『京都新聞』2010年1月11日付

京都市、3私大の看護学科に奨学金
市立看護短大の廃止で


京都市は4月から、看護学科を持つ市内の3大学を対象に奨学金制度を創設する。来年度末に市立看護短大を廃止するのに伴い、看護を目指す学生の負担軽減を図る措置で、看護学科に特化した自治体の奨学金は全国でも珍しいという。

市は市立看護短大の4年制化を目指していたが、財政難などを理由に廃止し、教員を佛教大に新設される4年制の看護学科に移すことを決めた。しかし、私大の看護学科に比べ学費が3分の1以下で、短大を廃止すると学費負担を理由に看護師を断念する学生が出てくる恐れがある。

このため、当初、佛教大看護学科の学生に限って奨学金創設を検討していたが、他大学との公平性を保つため、2005年度から4年制看護学科を開設している京都橘大(山科区)、11年4月に開設する京都光華女子大(右京区)を対象とすることにした。

新奨学金制度は、市が奨学生1人あたり30万〜100万円を無利子で貸与する。3大学には、奨学生に対し市の負担と同額程度の奨学金を貸与する制度創設を求める。

支給基準は所得制限や学力など日本学生支援機構に準じ、定員は短大定員の50人より増やす方針。市立病院や京北病院など市医療施設に就職した場合には、勤続年数に応じ返済も免除する。市は「慢性的な看護師不足の中、私大の力を借り、地域で活躍する看護師を育てたい」としている。