『琉球新報』2010年3月29日付

大学院大 博士課程のみ 5年制、学士も入学対象


沖縄科学技術研究基盤整備機構(シドニー・ブレナー理事長)の第9回運営委員会(ボード・オブ・ガバナーズ)が28日、恩納村の同機構本部で開かれた。運営委員会後の記者会見で有馬朗人、トーステン・ ヴィーゼル両共同議長は、沖縄科学技術大学院大学の教育課程は、5年一貫制の博士課程のみ設置することを発表した。初代学長の選考については「数人の外国人候補者に決めた」と述べた。

大学院大学への入学対象者は、修士課程修了の学生に加え、学士まで対象を広げる。他大学で修士号を取得した学生については講義科目数の減免を認め、途中年次への編入学も認める。

海外では修士を経ずに博士号を取得できるケースもあることから、同機構は「学士から受け入れることで、世界中の優秀な学生が入りやすくなる」と説明する。

記者会見では、27日に開かれた大学院大学学園設立委員会での合意内容を報告。優秀な学生獲得のため、奨学金制度を設けることや、研究者らの宿泊施設地区(ビレッジゾーン)の整備と運営は、PPP(公民連携)方式で行うことなどを説明した。

運営委員会は非公開で行われ、研究事業の進展状況、施設整備の予算超過問題などについて報告があった。

◆大学院大2棟完成

【恩納】2012年開学に向けて恩納村谷茶で建設が進められている沖縄科学技術大学院大学の研究施設など一部の施設が完成し28日、開設記念式典が同大学院大で行われた。国や県、市町村の関係者など約300人が参加し、施設の開設を祝った。

完成したのは、学務・事務オフィスや講義室などが入る「センター棟」とバイオ技術や水生生物などの実験室が入る「研究棟1」の2施設。両棟合わせて延べ床面積は2万7千平方メートル。実験機器やスペースを研究者が共有できる「オープンラボ」の構造になっている。研究棟2と研究棟3は、10年度から建設工事を始める予定。

記念式典で、仲井真弘多知事は「沖縄では県民挙げて大学院大学の応援を続けていこうと決意している」、沖縄科学技術研究基盤整備機構運営委員会のトーステン・ヴィーゼル共同議長が「世界最高水準の素晴らしいキャンパスができた。地元や県に感謝したい」とそれぞれあいさつ。乾杯の音頭で志喜屋文康恩納村長は「夢と希望を持てる大学院大学の第一歩」と述べた。式典では琉舞も披露された。式典後、参加者らは施設内を見学した。