万円から七十六万円まで、有利子の奨学金では、本人の希望に応じまして三十六万から百二十万円までと、こうなっております。このほか、無利子と有利子の両方を同時に貸与を受けるという制度、あるいはその入学金に、入学時に有利子による三十万円の一時金の増額貸与ということも近時可能となってございます。
 一方、国立大学の授業料でございますけれども五十二万円、入学料約二十八万円、計八十万円。私立大学では、授業料の平均が八十一万円で、入学料の平均が二十八万円で、合計百九万円と、こういうことでございますので、奨学金全体で見れば、授業料等の支払に対応できるようになっているんじゃないかと考えております。
 アメリカでございますけれども、連邦政府が関与している奨学金の給付及び貸与の延べの人数は約一千五百万人、実数による貸与率は約六割と承知をしているわけでございます。金額でございますけれども、奨学金年額は六万円から四十六万円程度でございますが、複数の奨学金を受けることが可能でございまして、一人当たりの平均が約八十万円となっているということでございます。
 なお、州立総合大学の授業料でございますが、平均で約四十九万円、私立の総合大学の授業料が平均で二百三十万、ハーバードでいいますと三百二十九万と承知をしております。ただ、私立大学におきましては、連邦政府が関与している奨学金以外にも大学独自の奨学金制度が充実をしているというふうにも承知をしているわけでございます。

○有馬朗人君 ありがとうございました。
 今の数字をよくお聞きになっているとお分かりと思いますが、日本の奨学金はよくても、入学金と授業料を払ったらパア、その後は自分でやっぱりアルバイトをしなきゃいけないんですね。この点に関して、やはり文部科学省として人材育成の上でしっかりお考えになられて、様々な面で奨学金を充実なさっていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお願いでありますが、繰り返し同じことを申し上げて申し訳ありませんけれども、やはり日本の政府、地方自治体等も含めて、高等教育だけではなく初中教育も含めてでありますが、より強く財政基盤をすべきである。特に高等教育が目立って少ないのでありますので、財政支援を徹底的に強化をしていただくべく御努力をお願いいたしたいと思いますが、文科大臣の御感想をお聞かせください。

○国務大臣(河村建夫君) 有馬先生がおっしゃるように、正に国づくりは人づくりでございますし、日本の今日、やっぱり教育力にあるということは間違いない、これを低下さしてはならぬ、これは国にとって最大の課題でございます。特に高等教育については正に人材づくりの総仕上げのところでございますから、この高等教育を充実するということは重要な課題でございますし、先ほど来御指摘のあの〇・五%という数字、いつも出てくる数字でございまして、これを何とか上げたいという気持ち、我々持っておりますので、これはこれで更に努力しなきゃいかぬと思いますが。
 ただ、日本には日本の考え方といいますか、その教育を受ける方々、あるいは進学をしない方々、あるいはそういう方々と同じ税金を使う、できるだけ応分の負担はしていただこうじゃないかという考え方もある。やっぱり、総じて財政不如意の方については、おっしゃるように今奨学金の問題、これがもっと充実する、しろというのは、これは当然のお考えだと思います。この点は、もうちょっと、それが対応できているかどうか、これは考えなきゃいけませんが、最近では、東京大学へ進学されている皆さんの家の収入が一番高いんだと言われているケースもございます。それは、そこまでの掛ける金が相当掛かっているという問題もございます。これは、今の予備校があり塾があり、こういうことにも原因があるわけでございますが、そういう観点からいうと、それなりの応分の負担はしていただく。
 また、一方では私立大学が、その授業料といいますか学生納付金、これによって大学教育を現実に実施している問題、一方では公私の格差是正という強い要請もいただいておる。こういうことと相まって、この厳しい経済状態の中で、御指摘のように高等教育にもっともっとお金をということ、これは公立のこともそうであり、国公立もそうでありますが、私学に対しても同じようなことが言えるわけでございます。そういう面で、今、日本では私学が非常にウエートが高いということもあって、私学は授業料を基にしてやりながらできるだけ、国費の負担が減っていると、少ない、こういうこともあって恐らく平均値的にこういう数字も出ているんだと思いますが、おっしゃるように、高等教育の役割を言えば、そこの重要性を踏まえれば、この点をもっと重視するというのは我々の大きな使命だと、こう思っておりますし、また、授業料の在り方の水準、これも適正でなければなりません。教育の機会均等という強い要請もございます。そういうことを踏まえながら適正に対応していかなきゃならぬと、こう思っておりまして、奨学金の面からの充実、あわせて授業料をできるだけ抑えながら、そして公私の格差是正ということも考えながら対応していく、これが文部科学省の重要な役割だと、このように思っております。

