『朝日新聞』2010年3月30日付

「成果出ている」藁科副学長 国立大評価「最下位」の弘前大 青森


法人化した国立大の予算に差をつけるため、各大学の研究・教育水準などに対して国が初めて行った順位付けで、最下位の評価を受けた弘前大学(遠藤正彦学長)は26日、「各学部・大学院の教育水準は期待通りの成果を達成している」と強調し、低評価に反論した。また、算定方式に問題があるとして見直しを訴えたほか、資産のある(都市の)大学と地方大学の地域間の不平等への配慮も求めた。

弘前大は研究・教育水準、教育研究達成度などの評価項目ごとに算定したものを合計した「総合評価ウエイト」で35・39となり、86大学中最下位。その評価を反映した「運営費交付金」で700万円の減額とされた。トップは奈良先端科学技術大の70・00。

26日、記者会見した弘大理事(総務担当)の藁科勝之副学長は、対象となった2004〜07年度の実績報告の評価方法を図解した資料を持参。「評価はやむを得ないと受け止めるが、大学としてのプライドが許さない」として、反論を展開した。

そのなかで藁科副学長は「質の向上度の判断」の観点で人文、医学系の評価が「改善向上しているとは言えない」とされたことを明らかにし、複数の取り組みの中で一つでも難航していると、まるごと「改善向上していない」と評価され得る方法になっていると、不満を漏らした。

そのうえで失点の多くは立て直し済みで、09年度までの実績は好転する見込みと強調。このため「最下位」の評価が定着してしまわないよう、「算定方式を見直してほしい。国立大学協会(国大協)に働きかけることになるかもしれない」と訴えた。

また、大学の地域間格差についても触れ、「資産がある大学と地方大では教育につぎこむ予算に差が生じる。今回の評価は、その不平等が反映した結果と思う」と、危機感をにじませた。