『日本海新聞』2009年12月5日付

鳥大バイオ拠点 9億円で国事業採択


鳥取県や鳥取大学など県内の産学官グループが、鳥大米子キャンパス(米子市)で計画しているバイオ産業の研究拠点について、県は4日、国の「地域産学官共同研究拠点整備事業」に採択されたと発表した。県は当初、約26億円を事業申請していたが、民主党政権によって事業費は大幅に削減され、紆余(うよ)曲折を経て9億円で採択された。

同事業では、国から委託を受けた独立行政法人「科学技術振興機構」(JST)が主体となって機器整備や施設改修を行う。自治体が土地と施設を確保し、運営は地元が行う仕組みだ。

前政権は総事業費計695億円を計上。県や鳥大などが計画していたバイオ産業構想は、鉄筋6階建て延べ床面積約2500平方メートルの研究施設を整備、26億円を建設費に充てる予定だった。

しかし、新政権による補正予算の見直しで、同事業費は263億円に減額となった。「ハコモノは中止」という国の方針を受け、県は建設計画を見直して約11億2千万円で再申請。県によると、申請した45都道府県のうち鳥取を含めて40道府県が採択されたという。

平井伸治知事は「研究に道筋がついた」と歓迎する一方、事業費の減額について「当初の規模はあきらめざるを得ないが、財源をやりくりして整備し、ブレーキをかけないようにする」と話した。

研究を進める鳥大染色体工学研究センターの押村光雄センター長は「地域活性化への起爆剤となれば」と期待を込め、能勢隆之学長は採択に「大変喜んでいる。連携を密にしてバイオ産業発展のため一層努力したい」としている。

研究拠点名は「とっとりバイオフロンティア」。鳥大や民間などでつくるグループは、遺伝子組み換えマウスを活用し、高機能食品の開発などに取り組む。米子キャンパスの既存施設を活用する方針で、資金の不足分を県費で補うことも検討中。2011年度の本格運用を目指している。