☆独行法情報速報 No.15 特集:4.19国大協臨時総会
[he-forum 3761] 独行法情報速報 No.15 特集:4.19国大協臨時総会.
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独行法情報速報 No.15 特集:4.19国大協臨時総会
2002.4.11独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局
4.19国大協臨時総会で文科省『最終報告』拒否、
国大協『特別委検討結果』不同意・差し戻しの議決を
【開示/分析1】『最終報告案』からの変化にみる『最終報告』の本質
I.経済政策への一層の従属
○視点1:世界水準の教育研究の展開を目指した個性豊かな大学へ
●視点1:個性豊かな大学づくりと国際競争力ある教育研究の展開
#:「世界水準」が「国際競争力ある」に変化していることに注目。従来の「世界水
準」も大いに問題ありではあるが、「国際競争力ある」に至っては教育研究の国際的
な普遍性は完全に無視され、経済における国際競争への寄与が基準となっている。
II.間断なき再編を一層促進
(1)法令による規定の極小化
○なお、大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所について
は、……、各大学ごとに法令(具体的には省令)で規定する。
●なお、大学の教育研究組織のうち、例えば、学部、研究科、附置研究所等に
ついては、…、これらの内容や範囲は、あらかじめできるだけ明確にしておく必要が
ある。……各大学の業務の基本的な内容や範囲を法令(具体的には省令)等で明確化
する方法を工夫する。
#:大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所の組織や業務
を法令(省令)で規定するとしていたものをやめる。これは再編・廃止を容易化する
ためのものである。
(2)基礎・基本組織としての部局概念の廃止
○なお、大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所…
●なお、大学の教育研究組織のうち、例えば、学部、研究科、附置研究所等……
(3)長期目標の削除
○・各大学ごとに国のグランドデザイン等を踏まえ教育研究の基本理念・長期計画を
盛り込んだ長期目標を自主的に策定・公表
●削除
#:この「長期目標」は中期目標が要求する数年の単位では教育研究の継続的発展は
不可能であるという大学側の批判をかわそうとして「国のグランドデザイン」と抱き
合わせて「10年程度のマイルストーンを置く」(3.6)ために持ち込んだものであっ
た。"10年などいう長期の規制を設けては大学再編を推進出来ない"という圧力に対応
して、今度は一変して「長期目標」を削除したのであろう。
III.教員という用語の使用頻度極小化
#3.26では可能な限り「教員」という用語を排除しようとしている。これは、教特法
によってなされてきた教員身分保障への復帰の可能性を少しでも小さくしようとする
意図からなされたものである。
IV.役員組織への学外者や官僚の更なる進出
○「学長」(法人の長)、「副学長」(複数名)、「監事」(2名)とする。
●「学長」(法人の長)、「副学長」(複数名)、「監事」(2名)とすることを原則とする。
#:「原則とする」の意味するところは、副学長以外の役員を設けるということであ
る。これは、学外「専門家」や文科省にかぎらず他省庁、例えば経産省の官僚が進出
して来ることに道をひらくものでもある。
【開示/分析2】『特別委検討結果』の本質
この文書は、「希望的観測」と「都合の良い解釈」に満ちたものであり、自ら決めた
基準さえ放棄する極めて無責任な文書と言うべきものである。
数字は、文書に同じ。●:文書、#:分析
1.総評
●:最終報告の法人像は、全体として、…、国立大学におおむね適合的な法人像にな
っている。
#:最終報告は独立行政法人通則法の基本的枠組みをそのまま踏襲するものであり、
「通則法にもとづく法人化に反対」という国大協の従来の立場から見て「おおむね適
