『読売新聞』広島版2009年12月16日付

広大、県、マツダなど参加 医学と工学融合 自動車開発など
霞キャンパスに研究拠点


広島大の医療分野の研究成果を産業に活用するため、広島大など県内の7大学と県、中国経済連合会、マツダなどが、医学部などのある広大霞キャンパス(広島市南区)内に「ひろしま医工連携・先進医療イノベーション拠点(仮称)」を設ける。科学技術振興機構(JST)の助成を受け、2010年度の事業開始を目指して準備が進んでいる。

参加するのは大学では広大のほか、県立広島大、広島市立大、広島国際大、広島工業大、広島国際学院大、近畿大工学部。企業ではマツダのほか、モルテンなど。

特に期待されているのは医学と工学を融合した自動車の開発。▽運転中に脳波などを測定し、眠気を察知してドライバーに伝える装置▽体格に合わせて自動的に伸縮する座席――などが研究の候補に挙がっている。

情報技術を生かして、映像を大学病院などに送り、都市部以外でも高度な医療を受けられるようにする「高精度映像伝送システム」など、次世代医療機器開発にも力を入れる。

さらに、再生医療研究に使う細胞の培養・保存施設を整備し、企業にも開放し、臨床への応用がスムーズに行える仕組みを作る。

JSTの助成金約8億4000万円を受けて、機器購入し、キャンパス内のボイラー棟などを改装して整備する。

広島大の藤岡幸男副理事(社会連携担当)は「研究成果を、活用できていなかった。県内だけでなく、中四国の拠点となるように発展させたい」と話している。