『朝日新聞』宮城版2010年4月6日付

東北大、跡地売却見送りも 農学部移転計画 


東北大が仙台市・青葉山に造成中の「新キャンパス」に農学部などを移転する計画で、同大の井上明久総長は2日、農学部跡地を売却して移転資金に充てる予定を変更する可能性を表明した。地価の低迷で跡地の評価額が極端に安くなり「採算がとれない」(井上総長)のが原因で、 企業などへの長期貸し出しなどに切り替える考えも示した。

新キャンパスは、現在の青葉山キャンパスに隣接する旧県有地に造成中。同市の雨宮キャンパス(農学部・大学院農学研究科)と片平キャンパスの一部(電気通信研究所)を移設する。造成は今年秋ごろ終了するが、農学部跡地の売却益が出ないとその後の建物の建設費が賄えなくなるという。

井上総長はこの日、世界をリードする大学を目指す「井上プラン」の今年度改訂版を発表する記者会見の中で、跡地売却見送り案に言及。 「雨宮は仙台市内に残るまとまった土地であり、大学の将来を考えると売却がベストかどうか。売らない手もある」と述べた。 ただし、同大総長室によると、国立大学が研究・教育に無関係な企業などに所有地を貸し出すことは法的に問題があるという。