『産経新聞』2010年1月27日付

京大、雇い止めに関して再雇用方針を決定


京都大学(京都市左京区)が平成22年度以降に雇用期限を迎える非常勤職員を一律5年で「雇い止め」することに絡み、同大学は対象の非常勤職員について、能力や適性を判断したうえで実質的に再雇用を認める方針を決定したことが26日、わかった。京大は、再雇用についての就業規則の改正も検討しており、関係者は「5年雇い止め条項の撤廃はできなかったが、精いっぱい非常勤職員の方々に歩み寄った案」としている。

この問題は、17年3月に就業規則を改定した際、同年4月以降に採用した職員の契約期限の上限を5年と規定したことがきっかけ。京大は、22年度中に契約期限を迎える非常勤職員について、契約を更新しない「雇い止め」をする方針を固めていた。

京大によると、この現行制度に対する改善措置として、一律5年で雇い止めする原則は維持した上で、22年度以降の雇用募集の際に、雇い止めされた元非常勤職員の応募も可能にする。採用試験を経た上で、各部局が必要と判断した場合に限り、新規採用者として再雇用するという。

今回の方針は、学内の人事制度検討会が昨年作った中間案を基に決定。今年1月12日に学内で開かれた部局長会議で部局側からの反対はなく、中間案が承認された形になったという。

時給制で働く非常勤職員は20年12月現在、約2600人で、うち半数は、17年の就業規則改定後に採用されたという。

大学側が把握している3月で雇い止めになる非常勤の事務職員や技術職員ら対象者数は約50人。

3月で雇い止めの対象になる50代の非常勤職員の女性は「これまで雇い止めに関する学内の会議の内容が労働者にほとんど知らされておらず許せない。せめて1年前ぐらいに方針が決定していれば余裕をもって就職活動ができたのに」と大学側の対応を批判した。