『山形新聞』2009年12月16日付

仕分け「廃止」5事業の継続求めアピール 山大工学部


山形大工学部関連の5事業が政府の事業仕分けで「廃止」と判定されたことを受け、大場好弘学部長は15日、同学部で記者会見を開き、「廃止されれば研究は立ち行かず、県民が被害を受ける。地域に貢献している地方大学の現状を理解してほしい」と、事業継続を求める緊急アピールを行った。

同学部関連で「廃止」の判定を受けたのは▽戦略展開プログラム▽産学官連携コーディネーター▽地域力連携拠点▽アジア人材資金構想▽先端有機エレクトロニクス国際拠点形成プロジェクト−の5事業で、予算規模は年4億3400万円。

廃止されれば、地元企業との共同研究や特任教員らの雇用が継続困難になるほか、地域への有形無形の影響が大きいといい、大場学部長は「予算規模は5億円足らずだが、5年後、10年後を見据えると数千億円単位の影響が出る。県民や県内企業に与える打撃は計り知れない」と訴えた。

さらに、次世代スーパーコンピューター開発予算の仕分け作業の中で、仕分け人から「世界一を目指さなくても良いのではないか」といった意見が出されたことに触れ、「2位では開発効果はゼロ。2位を目指すという選択はあり得ない」と批判。「日本はものづくりの国。工学部はそれを支える人材を輩出してきた。次世代を担う人材が学びたいと思う研究を続けるため、事業継続を求めたい」と政府や民主党へ要望する考えを示した。