○有馬朗人君 ありがとうございます。
 やはり、今、大臣御指摘のように、私は私学の重要性を強調したいと思います。もちろん、国立のことをお願いいたしますが、同時に私学助成を徹底的に増やすという御努力を賜りたい。特に満遍なくどこにも平均的にいくというのでは駄目で、やはりしっかりした努力をしているところに対して競争的な資金を導入していただきたいと思うんです。その点で、私は感謝申し上げますけれども、教育COEを研究の上ではおやりになっておられましたが、さらにまたそこに大学教育に対する言わばCOEのような方針をお立てになって助成をしておられる、この点に対して私は感謝申し上げます。
 ここでは国立も公立も私学も差がありませんので、こういうところを是非、さらにトータルの金額をお聞きしてもいいんだが、私は二けたぐらい、少なくとも一けた違っているんじゃないかと思うんですね。もうあと一けたぐらいお上げいただきたいと私は思いますけれども、そういう御方針をひとつ今後重要視なさって、更にお進めいただきたいと思います。

2−3−10. 参議院 文教科学委員会 平成17年 5月17日

質問者 西岡武夫
答弁者 石川明(文部科学省高等教育局長)

○西岡武夫君 これで最後でございますが、さきのこの当委員会で奨学金の問題等が御議論がございました。今まで私の記憶では、国立大学の入学金もでございますけれども、特に授業料につきましてこれを値上げをずっと続けてきた。そのときに値上げされましたものについては、その金額分はおおむね奨学資金に充てると、授業料の値上げ分で学生に負担をしてもらった分については全額大体奨学資金の増額に充てるということで進んできたというふうに私は思っておりますけれども、これからの、まあこれからそう値上げばっかりされても困るんですけれども、奨学資金と授業料の値上げの関係についてはどのように御認識になっているか、最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。

○政府参考人(石川明君) 学生の修学機会の確保をするということは大変大事なことでございます。
 かつて、委員が今御指摘のように、国立大学の授業料を上げたときにも奨学金を拡充をしているというような実績がございます。また、今回の授業料、国立大学の授業料の標準額の改定に際しましても、私ども、この点にも十分留意をいたしまして奨学金の充実に努めたわけでございまして、平成十七年度予算におきましても、無利子奨学金の貸与月額の増額、これは千円増額でございますけれども、これを含めまして、無利子、有利子奨学金を合わせまして対前年度比で六百九十億円の増額、これで七千五百十億円の事業費をもちまして、対前年度六万九千人増の、総数で百三万四千人の学生に奨学金を貸与すべく事業の充実を図っているところでございます。

3. 政府審議会文書

3−1. 財政制度(等)審議会

3−1−1. 制度改革・歳出合理化の方策に関する報告 平成11年12月17日

制度改革・歳出合理化の方策に関する報告
平成11年12月17日
大蔵大臣 宮澤 喜一殿
財政制度審議会会長 豊田 章一郎

3.文教・科学技術
(1) 国立学校特別会計
B 財務基盤の充実について
我が国においては国立大学に対して相当大きな財政負担が行われていること、高等教育を受けることはその本人にとってのメリットが大きいこと、などを勘案すれば、国立大学の授業料等の学生納付金については、受益者負担の適正化及び自己財源の充実の観点から、私立大学との格差の実態(私立大学においては、施設設備費も徴している)を踏まえ、これを是正していく必要がある。

