『長崎新聞』2009年12月16日付

事業仕分けで長崎大緊急アピール 予算削減「厳しい現状理解を」


行政刷新会議の事業仕分けで国立大学の運営に関する交付金が見直しや削減などと判定されたことを受け、長崎大は15日、厳しい財政運営などを訴える緊急アピールを発表した。

事業仕分けでは、教職員給与や施設管理経費などを賄う運営費交付金が「見直し」と判定。研究内容などによって集中的に割り振られる競争的資金も種類によって「廃止」「削減」「見直し」と判定され、長崎大関連では約26億円が対象という。

アピールでは、運営費交付金が毎年削減される中、各大学が独自に支出削減と収入増加に励んできた状況を説明。長崎大では大学病院の診療収入を増やすため、勤務医が日々の診療に追われて研究に充てる時間がほとんどない現状を訴えている。

競争的資金を活用し、放射線や感染症の研究のため設置している海外拠点についても、仕分け結果に沿った予算編成になれば「閉鎖の危機に直面する」と主張。正規雇用できない若い研究者を受け入れるための競争的資金も予算縮減と判定されたとして、「若手研究者の志の芽を摘まないでほしい」としている。

長崎市文教町の同大で会見した片峰茂学長は「長崎大は地域に基盤を置いている。この機会に大学の置かれている現状を県民に理解してほしい」と話した。