合的」とは言えない。「憲法23条」の「学問の自由」に関わる重大な侵害が引き起こ
される制度設計であることが全く無視されている。
●:「高等教育・学術研究等への効果的で十分な支援について責任が問われる」と、
国の責任も明示されている。
#:『最終報告』には、具体的に高等教育予算をどうするのか、まったく明言されて
いない。
4.運営組織
●:国立大学協会は、…もともと経営と教学の分離には無理があることを指摘…。最
終報告では、…一定の配慮がなされている。
#:『最終報告』では、評議会から経営権限が剥奪されたものと見なければならな
い。加えて、運営協議会が「主に経営に関する」と「主に」が追加され、教学にも介
入する余地を作ったことを過小評価している。
5.非公務員型
●:最終報告では、非公務員型は、柔軟かつ弾力的な雇用形態・採用方法・給与・勤
務時間・外国人の管理職への登用、兼職兼業の弾力化などにメリットをもっており、…
#:「非公務員型の長所」について語っているが、「非公務員化」が、教員の身分保
障と学問の自由の関係からも、教職員の労働権と生活権の視点からも、重大な問題で
あることが自覚されていない。教育公務員特例法の不適用を最大の目的にしているこ
とに触れていない。
●:最終報告では、非公務員型で任期制を広く導入するための法整備や労使関係
を円 滑に処理する仕組み、国家公務員に準じる公共性の確保、職員身分の切り替えに伴う
各種の代替措置や移行の問題など、なお検討課題が多い。
#:であるなら、『最終報告』のままでは非公務員型は不可能であると結論すべき。
6.教員等の人事
●:非公務員型の場合、教員等人事に「教育公務員特例法」が適用されない。最終報
告では、その代替措置として、教員の人事方針・基準・手続きは、「評議会の審議」
を 経ることになっており、具体的には選考についても「専門性を有する学部等の考
え」も重視されるべきだとしている。国立大学協会はその点の法令化も求めてきた。
#:『最終報告』では法令化について全く語っておらず、国大協の意見は容れられて
いない。
●:不明なのは、学部長等の選考である。この基準・手続き等の扱いは、教員の場合
とは違っている。教員と同様の基準・手続き等を採りうるものと解する。
#:一方的な希望的観測か、さもなければ、欺くための解釈。
7.学長選考
●:ある程度大学ごとの工夫の余地も残すものと理解する。
#:文部科学省が「工夫の余地」を認めることの保障は全くない。学外者の関与を認
め、現在の学長選挙の手続きを「意向聴取」に切り縮め、その参加者の範囲を「教育
研究や大学運営に相当の経験と責任を有するものに限定する」と、如何にして現在の
方法をやめるかに中心的狙いがある。「学長の解任」に関しても、文部科学大臣の発
議によって、解任手続が開始されることへの警戒心が全くないのには驚く。
8.目標・評価
●:理念や長期的な目標が大学の自主性や属性の根元としてとらえられ、中期目標は
文部科学大臣が「定める」ものの、…かなり大学らしい特徴が出るようになった。
#:中期目標については、『最終報告』では、「文部科学大臣」が「定める」として
いる。「定める」というのは、文言の上でもまたスキームの点からも通則法そのまま
であり、どのような限定を設けたとしても、国大協の立場から見て到底容認できるも
のではない
●:もっとも、運用上の考慮は必要である。
#:「運用上の考慮」によっては解消することのできない根源的な問題である。
9.財務会計
●:「高等教育や科学技術・学術研究に対する公的支援を拡充」する具体的な方法
と、運営費交付金の算定基礎・配分方式、評価の予算配分への反映方式については、
政府は国立大学協会とも協議しつつ早急に検討作業を進め、骨格の姿を示すことが望
まれる。
#:具体的な方法なしの「口約束」と一方的な希望的解釈のみで法人化を受け入れる
ことはできない。
【開示3】磯野学長との往復文書
磯野学長への4月1日付要請文(抜粋)
1.4月12日国大協理事会、19日臨時総会で、1997年国大協総会議決に反する『最終報
告』案を拒否し、独法化反対の意思を再確認するよう提案し、その実現をはかること。