3−1−2. 平成14年度予算の編成等に関する建議 平成13年11月15日

平成14年度予算の編成等に関する建議
平成13年11月15日
財政制度等審議会
財政制度分科会

4.文教・科学技術
(1)文教予算
A 国立学校
受益者負担の徹底と自己財源充実の観点から、授業料等の学生納付金について引上げを図る必要がある。特に、平成14 年度予算においては、国立大学等の施設整備が喫緊の課題となっている一方で、多くの私立大学が徴収している施設整備費について国立大学ではこれまで徴収してこなかったこと等を踏まえ、学生納付金の思い切った増額や学校財産処分収入等の一層の確保に努める必要がある。また、平成15 年度までに結論を得ることとされている国立大学の法人化については、その制度設計に当たり、市場原理・競争原理に基づく自律化・自立化を推進するべきである。そのためには、真に客観的な機関による法人化された大学の評価が重要であり、その評価に基づき、事務組織の合理化等を含めた大学運営の改善や予算の適切な配分がなされる必要がある。また、大学に自主性を持たせた運営を図る中で、大学別、学部別授業料の導入等を進めるべきである。

3−1−3. 平成15年度予算の編成等に関する建議 平成14年11月20日

平成15年度予算の編成等に関する建議
平成14年11月20日
財政制度等審議会

4.文教・科学技術
(1)文教予算
イ.義務教育以外の文教予算
 義務教育以外の文教予算については、「6月建議」でも述べたとおり、受益者負担の徹底と資源配分の重点化を図り、施策の効率的、効果的実施を徹底すべきである。
 具体的には、高等教育について、国立学校特別会計や私学助成を通ずる機関支援を見直し、国公私を通じた競争原理に基づく支援へ重点化を図る必要がある。これと関連して、国立大学の法人化にあたっては、市場原理・競争原理の下で第三者評価に基づく支援に重点化するような制度設計が必要であり、平成16年度からの円滑な移行に向けて、早急にその具体像を明らかにしていくべきである。
 また、育英奨学事業について、適正な受益者負担を求めるとともに、事業の一層の効率化、合理化を図っていく必要がある。
 このほか、高等学校等や生涯学習・社会教育等に関する補助金等の縮減を進めるとともに、文化予算について、費用対効果、官民の役割分担の観点から施策の厳格な絞り込みを行う必要がある。

3−1−4. 平成16年度予算の編成等に関する建議 平成15年11月26日

平成16年度予算の編成等に関する建議
平成15年11月26日
財政制度等審議会

4.文教・科学技術
(1)文教予算
イ.国立大学法人
 平成16年4月の国立大学の法人化にあたっては、大学における教育・研究活動の質の向上という国民の求める成果を達成することが重要である。現在、国立大学の運営には多額の財政資金が投入されているが、新しい予算制度の構築にあたっては、客観的かつ厳格な事後評価を重視するとともに、大学運営の自主性・自律性を高めることに伴う合理化・効率化を促すような制度設計とすべきである。
 さらに、運営費交付金算定の基礎となる学生納付金の水準に関しては、これまでの建議においても再三提言を行ってきたように、受益者負担の徹底及び私立大学との格差是正の観点から、各大学が適時適切に改定を行い得るような仕組みとすることが必要である。

3−1−5. 平成17年度予算の編成等に関する建議 平成16年11月19日

平成17年度予算の編成等に関する建議
平成16年11月19日
財政制度等審議会

4.文教・科学技術
(1)文教予算
イ.高等教育
 「5月建議」でも述べたとおり、高等教育における教育・研究の質的向上を図るためには、私学助成や国立大学法人への支援等について、これまでの施策の在り方を根本から見直す必要がある。具体的には、単なる機関補助を可能な限り縮減する中で、教育・研究上の優れた取り組みに対し公募方式で行う国立大学間ないし国公私立大学を通じた競争原理に基づく支援へと思い切った財源シフトを行うべきである。
 特に、私立大学等に対する経常費補助については、足元の学生総数が減少を始めているにもかかわらず、毎年度恒常的に増額が続いており、予算縮減に向け厳しく見直しを図るべきである。
 また、国立大学法人への財政支援については、法人運営の自主性・自立性を高めたことに伴う合理化・効率化の効果を着実に反映しつつ、特に運営費交付金における特別教育研究経費の予算配分については、国の高等教育政策実現の観点から、客観的かつ厳格な評価に基づく支援の重点化を図るべきである。なお、受益者負担の徹底、私立大学との格差是正及び各大学における自己収入確保の努力を支援する観点から、運営費交付金算定の基礎となる学生納付金の標準額を適切に改定する必要がある。
 育英奨学事業については、適正な受益者負担の設定等により制度の持続可能性を確保する等の観点から、貸与事業の仕組みの見直しや債権回収率の向上等に積極的に取り組むべきである。

