『下野新聞』2010年2月19日付

太陽光発電で食料生産 宇大に国内初の実習農場完成


再生可能エネルギーを利用して食料を生産する実習農場が18日、宇都宮大峰キャンパスに完成した。太陽光発電による発光ダイオード(LED)ランプを使った植物工場のほか、ヒートポンプなど省エネ装置を持つビニールハウスも整備した。農村での再生可能エネルギー利用に着目した実習農場は国内初という。

「近未来型農業」をテーマにした実習農場の名称は「サステーナブル(持続可能な)ビレッジ」。広さ約800平方メートルで、昨秋から整備を進めていた。

農場内の電気を賄う太陽光発電は、太陽光パネルを設置した施設から供給する。施設は農家をイメージした木造一階で、講義のほか、気象観測のデータ収集や発電量を測定できる。

植物工場では消費電力が少ないLEDのほか、蛍光灯を利用した養液栽培を行う。赤、青、緑、白のLEDランプを組み合わせて、サラダ菜やリーフレタスを栽培。土を使わず、無農薬でしかも無洗浄で食べられるという野菜の生育と栄養価を高める研究を進める。

ビニールハウスでは樹皮と肥料を使ったイチゴを栽培する。水はタイマーで流れ、追肥の必要はなく、苗床も腰の高さに調節できるため、作業の省力化が期待される。

総工費は約5千万円。同日の竣工式で進村武男学長は「次の世代を担う学生が再生可能エネルギーを使った生産技術を肌で感じ学ぶ意義は大きい。施設を生かした市民とのコミュニケーションも大切にしたい」と述べた。

将来的には風力発電やバイオマスも取り入れ、農場内での資源循環を目指す。同大農学部の斎藤高弘教授(生物環境調節学)は「この最先端の技術を生かした実習施設を通じて、食料やエネルギー生産を資源環境の中で行うことができる農村、地域社会の姿を宇都宮大から発信したい」としている。