平成2 1 年1 2 月2 日

大学界との「対話」と大学予算の「充実」を
−平成22年度予算編成に関する緊急アピール−

国立大学法人北海道大学総長 佐 伯 浩
国立大学法人北海道教育大学長 本 間 謙 二
国立大学法人室蘭工業大学長 佐 藤 一 彦
国立大学法人小樽商科大学長 山 本 眞樹夫
国立大学法人帯広畜産大学長 長 澤 秀 行
国立大学法人旭川医科大学長 吉 田 晃 敏
国立大学法人北見工業大学長 鮎 田 耕 一

平成2 2 年度の予算について、これまでに行われた事業仕分けの結果やこれを受けての行政刷新会議の議論に接し、今後行われる予算の編成に向けて、道内の7国立大学は下記の点について緊急のアピールを行います。



1 大学予算の縮減は、国の知的基盤、発展の礎を崩壊させます。

わが国の高等教育への公財政支出の対G D P 比、政府支出に占める投資額の割合などの指標は、先進諸国中最低レベルの水準です。総理は、所信表明演説の中で、「コンクリートから人へ」の投資の転換を強調されました。資源小国であるわが国にとって国力の基盤は何よりも「知」と「技」にありますから、今後の国づくりは、国家の知的基盤である大学の教育研究の振興を抜きには考えられません。

大学に対する公的投資の拡充に向け、政治のリーダーシップを強く発揮されることを切に望みます。

2 国立大学財政の充実に関する基本姿勢を貫いて下さい。

道内7国立大学における運営費交付金は、5年間で7 3 億円の減少、道内単科大学の2校分の消失に相当します。選挙時の民主党の政策文書には、「世界的にも低い高等教育予算の水準見直しは不可欠」、「国立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直し」等の記述があります。

日本の教育研究の水準の維持・向上、教育の機会均等の確保に関わる国立大学の存在意義に照らして、「見直し」の原点に立ち返ったご対応(削減方針の撤廃、国立大学への投資の充実)を願う次第です。

3 政府と大学界との「対話」は、大学政策にとって必須不可欠です。

大学は、公共的な使命を果たし、社会に貢献し得る存在です。他の分野にも増して、大学に関わる政策形成過程は、透明で開かれたものであるべきであり、それには政府と大学界との緊密な「対話」が必須不可欠であると考えられます。

今後、国立大学政策に関して政府と大学界は、新たな国づくりに向けた対話を深めることが最も大切です。

終わりに

北海道の国立大学は、それぞれの地域に根ざし、地域と一体となって、教育・文化の振興、地域を支える人材の育成、産業の発展、地域医療の充実などに取り組んでいます。今後とも北海道の国立大学が「知の拠点」として、重要な役割を果たしていくためには、若手研究者育成、先導的な教育研究等を推進するための各種競争的資金、地域科学技術振興予算、運営費交付金等の確保・充実が必須であり、平成2 2 年度予算においても、必要な予算が確保されるよう、ご理解とご支援を切にお願いいたします。