独行法反対首都圏ネットワーク |
○:3月6日版
●:3月26日版
#:分析・コメント
I.経済政策への一層の従属
○視点1:世界水準の教育研究の展開を目指した個性豊かな大学へ
●視点1:個性豊かな大学づくりと国際競争力ある教育研究の展開
[2.検討の視点 視点1]
○国立の名にふさわしい、世界水準の教育研究の展開を目指すべきである。
●国民の付託に応えた教育研究の充実を図り、国際競争力ある大学づくりを目指すべきである。
[2.検討の視点 視点1]
#:「世界水準」が「国際競争力ある」に変化していることに注目。従来の「世界水準」も大いに問題ありではあるが、「国際競争力ある」に至っては教育研究の国際的な普遍性は完全に無視され、経済における国際競争への寄与が基準となっている。
II.間断なき再編を一層促進
(1)法令による規定の極小化
○なお、大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所については、その性格上いわば法人としての業務の基本的な内容や範囲を示すものであり、明確に定める必要があることから、各大学ごとに法令(具体的には省令)で規定する。
●なお、大学の教育研究組織のうち、例えば、学部、研究科、附置研究所等に
ついては、その性格上いわば各大学の業務の基本的な内容や範囲と大きく関わ
るものであり、これらの内容や範囲は、あらかじめできるだけ明確にしておく必要がある。……各大学の業務の基本的な内容や範囲を法令(具体的には省令)等で明確化する方法を工夫する。[2.制度設計の法人(3)その他の組織(教育研究組織)]
○各大学ごとの業務の基本的な内容や範囲を明確にする観点から、各大学の学部・研究科等を下位の法令で規定する。
●さらに各大学ごとの業務の基本的な内容や範囲を下位の法令等で明確化する方法を工夫する。[2.制度設計の法人(4)目的・業務(業務)]
#:大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所の組織や業務を法令(省令)で規定するとしていたものをやめる。これは再編・廃止を容易化するためのものである。
なお、次の(2)も参照。
(2)基礎・基本組織としての部局概念の廃止
○なお、大学の教育研究組織の基礎・基本である学部・研究科・附置研究所については…
●なお、大学の教育研究組織のうち、例えば、学部、研究科、附置研究所等については、……..[2.制度設計の法人(3)その他の組織]
○部局長…
●学部長等[III人事制度1検討の視点]
○各部局ごとの…
●なお、各学部等ごとの[IV目標・評価2制度設計の方針(2)中期目標・中期計画等]
(3)長期目標の削除
○・各大学ごとに国のグランドデザイン等を踏まえ教育研究の基本理念・長期計画を盛り込んだ長期目標を自主的に策定・公表
●削除[IV目標・評価1.検討の視点視点1]
#:そもそもこの「長期目標」は中期目標が要求する数年の単位では教育研究の継続的発展は不可能であるという大学側の批判をかわそうとして「国のグランドデザイン」と抱き合わせて「10年程度のマイルストーンを置く」(3.6)ために持ち込んだものであった。もとより、国のグランドデザインを押しつけるために策定を義務づけた「長期目標」であったが、“10年などいう長期の規制を設けては大学再編は出来ない”という圧力に対応して、今度は一変して「長期目標」を削除したのであろう。一部に、「長期的な目標」という用語に置き換えられている箇所もあるが、視点からはずした以上本質的には削除である。
III.教員という用語の使用頻度極小化
#多数の箇所にわたるので引用はしないが、3.26では可能な限り「教員」という用語を排除しようとしている。これは、教員と行政職員の間の差別を廃止しようというような高邁な見地からではなく、教特法によってなされてきた教員身分保障への復帰の可能性を少しでも小さくしようとする意図からなされたものである。
IV.役員組織への学外者や官僚の更なる進出
○「学長」(法人の長)、「副学長」(複数名)、「監事」(2名)とする。
●「学長」(法人の長)、「副学長」(複数名)、「監事」(2名)とすることを原則とする。[II組織業務 2.制度設計の法人(2)運営組織(役員)]
○副学長には、学内からの登用にとどまらず、広く学外からも大学運営に高い見識を有する者や各分野の専門家を招聘する。
●監事以外の役員についても、学内からの登用にとどまらず、広く学外からも大学運営に高い見識を有する者や各分野の専門家を招聘する。
○また、法人化を契機に、各学長の判断で、教員と連係協力して大学運営の企画立案に積極的に参画する事務職員等からも、大学運営に高い見識を有する者を副学長に積極的に登用することが考えられる。[同上]
●また、法人化を契機に、事務職員等が教員と連携協力して大学運営の企画立案に積極的に参画していくことが期待されるが、各学長の判断により、こうした事務職員等のうち、大学運営に高い見識を有する者を役員に積極的に登用することも考えられる。[同上]
#:冒頭に引用した変更点、すなわち、「原則とする」の意味するところは、副学長以外の役員を設けるということである。この役員に関する部分は、2.21版、3.6版、そして3.26版へと揺れ動いている。3.6版で役員を学長・副学長・監事に限定したのは、副学長数を法定せよという総務省サイドの要求によるものであるが、副学長だけでは大学運営はできないという主として大学側委員の要求で3.26版(最終報告)ではこのような表現になったといわれる。しかし、これは、学外「専門家」や文科省にかぎらず他省庁、例えば経産省の官僚が進出して来ることに道をひらくものでもある。
V.“危ない”表現は削除
その他、3.26最終報告では、文科省にとって将来“危ない”かも知れないと思われる表現は可能な限り削除されている。引用者による下線部に注目されたい。
○・教員の採用・昇任等は、教員人事の自主性・自律性を確保しつつ、具体的なプロセスは、各大学独自の方針や工夫が活かせるよう、制度を弾力化
●・教員の採用・昇任等は、教員人事の自主性・自律性に配慮しつつ、各大学独自の方針や工夫が活かせるよう、制度を弾力化[III人事制度 1.検討の視点 視点1]
○また、学長の選考に関する基準、手続は、大学における人事の自主性・自律性の考え方を踏まえつつ、法人の適切な管理運営に責任を持つ法人の長として必要な要件をも加味したものとすることが適当である。
●また、学長の選考に関する基準、手続は、法人の管理運営に責任を持つ法人の長として必要な要件をも加味したものとすることが適当である。[III人事制度 2.制度設計の方針 (2)選考・任免 (学長の選考方法)]
○投票参加者の範囲
●意向聴取対象者の範囲[同上]
○また、学長選考委員会(仮称)の判断により、具体の選考過程において必要に応じ学内者の意向聴取手続き(投票など)を行うことも考えられるが、….
●なお、具体の選考過程において学内者の意向聴取手続(投票など)を行うことも考えられるが、……
○学長選考委員会(仮称)の責任において候補者を絞った上で、…….
●候補者を絞った上で………
#:前三者については解説の必要もあるまい。後二者は学長選考委員会(仮称)が民主的に強化されることへの懸念であろうか?その意図について更なる分析が必要であろう。