『琉球新報』2009年12月9日付

大学院大「減速」に 有識者会合 優先度最低


【東京】2010年度科学技術関係主要事業の優先度判定をしている政府の総合科学技術会議の有識者議員と、菅直人科学技術担当相による会合が8日開かれ、沖縄科学技術大学院大学に関し、科学技術の振興発展に資するか懸念があるとして「減速」の判定を下した。

11月末の原案では3段階の評価中2番目の「着実」と仮判定していたが、最終的には最低の評価に格下げした。鳩山由紀夫首相も参加する9日の本会議で報告、了承される。

政府はこの評価を踏まえた上で、年末の予算編成を行う方針。予算次第では内閣府の目指す12年度までの開学時期に影響を与える可能性も生じるが、前原誠司沖縄担当相は目標通りの開学に意欲を示しており、具体的な影響は不明だ。

大学院大学に関し、有識者議員の白石隆・元政策研究大学院副学長は判定の理由について(1)世界的な獲得競争の中での優秀な学生の確保(2)長期的な経営の維持―への懸念を指摘した。

3日に行った仲里全輝副知事、志喜屋文康恩納村長の意見聴取を踏まえ「沖縄振興への期待感、重要性は十分、理解できる」と強調。その上で「科学技術の振興の観点からは疑問が残る。一度立ち止まって、世界最高水準の拠点として科学技術をリードするという所期の目標にかなうよう事業を見直してもいいのではないか」と指摘した。

津村啓介内閣府政務官は「あくまでも会議による判定であり、予算にどう反映されるかは今後の政府内の議論による」と説明した。

◆「憤り覚える」仲井真知事

政府の総合科学技術会議で、沖縄科学技術大学院大学の整備事業が「減速」と評価されたことについて、仲井真弘多知事は8日、「失礼な評価をする全く信じ難い話で、憤りすら覚える。地元に説明がなく、簡単に(評価を)やらないでほしい」と怒りをあらわにした。「直ちにこの件で東京に行く」と述べ、今週中に事業継続を政府に要請する考えを示した。

7月に大学院大学の学園法案が資金確保の面で民主党を中心に良い方向でまとまったことに触れ、「(法案に賛成した)趣旨を思い出して、民主党はきちんと対応してもらいたい」と注文を付けた。

一方、志喜屋文康恩納村長は「事業を止めるという意味合いではないと考える」との認識を示し、「県民の期待も大きいので、内閣府は沖縄振興という点を踏まえ、着実に進めてもらうことに期待する」と述べた。