『中日新聞』福井版2010年1月28日付

就職支援に県内の大学手厚く 研究成果を企業に売り込み


今春の大学卒業予定者の就職内定率低下を受け、県内の大学は2011年3月卒業予定者の就職支援策に知恵を絞っている。企業に大学の研究内容をPRするほか、採用の変化に対応したセミナー開催など支援強化に乗りだす。

福井大は来月15〜18日、学内で開く合同企業説明会の会場に、工学部や産学官連携本部の研究内容を紹介するパネル約80枚を展示する。

参加する企業は約280社。同大就職支援室の青山伝治室長は「原子力や太陽発電など、環境に関する研究は企業の関心も高い。福井大の魅力を企業に売り込み、採用につなげたい」と語る。

08年度まで毎年、全国平均を上回る就職内定率を維持していた県立大は、今春卒業予定者の内定率が現段階で8割弱と低迷する。同大就職・生活支援課の担当者は内定率低下の一因として「5月以降の支援不足」を挙げた。

5月は企業の多くが最初に「内々定」を出す時期。「例年は5月以降も企業が説明会を開いていたが、昨年は採用数が減り、個別に採用を進める企業が多かった。学生も大学も、採用の変化に対応できなかった」と明かす。今年は5月以降も企業の面談会や就職セミナーを開き、支援を厚くしていく。

県若者就職支援センター「ふくいジョブカフェ」(福井市)と連携し、県内の企業訪問を企画する動きもある。県立大経済学部の学生14人は今月26日、鯖江市の揚原織物工業を見学した。3年の小野田清香さん(21)は「液晶分野に進出していると知り、繊維業のイメージが変わった」と目を輝かせた。

企画した経営学科の木野龍太郎准教授は「厳しい状況だからこそ地元企業を見て、企業に対する見方を変えてほしい」とアドバイスしていた。

 (増田紗苗)