『河北新報』2009年12月2日付

「人材育成停滞する」事業仕分け反対アピール 東北大研究者


行政刷新会議による事業仕分けで、若手研究者育成などを目指す文部科学省の「グローバルCOEプログラム事業」が予算削減されたことに対し、事業採択を受けている東北大の脳科学の研究者らが1日、緊急アピールで「人材育成が停滞し、科学技術の国際競争力が損なわれる」と反対を表明した。

東北大「脳科学グローバルCOE」のメンバーらが、同じ生命科学分野で採択を受けている全国12大学の関係者と共同で表明。グローバルCOEプログラムは、成長が見込まれる分野の若手研究者の雇用・支援を進めており、「資源に乏しい日本にとって、国際的な力量を持つ研究者の育成は不可欠だ」と訴えた。

脳科学グローバルCOEは年間約3億円の助成を受け、現在、博士研究員や大学院生約60人を雇用・資金援助している。リーダーを務める大学院医学系研究科の大隅典子教授(神経発達学)は「予算が削減されれば雇用を維持できなくなり、現在進めている認知症や発達障害の治療に向けた研究に遅れが出る恐れもある」とした。

東北大ではこのほか、地震予知研究などを行う「地球惑星グローバルCOE」に所属する若手研究者有志も、文部科学相あてに予算削減反対の意見書を提出。代表者の北佐枝子研究員は「地震の多い日本にとって、研究を担う人材が育たなくなるリスクは大きい」と訴えている。