2.4月19日国大協臨時総会では、各国立大学学長にその態度と責任を明示させる
べく、それぞれの学長が記名投票によって最終報告に対する態度を表明させるよう、
4月12日国大協理事会で提案しその実現をはかること。
3.これまでの国大協総会の決定に反して『最終報告』をまとめた長尾主査に対し、
国大協会長を辞職するよう求めること。
4.上記の要請に応えてこれらの会議に臨む事を、学内外に公式に表明すること。
磯野学長からの4月3日付回答(全文)
国立大学独立行政法人化問題についてのご意見(4.1要請文を指す:事務局注)を拝
読しました。貴重なご意見有難うございました。
文部科学省調査検討会議の最終報告が公表され、国立大学独立行政法人化問題は最
終局面を迎えております。この問題について、国立大学協会が4月19日の臨時総会に於
いて、何らかの意見を示さなければならないことはご指摘の通りであります。
私自身、貴センターのご意見を大学内部からの意見の一つとして参考にさせて頂き
ます。
有難うございました。
【提言1】4.18評議会で『特別委検討結果』不同意と差し戻しの議決を
4月19日の国大協臨時総会において、『最終報告』を容認する『特別委検討結果』が承
認されるならば、政府は一挙に「大学法人法」の立法化へと突入するであろう。そも
そも国大協の設置形態特別委員会は昨年10月19日の第15回会議以降休業状態が続き、
3月1日の理事会では長尾会長によって解散提案さえなされたと伝えられている。それ
が4月1日に突如復活し、あまりにひどい文科省『最終報告』を臨時総会の直接の議題
からそらすために、わずか1回で直ちに『検討結果』をまとめたのである。したがっ
て、審議実態からみて、臨時総会に提出できるような水準に到達していないことは明
白である。
磯野学長は4月9日の部局長会議でこの『検討結果』を提示し、4月18日の評議会で意
見を述べるように求めた。直ちに各部局教授会あるいはその下部機関は『検討結果』
を厳密に審議し、不同意の意思表明と再検討の要求を確認すべきである。千葉大学最
高決定機関たる評議会は、この『特別委検討結果』に同意せず、差し戻し・再検討を
要求する議決をしなければならない。
学長は、私たちの4月1日付要請文の具体的内容については回答されていない。真に
リーダーシップを発揮されるためには、手続き論だけでなく臨時総会に対してどうい
う方針で臨むのかを直ちに全学の前に明らかにすべきであると考える。さらに、国大
協特別委員会の委員でもある学長は、去る2月20日の評議会において特別委員会の開催
を求めると発言された。しかし、その要求は実現されないまま『最終報告』が先行し
たのである。このような特別委員会の現実を見るならば、構成委員の一人として差し
戻しを提案されるべきであろう。そして、6月定例総会に向けて特別委員会での集中
的な審議を開始して頂きたい。
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【開示4】学長選挙日程案等提示さる
◎4月9日の部局長会議に18日評議会に提案される学長選挙日程等が示された。
5/9?5/22:候補適任者推薦、選定委員会委員選出
5/28:学長候補適任者選定委員会 5/29:学長候補適任者氏名公示
5/29-6/5:不在者投票 6/6?7:投票(6/6=第1回、第2回 6/7=第3回、第4回)
◎前号で本センターが提言した学長選挙制度改善項目のうち、選定委員選出部局拡大
が実現される(自然科学研究科、附属病院、外国語センター)。
【提言2】公明正大なる学長選挙を
本センターが提言した学長選挙制度改善項目のうち、推薦制度の改善、政策等を広く
知らせるための公報の発行や政策演説会等の提言は残念ながら規則に盛り込まれなか
った。しかし、事実上の選挙管理委員会にあたる評議会として、引き続き、公報の発
行や政策演説会等の実現のために尽力していただきたい。なお、公明正大で堂々たる
学長選挙を実現するために、連絡先不明や代表者名なしの団体による事実上の選挙活
動は厳に慎まねばならぬことを改めて強調しておきたい。