共同通信配信記事 2009年12月2日付

45国立大病院“赤字”82億円 「経営努力にも限界」


全国45の国立大病院が大学本部から受けた支援金(実質的な赤字)の合計額が08年度だけで約82億円に上るという国立大学協会の調査結果が2日、分かった。旭川医大の吉田晃敏学長が札幌市であった記者会見で明らかにした。

政府の行政刷新会議は大学予算の見直しや、診療報酬の配分見直しを判定したが、吉田学長は「病院の経営努力にも限界がある」としている。

同協会の調査によると、04年度に約18億円だった支援金は08年度には約82億円に増加。07年度は16病院が赤字だった。

各病院は国立大が法人化した04年度以降、経営努力で手術件数や診療単価は増加したが、診療報酬改定や運営費交付金の減少で経営は困難になった。病院への交付金総額は04年度は約584億円で、09年度は65%減り約207億円という。

国立大学協会経営支援委員会病院経営小委員長の吉田学長は「地方の病院が消えていく状況で、医師を派遣している大学付属病院は地域医療の最後のとりでだ」と話した。