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北東北3大学 教員養成どこに [he-forum 3993] 岩手日報05/23
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『岩手日報』2002年5月23日付

北東北3大学 教員養成どこに
 

 岩手、弘前、秋田の北東北国立3大学の再編・統合問題で、教員養成の「担
当校」をめぐる協議が大詰めを迎えている。大学全体の再編統合の動きに先行
しており、6月中にも方向性が固まる。決着次第では岩手大教育学部自体の存
続など大学全体の学部再編、盛岡市にある附属校の存続問題に影響する。現段
階では岩手大と弘前大との「綱引き」が予想され、23日から開かれる学部長
懇談会の論議の行方が注目される。

 3大学の教員養成系学部の再編・統合論議は、国が昨年6月に示した国立大
学の構造改革の方針(遠山プラン)を受けてスタートした。再編・統合による
機能充実を柱に大胆な合理化を図る目的。本年度内に方向性を提示することが
求められている。

 岩手大教育学部、弘前大教育学部、秋田大教育文化学部の3学部長は4月1
2日、これまでの検討を踏まえた上で6月をめどに共通見解をまとめることで
合意した。何らかの形で小学校教員養成の拠点を各大学に残すことや、現職教
諭の研修機能を共有・分担することが可能かどうか模索していくという。

 23日から来月中旬まで3回開かれる3大学の学部長懇談会の協議の中心は
事実上、岩手大と弘前大の綱引き。秋田大は「教員養成学部としての存続にこ
だわっていない」(岩大関係者)からだ。

 もともと秋田大は、入学定員290人のうち、190人(65%)が免許取
得を必修としない「ゼロ免課程」。岩手大(36%)と弘前大(29%)と異
なり、教員養成学部以外での存続を当初から視野に入れていた。

 岩手大側が同懇談会に示している案は、文科省が一時示した中学校教科分担
変形型。小学校教員養成機能をそれぞれ存続した上で中学校教員養成機能まで
も2大学に残す苦肉の妥協案といえる。

 しかし、文科省が再編・統合を強く求めてきた場合、一方の教員養成学部を
廃止し、統合する決着も否定できない。

 仮に岩手大教育学部が弘前大に統合されれば同学部附属幼稚園、附属小、附
属中は存続が危ぶまれる。岩手大の望月善次教育学部長は「決着次第では特に
幼稚園、中学校の存続は厳しくなるかもしれない」との見通しを示す。

 岩手大教育学部卒業生の全就職者に占める県内就職率は72%(2000年
度)。3県にとって教員養成系学部は「県民の財産」。ただ青森、秋田県に比
べ本県は行政を含めた県民論議は鈍い。