3−1−6. 平成18年度予算編成の基本的考え方について 平成17年6月6日

平成18年度予算編成の基本的考え方について
平成17年6月6日
財政制度等審議会

4.文教・科学技術
(1)文教予算
イ.高等教育
 高等教育における教育・研究の質的向上を促すためには、私学助成や国立大学法人への支援等について、「11月建議」で指摘した財政支援の在り方を定着させることが必要である。具体的には、単なる機関補助を可能な限り縮減し、教育・研究の優れた取組みに対し公募方式で行う国立大学間ないし国公私立大学を通じた競争原理に基づく支援を活用すべきである。
 このような観点から、依然として増額が続いている私立大学等経常費補助の縮減に取り組むとともに、国立大学法人への財政支援について、運営の自主性に伴う合理化・効率化の効果を着実に反映しつつ、客観的かつ厳格な評価に基づく重点化を一層推進すべきである。
 また、貸与規模の増大が続いている育英奨学事業については、適正な受益者負担の設定、貸与回収率の向上等により、制度の持続可能性を確保することが急務である。

3−1−7. 平成18年度予算の編成等に関する建議 平成17年11月21日

平成18年度予算の編成等に関する建議
平成17年11月21日
財政制度等審議会

6. 文教・科学技術
ウ. 国立大学法人運営費交付金の重点化、効率化
 国立大学法人への財政支援については、法人運営の自主性・自立性を高めたことに伴う合理化・効率化の降下を着実に反映しつつ、特に運営費交付金における特別教育研究経費の予算配分については、国の高等教育政策実現の観点から、客観的かつ厳格な評価に基づく支援のさらなる重点化を図るべきである。
 また、受益者負担の徹底、私立大学との格差是正などの観点から、各大学の自己収入確保の努力を一層強化するべきである。

3−2. 中央教育審議会

3−2−1. 今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申) 昭和46年6月11日

今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申)
昭和46年6月11日
文部大臣 坂田道太殿
中央教育審議会会長
森戸辰男

第2 高等教育改革の基本構想
10 国の財政援助方式と受益者負担および奨学制度の改善
 高等教育の発展とその水準の維持向上のため,国は,長期にわたる教育計画にもとづき,適当な私立の高等教育機関に対して,その目的・性格に応じて合理的に積算された標準教育費の一定の割合を助成金として交付するとともに,その弾力的,効率的な使用を認めることが望ましい。このような方式は,国・公立の高等教育機関に対する財源交付についても準用することを検討する必要がある。この場合,授業料などの受益者負担額が妥当な程度の金額となるよう配慮するとともに,設置者や専攻分野の違いによって極端な差異が生じないようにすべきである。
 これらに関する国の施策を検討する場合には,教育の機会均等をはかるとともに,必要な分野に人材を誘致するため,国家的な奨学制度のあり方についてもあわせて根本的に検討を加える必要がある。
 なお,高等教育機関の社会的な役割にかんがみ,国以外の一般社会からも大幅な資金的援助が得られるようにすることが望ましい。
〔説明〕 私立学校における必要な経費をすべて授業料その他の受益者負担や一般の寄附金だけでまかなおうとすることは,教育費の上昇とともにしだいに困難となってきた。それを放置すれば,結果として教育水準の低下を招き,教育の機会均等が妨げられるので,私立の高等教育機関に対しても相当大幅な公費の援助を与えることが必要となる。このことは諸外国でもみられる傾向である。
 しかしながら,国の財政援助を進めるにあたっては,二つの点について慎重な準備が必要である。その第1は,相当長期にわたる国の教育計画を立てることである。第2の点は,財政援助の方式をどのようなものにするかである。それには,a) 特定経費に対する補助,b) 総経費の一定割合についての補助,c) 標準単価による定額補助などがあるが,とくに経常的な経費についての援助の場合には,c) の方式による定額の助成金と学校自体の収入とを弾力的に運用することを認めることが,学校自体の自律性と責任体制を強め,また財政効率を高める道でもあると思われる。
 このような財政援助の方式は,当面は私立学校についての問題であろうが,国・公立の大学についても,とくに前項の1に述べたような新しい形態の法人となった場合などは,基本的に同じような考え方を適用することができるであろう。さらに,このような財政援助については,あくまで国の主体的な立場が保持され,その援助の効果についてつねに厳正な評価が行われることを条件とすべきである。また,私立学校がしだいに大幅な公費の援助を受けるにしたがって,その公共性を高めるため必要ななんらかの措置をあわせ考える必要がある。
 上記のような財政援助を教育費のどの程度の割合について行なうかによって,教育を受ける者の授業料その他の負担額は大きな影響を受ける。そこで高等教育における受益者負担額をどの程度とするのが適当かを考えてみる必要がある。
 教育費は,社会的には一種の投資であるとみることができるので,その投資の経済的効果のうち当事者個人に帰属するものと社会全体に還元されるものとが区別できれば,それを考慮して受益者負担の割合を決めるのが合理的だという考え方もある。しかし実際には,そのような区別を立てることが困難なばかりでなく,教育投資の効果は経済的な利益だけでないことも明らかであって,経済効果だけから受益者負担額を決めることは適当でない。
 したがって,受益者負担の実際額は,教育政策の立場から,その経費の調達が大部分の国民にとっていちじるしく困難でなく,個人経済的には有利な投資とみなしうる限度内で適当な金額とすべきであろう。その場合,専攻分野によって教育費が異なるとしても,それがそのまま受益者負担額の格差につながることは,専攻分野別の人材配分に問題を生じるおそれがある。
 これらのことは,本来,学校の設置形態とかかわりのない共通の原則であって,国の財政援助は,このような原則が実現できるようにすることを終極の目標とすべきであろう。同時に,一般的な原則による財政援助だけではなお修学が困難な者のあることや特定の分野に人材を誘致するための方策が必要なことも考慮し,学校に対する財政援助や受益者負担の実情と均衡のとれた奨学制度を確立することが不可欠であり,このこともあわせて検討すべきである。

