『しんぶん赤旗』2010年4月6日付

日本学術会議が提言発表
長期的な振興策を


日本学術会議(金澤一郎会長)は5日、総会を開き、10〜20年先を見通した学術の現状とその推進政策について見解をまとめた報告書「日本の展望―学術からの提言2010」を採択しました。

報告書は07年から構想されたもので1370人余の学術会議会員・ 連携会員がかかわりました。内容は、地球環境問題など21世紀の世界で学術が立ち向かうべき課題と、それに対する学術研究の発展方向を明らかにし、日本における学術をめぐる体制と政策のあり方を具体的に提言しています。

日本の学術政策の現状については、「短期的な成果がより強く問われ、長期的な学術振興の影が薄い」と指摘。運営費交付金の減額などで深刻な研究・教育状況にある大学や、人文科学などの基礎分野で存続の危機すらいわれるなど「日本の学術は全体として活力を失いつつある」 と危機感を募らせています。

「日本社会が必要とする新しい学術政策」への提言では、学術の総合的発展の中で、「科学技術」の推進を位置づけること、大学においては財政的基盤の強化や研究・教育に対する競争メカニズムの過度な適用の是正に向けて「はっきりかじを切ること」、国際的にも劣悪な若手研究者の状況を克服するための公的財政支援などの早急な施策などを求めています。

学術会議では、「日本の展望」をふまえて、政府へ勧告案も検討するとしています。