『中日新聞』2010年3月8日付

名工大、会議に電子ペーパー初導入


名古屋工業大(名古屋市昭和区)は、学内の会議で「電子ペーパー端末」を活用し、紙の資料の大幅な削減を目指すことを決めた。既に2月から一部の会議で取り入れており、2010年度から本格導入する。同大によると、電子ペーパー利用による「ペーパーレス化」は、全国の大学で初めてという。

電子ペーパーは、薄くて軽い端末の画面で情報を閲覧するシステム。近年、メーカーの開発競争が激化しており、名工大はブラザー工業(同市瑞穂区)が販売する業務用の電子ペーパー端末に着目。同社と共同で、会議に適したソフトの改良を進めてきた。

同大では、学内の情報を集約したホストコンピューターから、必要な情報を電子記録媒体(SDカード)を介して端末に出力し、会議で利用する。

端末は、画面がA5サイズで厚さ1・5センチ。1ページずつ表示でき、端末のボタン操作で好きなページを閲覧できる。端末の情報はSDカードを抜くと消えるため、情報漏えいも防げるという。

同大によると、08年度に学内で使われたコピー用紙は720万枚で、このうち会議用資料の紙は22万枚。同大は購入した端末80台により、会議の紙の9割カットを目指している。

松尾啓志・情報基盤センター長は「紙を節約すれば、製紙に使うエネルギーの削減や森林保護にも役立つ。鳩山由紀夫首相が掲げる温室効果ガス25%削減に呼応し、大学全体で排出削減につなげたい」と話している。