『朝日新聞』2010年3月11日付

日立システムなど、筑波技術大学の聴覚障害者向け授業でエリアワンセグ実験


筑波技術大学(村上芳則学長)と三友(北川正樹社長)、日立システムアンドサービス(日立システム、林雅博社長)は、筑波技術大学の聴覚障害学生向け授業において、エリア限定のワンセグ配信(エリアワンセグ)を活用した字幕情報配信実験を1月25日から2011年2月3日(予定)まで実施する。

今回の実験は、総務省関東総合通信局から実験試験局免許の交付を受け、聴覚障害学生が学ぶ筑波技術大学産業技術学部内に無線局環境を構築し、エリアワンセグを活用した手話・字幕情報配信の、新しい「情報保障」ツールとしての実用性を、3機関が共同して検証する。

実験では、「情報保障」の手段として、ワンセグの映像と字幕部分を利用して、学生の手元に授業の内容を配信する。既存の「遠隔情報保障システム」のデータを2次利用し、ワンセグの映像部分に手話通訳映像や講義映像、字幕部分に文字通訳情報を配信する。

受信端末は「ニンテンドーDS」および「DSテレビ」や携帯電話などを使用し、画面上部に手話通訳などの映像を表示、画面下部に文字通訳情報を字幕として表示する。また、同時に授業を受けるすべての学生が、良好で途切れのない情報を受信できるかといった、エリアワンセグの電波フィールドについても検証する。

実験の成果としては、受講者が手元で、エリア内であれば自由な場所で情報取得が可能となり、講義内容の理解促進が可能となる。また、講師側には手話などの心得が無くても、自身の慣れた方法で安心して情報伝達できる環境を提供できる。さらに、システムを運用する側においては、受信装置の設定や教室内の配線など、日々のシステム運用にかかる手間を大幅に削減できる。4月から開始される10年度の授業では、年間を通じてエリアワンセグを活用した授業を計画している。