『産経新聞』2010年4月8日付

国立大学法人の経営改善度 内閣府が初のランキング作成


民間企業との連携をしやすくするなど、経営の自由度を広める目的で平成16年度に国から独立して発足した86の国立大学法人について、内閣府が経営改善度に基づくランキングを初めて作成したことが7日、分かった。8日の官民競争入札等監理委員会の国立大学法人分科会で公表し、さらなる取り組みを促す。

経営改善度を示す指標として内閣府が着目したのは、民間企業の総務部や経理部が担当する「施設管理業務」。具体的には、(1)ゴミ処理や建物内の清掃などについての一般競争入札の導入率(2)民間企業が応札しやすいとして奨励されている複数年度契約の導入率(3)少額随意契約の上限額の設定−の3項目で総合評価した。

この結果、一般競争入札率は全体で88%(金額ベース)と進んだ一方、契約の複数年度化は44%にとどまったほか、86法人のうち80法人が少額随意契約の上限額を従来の100万円から引き上げていたことが判明した。

引き上げ額がもっとも大きかったのは東京、京都、大阪の3大学でそれぞれ1千万円。大学の裁量範囲が増える少額随意契約の上限額引き上げについて内閣府は「不正の温床になりかねない。業務を分割して一般競争入札の手間を省くのに使われやすい」と“負の側面”が大きいとみており、今後、改善を求める。

人材や資金にも恵まれ、一般競争入札の導入にも対応しやすいとされた3大学だが、ランキングで大阪大は85位、京都大は78位とワースト10入りしたほか、東京大も46位と低かった。

最下位は和歌山大で一般競争入札が33%、複数年度契約が41%、少額随意契約の上限額は500万円となっている。

一方、トップは奈良先端科学技術大学院大学。一般競争入札は96%、複数年度化は100%で、少額随意契約の上限額も300万円だった。

ランキングを作成した狙いについて、内閣府幹部は「官民競争入札の視点から各大学の意識をみたかった」としている。