時事通信配信記事 2010年3月26日付

大学生への「給付奨学金」創設を=経済力による格差是正−同友会提言


経済同友会は26日、長引く不況に伴う家計収入の減少で優秀な人材が大学進学をあきらめるような事態を防ぐため、返済の必要がない「給付奨学金」を公的負担で創設することなどを求める提言をまとめた。経済格差を教育格差につなげないよう、家計負担軽減に焦点を絞ったのが特徴。政府・与党などに実現を働き掛ける。

同友会によると、日本学生支援機構を通じた日本の公的奨学金は、すべて返済を要する「貸与」。毎年の新規受給者数にも大学ごとの割り当てがあり、成績などの条件を満たしても、無利子の第一種奨学金を受けられない場合があるという。

提言は、こうした学校割当制を撤廃し、希望者全員に条件に合った奨学金を貸与するよう要望。併せて欧米などで広く普及している「給付奨学金」の創設を求めた。具体的には(1)家計の年収400万円以下(2)大学センター試験の成績上位15%以内−を要件とし、年間60万円(月額5万円)を1学年で3万人ずつに支給するよう提言。財政負担は年約700億円と試算した。