『河北新報』2010年4月4日付

社会へ情報発信強化 宮教大・高橋学長2期目の抱負


<たかはし・こうすけ>東大大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。宮城教育大助教授を経て88年教授。付属小校長などを歴任し、04年総務担当理事。06年から現職。専門は中国近現代史。湯沢市出身。66歳 

東北唯一の単科教員養成大、宮城教育大(仙台市青葉区)の高橋孝助学長は、1日から2期目の任期に入った。独立行政法人化後、初の公募制を取り入れた2006年の学長選考会議を経て就任。地方教育委員会などとの連携強化や開かれた大学づくりに力を注いできた。2期目に当たり、今後の抱負などを聞いた。(聞き手は報道部・中本亮)

―1期目に栗原市教委や仙台市天文台と覚書を結ぶなど、連携協力に力を入れてきました。

「社会貢献は前学長から引き継いだ路線。都市部だけでなく、気仙沼に連携センターができるなど、地域との連携は非常に進んでいる。研究は机上の空論では駄目。大学にとっても現場から学ぶいい機会になっている。やれることを整理し、相手のニーズに応えた連携をさらに進めていく」

―09年度は教員免許更新制度が本格的に始まりました。

「一度現場に出た教師には研修はあるものの、理論や新しい手法をじっくりと学ぶ機会がない。制度の是非は別として、1年の経験を積んだ制度では、大学側が積極的に教えることの必要性を痛感した。教員を送り出している以上、アフターケアもしっかりしなければいけない」

―子どもが次第に少なくなり、教員募集も減りそうです。

「東北では教員採用が減っているが、関東は逆に増えている。地元・宮城への人材供給はもちろんだが、全国に必要としている場所があることも考えなければ。学生には、宮城だけにしがみつかず、関東も視野に入れた柔軟な発想で教員を目指してほしい」

―2期目を迎え、最も重視したい点は。

「教員養成に特化しているので、未来はしっかりしている。ただ、大学から社会への説明は不十分だった。法人化後、大学教員はその点に気付き始めている。大学独自の取り組みを情報発信したい」

「特別支援教育の充実も図りたい。特別支援教育の免許を出すことはもちろん、障害がある学生でも希望の職に就ける支援を国立大はしなければいけない」