『陸奥新報』2010年1月27日付

弘大の地域経済波及効果77億円に 08年度試算


弘前大学(遠藤正彦学長)は26日、2008年度の地元弘前市への経済波及効果が、前年度よりも約3億円増え約77億円だったとの試算結果を公表した。法人化された04年に比べると34億円近く増えている。渡辺政美副学長は「建物の改修などが進み施設整備費が減ったため、全体の経済波及効果は減少したが、地元への効果は右肩上がり」とし、今後も地元企業と良好な関係を続け、地域に貢献したい考えを示した。

発表によると、08年度収入決算額は358億6300万円。支出決算額は346億8500万円(繰り越し金は11億7800万円)だった。

波及効果は実数の支出決算額と科学研究費補助金、学生生活実態調査(06年度)を参考に、学生・大学院生6759人の支出額から学生生活費、同年度に同市内で開かれた23学会の開催費、院外処方薬剤費を推計し、算出した。
 08年度の経済波及効果は全体で440億9400万円で、前年度よりも約16億円減少した。

支出決算額のうち、契約行為を伴う支出契約金の総計は156億6700万円。本社が県内にある事業所との支出契約金額は95億3300万円(前年度比4億3700万円増)で、支出契約金総計の60.9%だった。

このうち、本社が同市にある事業所との支出契約金額は、総計の49.4%に当たる77億3700万円(前年度比2億9900万円増)。

主な契約内容は、医療用材料、研究用消耗品などの物品費が47億4900万円と最も多く、医療用材料費が増額した。

県内への発注割合は年々増加しており、同市については、支出額が法人化された04年度と比較すると34億円近く増えている。これに関し弘大は、ホームページなどを最大限利用するなど情報発信量が増えたことで業者が参加しやすくなったと分析している。

渡辺副学長は「厳しい国の財政状況の中、それなりに予算は確保できた。10年度は高度救命救急センター、北日本新エネルギー研究センター、白神自然観察園と大きな事業をきちんと展開し、情報発信することが大学の使命」と述べた。