『中国新聞』2009年12月10日付

国立5学長「評価再精査を」


行政刷新会議の事業仕分けで、学術・科学技術関連事業の予算縮減や廃止が相次いだことに反対し、中国地方の国立大全5校の学長や副学長が9日、広島市南区のホテルで異例の記者会見を開いた。共同声明で「地方国立大の衰退が危惧(きぐ)される」と訴え、評価結果の「再度精査」を求めた。

会見には、広島大の浅原利正学長、山口大の丸本卓哉学長、島根大の山本広基学長、岡山大の田中宏二副学長、鳥取大の本名(ほんな)俊正副学長の計5人が出席した。

声明文は、「高度人材育成の中核拠点が崩壊しかねない」と強調。人材の育成、先進的医療の提供、企業への研究成果の還元などに「大きな影響を与える」と指摘している。

さらに、基礎研究や研究の芽をつぶせば「経済成長の衰退、国際競争力の低下につながり、科学技術創造立国としての価値がなくなる」と警鐘も鳴らしてる。

会見で浅原学長は「経営効率化のため、すでに教職員を減らしている。これ以上、運営費交付金などが減れば、高等教育そのものの危機を招く」と力を込めた。丸本学長は「産学連携が止まると研究基盤が揺らぐ」と訴えた。