『河北新報』2010年3月27日付

周産期・感染症対策の人材育成 宮城県、東北大に寄付講座


宮城県は2010年度、医師不足が深刻な周産期医療、感染症対策の各分野の人材育成などを目指し、東北大大学院医学系研究科に県の寄付金で運営する寄付講座を開設する。講座で新たに雇用される教員らが若手医師らの研修を担うとともに、県内の病院に計画的な医師配置も進める。県と東北大が26日、講座設置の協定を結んだ。

開設するのは「周産期医療人材養成」と「感染症診療地域連携」の2講座で、設置期間はいずれも4月1日から3年間。

周産期講座は産科、小児科など周産期医療分野の専門医の養成や確保と、地域による医師偏在の改善を目指す。(1)学部から卒業後までの教育カリキュラムの開発(2)女性医師の出産・育児後の復帰を支援するプログラムの実践(3)若手医師が特性や規模の異なる病院や医療圏を循環する研修体系の構築―などを進める。

感染症講座は新型インフルエンザなどへの対策を主眼に(1)医学部学生・研修医を対象とした感染症診療臨床研修の実施(2)県内の病院の診療体制の構築支援と医師配置(3)地域の感染状況の解析と行政への指導―などを担う。

県は国の地域医療再生臨時特例基金を活用し、両講座にそれぞれ年間3000万円、3年間で計1億8000万円を寄付。主に人件費に充てられ、講座には教員ら4人ずつが配置される。

宮城県庁であった締結式で、村井嘉浩知事は「県民にとって安全・安心な医療提供体制の構築のため、協力をお願いしたい」とあいさつ。東北大の井上明久総長は「地域医療を支えるには大学と行政の連携が必須。責任を持って、人材育成に努めていく」と述べた。