『河北新報』2002年5月23日付(2)
「教員」担当校を山形大が断念
山形・宮城教育・福島の国立3大学の教員養成系大学・学部再編統合問題に
ついて、山形大(仙道富士郎学長)が、教員養成課程を担う「担当校」を事実
上断念する方針であることが、22日明らかになった。教育学部の“要”を手
放すことに、大学内部からは「地域に責任を負えなくなる」「学部の教育レベ
ル低下は必至」などの声が聞かれた。一方、山形県は「せめて県内の教員をき
ちんと養成するシステムを」と訴えた。
同日夜、山形市の山形大小白川キャンパスで会見、担当校断念の方針を明ら
かにした仙道学長は、個人的な意見とした上で「2004年度の独立行政法人
化までに、教育学部に代わる新学部をつくりたい。地域、教育などのさまざま
なキーワードに基づいてどう変革するか考える」と述べた。
これに対し、同学部のある教官は「教員養成課程を持つということは、県民
に責任を負っていることにつながる。それがなくなると、地域への責任が希薄
になる恐れがある」と懸念。別の教官は「3県の教育のレベルアップを目指せ
ば良いとの意見もあるが、軸となる教員養成課程があるからレベルアップでき
る。なくなったら、大学の教育レベルは落ちる」と厳しい意見を述べた。
教育学部付属小中学校については、3大学の話し合いで存続が確認されてい
るが、同付属小は「現職の再教育、研修に実績を残してきた。教育研究の場と
して今後も大切にしてほしい」と強調する。
13日の会見で山形大を「担当校」とするよう求めた高橋和雄知事は「特に
義務教育は地域性が重要なので、宮教大が『担当校』になった場合、地域性が
確保できるか難しいし、心配だ。なるべく影響が出ないよう対策を取らなけれ
ばならない」と危機感を募らせた。
木村宰県教育長は「(大学に)教員の育成、再教育の機能などは残してほし
いと伝えてある。宮教大が『担当校』になっても、教員をきちんと養成する3
県一体のシステムが必要だ」と話している。