『毎日新聞』2009年12月24日付夕刊

東京大:東大生にも不況の波 親の年収急減 450万円未満、前年から倍増


比較的裕福な家庭が多いといわれる東京大生にも不況が影を落としている。同大学の08年の「学生生活実態調査」によると、親の世帯収入が年収450万円未満の学生が前年の9・3%から17・6%に急増した。学生自身の収入も大幅に減っている。

調査はリーマン・ショック後の08年末に学部生の4分の1を対象に実施し、1585人から回答を得た。例年10%前後だった年収450万円未満の層が大幅に増えた一方、高額所得層は減少。07年に45・5%に達した1050万円以上の層が36・5%に減った。

仕送りやアルバイト代、奨学金など学生が得る収入は、自宅外生(寮生を除く)に限ると、男子は月平均1486円減の15万4234円、女子は同1万7093円減の14万8097円。特に女子の減少が大きかった。収入が多かった時期と比べると、男女とも2万〜3万円以上減り、20年前の水準に戻った。

自由記述欄には「教科書が高すぎて、興味のある講義をあきらめざるを得ない」(文1男子)、「学費が高すぎる。生活が苦しい」(文3男子)といった声も多く寄せられた。東大は保護者の年収が400万円以下の学生の授業料を全額免除する制度を創設しているが、学生生活委員会の担当者は「寮の拡充などさらなる対策が必要だ」と話している。【井上俊樹】