『北海道新聞』2010年3月10日付

地域医療教育で連携 道内5大学院 新年度から単位互換


札幌医大、小樽商大、室蘭工大、北海道医療大(石狩管内当別町)、千歳科学技術大の道内国公私立5大学は9日、2010年度から大学院修士課程の単位互換認定を行う協定に調印した。文部科学省によると、医療から経営まで全く異なる分野の大学間連携は全国的に珍しい。

医師、技術者から病院経営者まで地域医療に貢献する人材の育成が狙い。大学院の一部の授業を共通化、各大学の単位として認定、将来は共同大学院開設も視野に置いている。

近年、地域医療の現場で人材不足が深刻化する中、5大学は「医師や技術者、経営者は医療従事者が専門分野だけでなく、幅広い分野に精通する必要がある」として、地域医療を軸にした異分野の大学院連携を模索。

08年度に大学間連携を支援する文科省の「戦略的大学連携支援事業」に選ばれ、大学院の共通プログラム開設に向け、準備を進めてきた。

各大学は新年度、大学院修士課程の前期、後期で各1〜2科目を他の4大学に開放、単位交換する。札医大は「基礎医学概論」、小樽商大が「地域医療経営の基礎論」、室蘭工大は「生命情報学特論」などを予定。実習以外の講義はインターネットの学習システム「eラーニング」を利用して行われる。

調印式には5大学の学長らが出席、札医大の今井浩三学長が「異分野の連携で、医療工学、医療経営などの新しい領域が誕生する。地方活性化に貢献する人材を育てたい」と抱負を述べた。