大学財政問題分析検討ワークショップ

ニュースレターNo.2

 

2005年8月4日  大学財務分析検討ワークショップ実行委員会

 

8月13日のワークショップの準備を進めるために、ニュースレターNo.2を発行します。ワークショップの案内は、

http://www.shutoken-net.jp/2005/07/050722_2workshop.html をご覧下さい。

お問い合わせは、info at shutoken-net.jp へお願いします。

 
1.《緊急分析》国立大学法人評価委員会の財務分析手法

国立大学法人評価委員会国立大学法人分科会は、業務及び財務等審議専門部会をこの1月より審議を開始した。しかし、同部会で示されている国立大学法人の財務分析の手法には多くの問題点がある。

 

4回部会配布資料3−2「国立大学法人の類型化について(案)」では、すべての国立大学を、附属病院の有無等に基づいて9つの分類に類型化している。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_2.htm

しかしその分類はおおむね結局、文部科学省による従来の国立大学の5分類による序列化を、「部制大」「その他大」の分類を細分化して踏襲しているに過ぎない(http://www.shutoken-net.jp/0193ranging.htm 参照)。

財務分析の際のツールとしての国立大学法人のグルーピングが国立大学の序列化のツールとして機能する可能性に、我々は十分留意し、これを監視せねばならない。

 

4回部会配布資料3−3「財務分析結果の年度評価への活用(例)」は、「教育研究費比率」(教育研究費/業務費)×100%)をはじめとして「年度計画」の主要項目に関連する財務指標を例示している。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_3.htm

この資料では「なお、例示した財務指標の選定に当たっては国立大学法人の裁量性に着目している。」と述べているが、この文言は「国立大学法人の裁量性」を年度評価に際して評価対象とすることを意味している。

しかし、かつて文科省は、国立大学の法人化に際して「文部科学省の内部組織である今よりも国の関与が強くなるということはなく、各大学の自由度は大幅に拡大されることになります。」(文部科学省『国立大学の法人化をめぐる10の疑問にお答えします!』

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/03052702/008.htm

と述べていたのではなかったか。

 

◎第4回の部会の配付資料の中に、(参考4)として決算報告書、貸借対照表、損益計算書に係る標準的な財務指標及び一般的な表意内容を記した「財務指標等の基礎資料」が示されている。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/002/05072001/003_4/s004.htm

同資料が「国立大学法人等業務実施コスト計算書」等を含めた国立大学法人会計基準に規定されている財務諸表体系の全体を対象としてはいない点に留意する必要がある。数多く例示された財務指標の中には批判されるべきものも含まれている。一点だけ例示する。

 

[決算報告書]

自己収入比率 (自己収入/収入全体)×100% 自己収入の確保がなされているか。

は「多い(高い)方が望ましい。」とされる財務指標)

 

これは、収入全体が自己収入と運営費交付金とで構成されることを考慮すれば、高等教育に対する公財政支出の比率の逓減を、財務指標を用いて推奨することに他ならない。文科省は今年度、学生納付金標準額を値上げし、運営費交付金を削減した。これは各国立大学法人の授業料等の自己収入への依存の度合いを高める訳であるから、国立大学法人評価委員会の財務指標によれば自己収入比率の向上に寄与し、従って「望ましい」こととなる。

 

◎我々は、国立大学のあり方を財務面から論じるうえで、上記のような国立大学法人評価委員会が示す大学像と異なる価値観を示さねばならない。そのためにも、これらの財務指標や国立大学法人会計基準を熟知し、これらに束縛されない財務指標を案出するための議論を進めていこう。

 

2.全大教関東甲信越地区協議会、共催団体へ

全大教関東甲信越地区協議会より本ワークショップの趣旨に賛同し、共催団体となるとの連絡を頂きました。これにより、本ワークショップは、大学財政問題分析検討ワークショップ実行委員会の主催、国立大学法人法反対首都圏ネットワーク、東大職員組合、全大教関東甲信越地区協議会の共催となります。引き続き、多くの団体が共催して下さいますようお願いいたします。

 

3.全大教大西委員長より、連帯の挨拶

さる7月30〜31日開催の全大教大会で新委員長に就任された大西広さん(京都大学経済学研究科・経済学部教授)が、本ワークショップに連帯の挨拶を寄せられる予定との連絡をいただきました。