『信濃毎日新聞』2009年12月4日付

信大学長ら、科学技術振興や産学官事業の継続要請


信大の山沢清人学長は3日、文部科学省を訪ね、政府の行政刷新会議による事業仕分けで「廃止」や「予算削減」と判定された科学技術振興や産学官連携事業の継続を後藤斎政務官らに要請した。また、信大工学部、繊維学部を含む全国の国公立大工学系学部長53人は同日、連名で「日本の将来を深く憂慮せざるを得ない」と予算削減の再考を求める緊急宣言を発表した。

文科省への申し入れで山沢学長は、産学官連携事業などについて「地方大学の優れた研究者が核になって地域や日本の産業活性化につなげるプログラム。推進してほしい」と求めた。この日は国会内で広野允士民主党副幹事長にも要望。同行した遠藤守信・工学部教授は「産学官がしっかりと成果を上げれば力強い地域ができる」と訴えた。

事業仕分けでは、遠藤教授らが中心となり、超微細な炭素素材「ナノカーボン」の応用を探る研究への支援などが「廃止」と判定されている。後藤政務官は「途中経過でありイエスかノーかは言えないが、趣旨は理解している」と応じた。

一方、国公立大の工学系学部長53人と、世界最高水準の教育研究拠点づくりを目指す同省の「グローバルCOEプログラム」に採択されている大学の研究責任者ら140人は同日、事業仕分けの結果に異議を唱える緊急宣言や共同声明をそれぞれ発表した。

信大は繊維学部が同プログラムの拠点に選ばれているが、仕分けでは縮減対象とされた。共同宣言に加わった平井利博・同学部長は「一度走り始めたプロジェクトの方針を簡単に変えられては、計画的に研究を進められなくなる」と強調している。