『毎日新聞』2010年3月30日付

国立大法人化:文系・医系、研究の質低下 論文・発表数が減少−−全86校
学部長調査


04年度に始まった国立大法人化後、医歯薬学系と文科系の学部で研究の質の低下や職場環境の悪化が目立ち、学部間の格差が生じていることが、国立大学財務・経営センターによる全国立大の学部長を対象とした調査で明らかになった。

調査は08年12月〜09年2月、全国立大86校の学部長を対象に実施。 7割が回答し、理工系▽農学系▽文科系▽医歯薬学系▽その他に分類して解析した。

分析結果によると、論文・学会発表の数が、医歯薬学系では「(法人化前より)減った」との答えが57・7%、文科系も34・5%に上り、それぞれ「増えた」を上回った。理工系、農学系は「増えた」との回答が多かった。 「研究の質」では、理工系と農学系は「向上した」が多かったが、医歯薬学系と文科系は「低下した」が上回った。

「職場の雰囲気」が「悪化した」との回答は、医歯薬学系47・1%、文科系45・9%と、それぞれ「良くなった」を大きく上回り、悪化の割合が理工系、農学系より高かった。

医歯薬学系は、法人化によって付属病院の経営改善を求められ、教員の仕事量が急増。文科系は、国からの運営費交付金が減る一方、理科系に比べ外部資金の獲得が難しいことなどが背景にあるとみられる。【永山悦子】