3−2−2. 我が国の高等教育の将来像(答申) 平成17年1月28日

我が国の高等教育の将来像(答申)
平成17年1月28日
中央教育審議会

第4章 高等教育の発展を目指した社会の役割

○ 本章では,中長期的(平成17(2005)年以降,平成27(2015)年〜平成32(2020)年頃まで)に想定される我が国の高等教育の将来像のうち,主として高等教育の発展を目指した社会の役割に関する事項を示すこととする。

1 高等教育の発展を目指した支援の在り方

 国は,教育・研究条件の維持・向上や学生支援の充実等により学習者の学習機会の保障に努めるべきである。また,学生個人のみならず現在及び将来の社会も高等教育の受益者である。このため,高等教育への公財政支出の拡充とともに民間企業や個人等からの資金の積極的導入に努めることが必要である。
 今後,我が国においては,高等教育に対する公的支出を欧米諸国並みに近づけていくよう最大限の努力が払われる必要がある。その際,厳しい財政状況や高等教育への社会の負託をも踏まえつつ,すべての関係者が,国民(=納税者)の理解を得られるよう説明責任を十分果たしていく必要がある。
 高等教育への財政的支援は,国内的のみならず国際的な競争的環境の中にあって,高等教育機関が持つ多様な機能に応じた形に移行し,機関補助と個人補助の適切なバランス,基盤的経費助成と競争的資源配分を有効に組み合わせることにより,多元的できめ細やかなファンディング・システムが構築されることが必要である。これにより,国公私それぞれの特色ある発展と緩やかな役割分担,質の高い教育・研究に向けた適正な競争が目指されるべきである。
 具体的には,@国立大学については,教育・研究の特性に配慮しつつ,それぞれの経営努力を踏まえて,政策的課題(地域再生への貢献,新たな需要を踏まえた人材養成,大規模基礎研究等)への各大学の個性・特色に応じた取組を支援すること,A私立大学については,基盤的経費の助成を進める。その際,国公私にわたる適正な競争を促すという観点を踏まえ,各大学の個性・特色に応じた多様な教育・研究・社会貢献の諸活動を支援すること,B公立大学については,地域における知の拠点としての機能を発揮できるよう支援すること,C国公私を通じた競争的・重点的支援の拡充により,積極的に改革に取り組む大学等をきめ細やかに支援すること,D民間企業を含めた研究開発のための公的資源配分を大学等にも開放すること,E競争的資源配分の間接経費の充実により,機動的・戦略的な機関運営を支援すること,F奨学金等の学生支援を充実すること等が重要である。

