『京都新聞』2010年3月24日付

社会保障の現状や問題点など語る
滋賀大・成瀬学長が退任講演会


3月末で退任する滋賀大の成瀬龍夫学長(65)が23日、退任記念の講演会を草津市内のホテルで開いた。「これからの社会と社会保障」をテーマに日本の社会保障の現状や問題点などを語り、大学や地元行政関係者ら約80人が耳を傾けた。

経済学と社会政策が専門の成瀬学長は1988年12月に経済学部教授になった後、学生部長や経済学部長などを経て2004年7月から学長を務めた。退任後は、京都教育大監事となることが内定している。

講演で成瀬学長は、少子高齢化や高失業率、若者の非正規労働者の増加などを背景に、「扶養の担い手層が社会的弱者に転落し、社会保障の運営が難しくなっている」と指摘。従来の社会保障の代替案として基本的所得を無条件支給する「基本所得構想」を紹介し、「成熟した日本社会は安心、安全が第一だが、高負担をしないと高福祉は得られない」などと語った。