(1)高等教育への支援の拡充
○ 高等教育機関は,教育・文化,科学技術・学術,医療,産業・経済等社会の発展の基盤として中核的な機能を有する極めて重要な存在である。
○ 我が国の高等教育は,国公私立の三つの設置形態による機関がそれぞれの特色を発揮することにより発展してきているところであるが,中でも私立学校の比重は高く,例えば,大学・短期大学・高等専門学校の合計では学校数・学生数ともに約4分の3を占めるなど,私立学校は我が国の高等教育の普及と発展に大きな役割を果たしてきた。また,高等教育の費用負担は,その直接的受益性に着目して,これまで家計に多くを依存してきている。現在では,国公私立を問わず学生納付金が国際的に見てもかなり高額化しており,これ以上の家計負担となれば,個人の受益の程度との見合いで高等教育を受ける機会を断念する場合が生じ,実質的に学習機会が保障されないおそれがある。国は,個人の経済状態を問わず高等教育を受ける機会を実質的に保障して「ユニバーサル・アクセス」を実現する見地から,教育・研究条件の維持・向上や幅広い教育・研究活動を安定的に行う環境の整備とともに,意欲と能力のある個人に対する奨学金をはじめとする学生支援の充実等の各般の措置を総合的に推進することにより,学習者の学習機会の保障に努めるべきである。
○ また,高等教育に関しては,学生個人とともに,高等教育を受けた人材によって支えられる現在及び将来の社会もまた受益者である。このことは,高等教育がエリート段階(進学率15%未満),マス段階(同15%以上50%未満)又はユニバーサル段階(同50%以上)のいずれにある場合でも基本的に変わるものではないと考えられる。
○ ユニバーサル段階では,高等教育の普及によって個人が高等教育を受けたことによる収益は低下すると一般的には考えられるが,知的なネットワークの広さと質が極めて重要な意義を持つ知識基盤社会においては,質の高い労働力や研究成果の供給による利益のほかに,層の厚い高等教育の存立そのものが経済社会全体の発展の基盤として不可欠の存在となるものと考えられる。
○ このため,高等教育に要する費用は,学生個人のほかに,社会全体や産業界等も負担すべきものであり,高等教育への公財政支出の拡充とともに民間企業や個人等からの資金の積極的導入に努めることが必要である。
○ 高等教育の重要性にかんがみ,各国で高等教育への投資を充実しつつある。例えば,英国では,授業料を増額する一方で,高等教育に対する財政支出の対GDP比を0.7%から0.8%へと増加させつつある。
○ 我が国においては,私立学校が高等教育の普及と発展に大きな役割を果たしてきたという沿革もあり,伝統的に私費負担の割合が高く,高等教育に対する公財政支出の対GDP比は0.5%と,諸外国に比べて極めて低い状況にある。もとより,GDPに対する公財政支出の割合や教育制度の相違など国により様々な条件が異なるため単純な比較は困難であるが,今後,高等教育に対する公的支出を欧米諸国並みに近づけていくよう最大限の努力が払われる必要がある。その際,厳しい財政状況や高等教育への社会の負託をも踏まえつつ,すべての関係者が,高等教育の社会的価値や重要性について国民(=納税者)の理解を得られるよう説明責任を十分果たしていく必要がある。

(2)高等教育機関の多様な機能に応じたきめ細やかなファンディング・システム
○ 高等教育への国からの財政的支援は,伝統的に,(a)国立学校特別会計や私学助成による機関運営経費の措置と助成,(b)科学研究費補助金や各種の委託研究費等の研究活動助成,及び(c)育英奨学等の学生支援経費が中心であったが,それぞれの趣旨・目的は異なるものと考えられ,これら全体で高等教育へのファンディング・システムを構成するとは必ずしも明確に意識されなかった。近年は,(a)(b)の中間的な形態として(d)「21世紀COEプログラム」「特色ある大学教育支援プログラム」等の国公私を通じた競争的・重点的支援,競争的な研究資金の間接経費や国立大学法人に対する特別教育研究経費の措置,(b)(c)の中間的な形態として(e)ティーチング・アシスタント(TA)やリサーチ・アシスタント(RA)への支援,日本学術振興会特別研究員事業等が行われるようになり,支援の形態の多様化が進められてきた。
○ 今後の財政的支援は,国内的のみならず国際的な競争的環境の中にあって,高等教育機関が持つ多様な機能に応じた形に移行し,各機関がどのような機能に比重を置いて個性・特色を明確化するにしても,適切な評価に基づいてそれぞれにふさわしい適切な支援がなされるよう,機関補助と個人補助の適切なバランス,基盤的経費助成と競争的資源配分を有効に組み合わせることにより,多元的できめ細やかなファンディング・システムが構築されることが必要である。特に,国際的環境を視野に入れた支援を行うことがますます重要になっている。これらにより,国公私それぞれの特色ある発展と緩やかな役割分担,質の高い教育・研究に向けた適正な競争が目指されるべきである。
○ 具体的には,@国立大学については,教育・研究の特性に配慮しつつ,それぞれの経営努力を踏まえて,政策的課題(地域再生への貢献,新たな需要を踏まえた人材養成,大規模基礎研究等)への各大学の個性・特色に応じた取組を支援すること,A私立大学については,その多様な発展を一層促進するため,基盤的経費の助成を進める。その際,国公私にわたる適正な競争を促すという観点を踏まえ,各大学の個性・特色に応じた多様な教育・研究・社会貢献のための諸活動を支援すること,B公立大学については,地域における知の拠点としての機能を発揮できるよう支援すること,C国公私を通じた競争的・重点的支援の拡充により,積極的に改革に取り組んで成果を挙げている大学等をきめ細やかに支援すること,D民間企業を含めた研究開発のための公的資源配分を大学等にも開放し,活力にあふれた研究環境を整備すること,E競争的資源配分の間接経費を充実することにより,機動的・戦略的な機関運営を支援すること,F高等教育を受ける意欲と能力を持つ者を経済的側面から援助するため,奨学金等の学生支援を充実すること等が重要である。
○ 高等教育機関の財源として,学生納付金や国・地方公共団体からの支援だけではなく,民間企業や個人等からの寄附金・委託費や附属病院収入・事業収入等の自主財源も確保し,財源を多様化することが望まれる。国はそのような努力を積極的に支援すべきである。
○ このような民間企業や個人等からの支援の充実は,社会の大学に対する評価をフィードバックし,大学の社会貢献を一層促す上でも効果的と考えられる。

補 平成16年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)

          授業料    入学料  施設設備費 実験実習費    その他      総計
文科系平均
    15年度  697,870   267,030   172,986   12,629    47,598   1,198,113
    16年度  707,740   263,089   173,487   12,307    45,298   1,201,921
対前年度上昇率    1.4%    -1.5%     0.3%    -2.5%    -4.8%      0.3%
理科系平均
    15年度  961,114   281,142   216,404   81,507    59,993   1,600,161
    16年度  981,571   282,278   216,601   80,487    55,248   1,616,185
対前年度上昇率    2.1%     0.4%     0.1%    -1.3%    -7.9%      1.0%
医歯系平均
    15年度 2,998,404   894,999   982,409   271,559  4,236,713   9,384,084
    16年度 2,998,250   891,249  1,168,751   292,602  3,973,290   9,324,142
対前年度上昇率   -0.0%    -0.4%    19.0%    7.7%    -6.2%     -0.6%
その他平均
    15年度  897,575   312,012   257,358   68,816    73,666   1,609,427
    16年度  891,595   302,581   251,069   68,366    68,649   1,582,260
対前年度上昇率   -0.7%    -3.0%    -2.4%    -0.7%    -6.8%     -1.7%
全平均
    15年度  807,413   283,306   202,330   37,307   107,497   1,437,853
    16年度  817,952   279,794   204,448   37,327    98,799   1,438,320
対前年度上昇率    1.3%    -1.2%     1.0%    0.1%    -8.1%      0.0%

値上げ校数と値上げ校の比率

        授業料   入学料  施設設備費   合計
15年度   57校 11.4% 7校 1.4% 24校 4.8% 63校 12.6%
16年度   50校  9.7% 5校 1.0% 29校 5.6% 47校  9.1%